9月26日、本会議にて代表質問をおこないました。
湖西市の課題と県下全域の課題を取り上げていますので是非ご覧ください。
項 目 1 保育施設、教育施設の送迎バスの安全管理について
答弁者 知事
質問要旨 去る9月5日、牧之原市内の認定こども園の送迎バス内で、園児が車内に炎天下のなか5時間も取り残され、熱射病で亡くなるという事故が発生してしまった。
今後このような悲劇を二度と繰り返さないように、県内の保育施設等の安全管理体制のチェックや調査を徹底するとともに、できる限りの対策強化を全国に先駆けて行うべきと考える。韓国では2018年に法改正をして、安全装置の導入のための助成制度も設けている。
送迎バスの安全管理について、現場目線での対策を国に働き掛けるととに、安全装置の導入において、民間企業とも連携を図りながら、県として率先して講じてゆくべきと考えるが、知事の所見を伺う。
<答弁内容>
田内議員にお答えいたします。保育施設、教育施設の送迎バスの安全管理についてであります。
子供の命と健康が守られるべき認定こども園の、送迎バス内において、この度の園児死亡事故が発生いたしました。大変痛ましく、県として決して看過することはできません。
県では、今回の事故を重く受け止め、牧之原市と共に、当該施設に対する特別指導監査を行い、原因究明に努めるとともに、政令市とも連携し、送迎バスを運行する全ての保育施設等に安全管理体制の書面調査を実施いたしました。その結果を踏まえ、明日27日から立入り調査を行い、再発防止に向けた個別指導を実施してまいります。
さらに、バス送迎時における子供の安全対策を強化するために国が検討を進めている緊急対応策の内容を踏まえつつ、県独自で児童のバス送迎に係る安全管理指針を早急に整備いたします。策定に当たりましては、有識者から御助言をいただきながら、バス乗降時や登園時における子供の人数確認、ダブルチェック体制の徹底、運転手以外の同乗者の配置、関係者間での情報共有等々、具体的な手順を盛り込んでまいります。
今後は、ヒューマンエラーを回避するために、人の動きを検知するセンサーやアラーム等の警告機器など、安全装置の導入についても民間企業の協力を得て、研究を行ってまいります。有効なものにつきましては、施設へ周知し、活用を促すことにより、事故の確実な防止につなげてまいります。
県といたしましては、全ての児童の安全が守られ、健やかな成長が確保されるよう、保育施設等における送迎バスの安全管理を徹底してまいります。
項 目 2 熱海市伊豆山土石流災害の被災者への住宅関連支援について
答弁者 県理事(リニア中央新幹線・熱海土石流災害担当)
質問要旨 熱海土石流災害から一年が経った。災害現場での心配される落ち残りの盛り土の除去や、安全対策の速やかな実施、そして被災された皆様に一日も早く安心と希望をお届けしていくことが、我々の役目であると実感している。
そこで、被災者対策として提案する。災害救助法以外の住宅関連支援として、全国の災害地での復興において、住宅金融支援機構と連携した住宅の取得・改修に係る融資の利子補給や、県、市町村による民間賃貸住宅の家賃補助、移転費補助などの支援をした事例がある。基本的には被災地が単独市町の場合は、広域災害ではないことから都道府県が支援している例は多くないが、熱海土石流災害については、「人災」ともいえる部分は否めないだけに、静岡県としても積極的に熱海市と協働して、被災者支援策を講じてゆくべきと考えるが、県の考えを伺う。
<答弁内容>
熱海市伊豆山土石流災害の被災者への住宅関連支援についてお答えいたします。
熱海市土石流災害により、現在130世帯が自宅に戻れず、県営住宅や市営住宅、県が借り上げた民間賃貸住宅などの応急的な住まいで避難生活を送られています。県営住宅等に入居の被災者の皆様は、入居から2年間は家賃負担はありません。災害から2年後の令和5年の夏頃までには警戒区域が解除される見込みであり、それにより自宅に戻れる方がいる一方で、新たに宅地造成が必要な場所については造成に時間を要することなどから、家賃負担の無い期間を超えて自宅に戻れない方もおられます。これらの方々については、民間及び公営住宅の入居期間や家賃補助の延長と、できるだけ早く恒久的な住まいに移行できるように環境を整えることが何より重要であります。
そのため県は、恒久的な住まいの選択肢となるよう、県営住宅七尾団地の建替えを、予定より1年前倒しをし、令和6年6月を目途に進めています。あわせて、熱海市が国の補助を活用して行う被災者向け賃貸住宅の整備などが進むよう国と市との調整を積極的に行っております。
熱海市は被災者向け説明会において、応急的な住まいで生活されている方への支援として、恒久的な住まいに移るまでの間の民間賃貸住宅への家賃補助や市営住宅の家賃無料期間の延長、被災区域の宅地の造成、引っ越しに係る費用の負担などの支援策を示しました。
県としましては、県営住宅入居世帯についても市営住宅と同様に、自宅に戻れるまでの期間の家賃を無料にすることも必要かと考えております。また、議員から御提案頂いた住宅の新築や改修に係る融資の利子補給も含め、支援策を検討してまいります。これらの実施には財源の裏付けが必要となるため、熱海市と相談しつつ、期間や対象範囲等について今後調整を進めてまいります。
県といたしましては、被災された方がそれぞれの意向に沿った恒久的な住まいを得て、一日も早く日常を取り戻していただけるよう、全力で取り組んでまいります。
項 目 3 盛土条例施行に伴う建設発生土の処理について
答弁者 交通基盤部長
質問要旨 熱海土石流災害を受けて、静岡県の条例を迅速に改正したことについては評価する。一方で、関係者への説明不足による混乱や、現場感覚からすると現実的でない部分があることについて、各方面とのヒアリングや現地調査から認識をしている。これらに対し、迅速かつ的確な対応をしていくことが大切であると考える。
建設発生土を分別する施設の設置と県事業への積極的な活用を提案する。例えば、御前崎港の埋め立て事業に活用するなど、廃棄から再利用に転換する循環型の公共事業システムを描いてみてはどうか。
建設発生土の処理は、事業者の責任となっているが、条例の厳格化と同時に県内事業者が建設発生土を処理する場所を確保していくことを考えていくべきである。そこで、将来的に県の計画する事業用の土砂として使っていくシステムを構築したらどうかと考えるが所見を伺う。
<答弁内容>
次に、盛土条例施行に伴う建設発生土の処理についてお答えいたします。
建設発生土については、まず、現場内で発生抑制を十分に検討し、止むを得ず現場から搬出する場合でも、50km以内の建設工事への搬出を原則とする「公共建設工事におけるリサイクル原則化ルール」に基づき、建設資材として有効利用することを推進しております。
県では、公共工事間での利活用促進を図るため、国や県の発生土情報交換システムにより、関係者間で情報を共有する取組を進めておりますが、土砂の発生と利用時期及び必要となる土砂の質や量のミスマッチで利活用できない場合があり、令和3年度の県発注工事では、建設発生土の約3割が残土処分場で処分されている状況です。
こうしたことから、建設発生土の再利用を一層推進するため、建設発生土利活用ルールの周知徹底に加え、民間事業者も利用しやすい県独自の発生土情報システムを開発するとともに、新たな土壌改良技術の活用促進や、仮置き場などの活用を検討するなど、処分される発生土の全体量の低減に取り組んでまいります。
県といたしましては、盛土条例施行以降の建設発生土の処理状況を定期的に把握するとともに、環境負荷の軽減と循環型システムの構築に資する、持続可能な建設発生土の処理の仕組みづくりを進めてまいります。
以上であります。
項 目 4 リニア中央新幹線静岡工区に関するJR東海との対話について
答弁者 県理事(リニア中央新幹線・熱海土石流災害担当)
質問要旨 リニア中央新幹線整備に伴う大井川水資源問題の大きな論点である「トンネル湧水の全量戻し」について、JR東海は、県の地質構造・水資源専門部会において、県外流出量と同量を大井川に戻す方策として、県外流出するトンネル湧水と同量の田代ダムでの取水を抑制することで、大井川に還元し、減少分を補填するという案を提案した。
JR東海が自信を持って提案したこの田代ダム案については、実現性を検証するため、その後の専門部会の中で詳細なデータ等に基づいた科学的な議論が展開されるものと思っていたが、7月20日に開催された専門部会におけるJR東海の田代ダム案に関する説明は、田代ダム取水口の河川流量や取水量など、基礎データが不十分で、水利権の法的課題も確認ができていないなど、具体的な議論に至ることなく、各委員からも苦言が相次ぐ大変お粗末なものであった。
また、7月13日に、我が会派が田代ダムを視察した際、東京電力の担当者からは、「JR東海が大井川下流域の関係者や河川管理者の理解をもらえれば、東京電力としても協力できるかどうか考えるが、JR東海からは何の提案もない」との説明があった。
とするならば、4月の専門部会において、東京電力に対し協力要請することなく、田代ダム案を記者発表してまで提案したJR東海の姿勢は、全くもって理解し難いものである。
一方、7月の専門部会では、発生土置き場についての対話も行われた。委員からの指摘に対し、JR東海のちぐはぐな回答の繰り返しにより、議論がかみ合わない場面を見ると、大規模な盛土が計画されているツバクロが残土置き場として適しているのか、本当に安全は確保されるのかという不安や懸念を一層大きくさせたのは、私だけでないと思う。
JR東海には、国の有識者会議が指導した「双方向のコミュニケーションを十分に行い、地域の不安や懸念が払拭されるよう真摯な対応を継続する」という姿勢が全く見られない状況である。このようなJR東海の姿勢に対し、県は今後、どのような方針で対話に臨んでいくのか伺う。
<答弁内容>
次に、リニア中央新幹線静岡工区に関するJR東海との対話についてであります。
国の有識者会議が取りまとめた中間報告の中では、JR東海に対して、「地域の不安や懸念が払拭されるように真摯な対応を継続する」ことが求められました。県としましては、この国の有識者会議からの指導を受け、JR東海が、双方向のコミュニケーションを行うことを大いに期待をしていたところであります。
しかし、7月20日に開催した地質構造・水資源専門部会におけるJR東海の説明は、議員御指摘のとおり、田代ダム案の実現性について、十分な検討がなされておらず、対話を進める状態になりませんでした。その一方で、JR東海が住民への説明用として、7月13日から配布している冊子には、「山梨県への流出と同時期に実施可能な案です」と記載されていました。その姿勢は、従前の自らの考えを理解させようとする説得型のコミュニケーションであり、地域の皆様の不安を理解した真摯な対応であると言えるものではありませんでした。
さらに、自然由来の重金属等を含む要対策土を藤島に盛土しようとする発生土処理計画については、7月1日に施行した静岡県盛土等の規制に関する条例に基づき、盛土は認められない旨を説明しているところであります。しかし、JR東海は、「適用除外の考え方を県に確認したい」と述べるのみで、専門部会が求めるオンサイト処理へ計画を変更する姿勢は見られません。
現在、直近2回の専門部会において、JR東海の回答が不十分であった64項目について、文書での回答を求めておりますが、JR東海には双方向のコミュニケーションとなる真摯な対応を求めたいと思います。
県といたしましては、今後とも、リニア中央新幹線の早期実現と大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全との両立を図るため、JR東海との円滑な対話の促進に努めてまいります。
以上であります。
項 目 5 浜松市沿岸域防潮堤の「みんなで守る防潮堤」の実現に向けた将来像と取組方針について
答弁者 知事
質問要旨 浜松防潮堤は、地元民間企業や市民の多大な寄付と熱い思いにより完成したが、集中豪雨や西風の強い沿岸地域でもあることから防潮堤の一部において変状が生じており、今後の維持管理の問題は重大事である。
宮城県岩沼市では、市民による植林が現在も継続して行われており、「緑の防潮堤」づくりの第一歩は、「みんなで守る防潮堤」の体制作りからだと痛感した。
浜松防潮堤が地元の力により整備された経緯を踏まえると、維持管理と利活用についても地元主導にしたらどうだろうかと考える。
浜松地域では「おらが防潮堤」意識が根強くある。その気持ちを再度「みんなでつくった防潮堤をみんなで守る」形にできたらいいと考える。
また、東日本大震災の復興事業において仙台建設業協会が復興事業を包括的に請け負うために作った「杜の都建設協働組合」のような形を作れば、現場の状況や課題に応じて防潮堤や現場の状況を熟知した傘下の組合員が適時適切に維持管理に当たることができ、大規模修繕が必要となる前に適切な補修をすることでコスト縮減や施設の長寿命化も期待できる。
さらには、再び浜松経済界の協力を得られれば、市民への維持管理についての啓発活動などの活性化も期待できるため、県として「みんなで守る防潮堤」のスキームを構築し、浜松市、浜松経済界、建設業、造園業界、教育機関等にも働きかけていく必要があるのではないかと考える。
そこで、浜松市沿岸域防潮堤について、これまでの建設経緯や現在の課題等を踏まえ、地域の財産として将来像をどのようにイメージしているか、また、「目指す姿」に近づくための取組の方向性についてどのように考えているか、知事の御所見を伺う。
<答弁内容>
次に、浜松市沿岸域防潮堤の「みんなで守る防潮堤」の実現に向けた将来像と取組方針についてであります。
浜松市沿岸域防潮堤は、地元浜松を創業の地とする篤志家による多額の寄付が契機となり、「みんなで実現!未来支える防潮堤」のスローガンの下、市民、企業、団体等が「オール浜松」の体制を構築し、安全・安心のランドマーク「一条堤(づつみ)」として、令和2年3月に竣工しました。
篤志家が、お始めになって「オール浜松」でつくり上げられた一条堤、築堤の事業は、金原明善翁(きんぱらめいぜんおう)の治山事業に匹敵するものと考えております。
現在は、津波に対する地域防災力の向上はもとより、散策やウォーキングなど健康増進の場として利用され、防潮堤から望む海岸線や中田島砂丘などは、雄大な景観を楽しむ新たな観光スポットとなるなど、多くの人々に親しまれております。
一方、中田島砂丘や舞阪周辺では、雨水の集中や強い西風により施設の変状が、状態が変わる変状が確認されており、保安林区域内の植栽木の適切な保育等と合わせ、防潮堤が有する機能の維持管理や利用における課題となっております。
現在の利用状況や防潮堤が整備されたこれまでの歴史を踏まえますと、当防潮堤が、浜松市域を守る防災上の役割だけでなく、平時における憩いやにぎわいの場、防災や環境を学ぶ場として、多様な役割を担うことで、市民がこれまで以上に誇れる施設となることが防潮堤の将来像であると考えております。
また、かつて天竜川の治水事業など、国家社会公共のために一生を捧げられた金原明善翁の私財を投じて治山・治水に尽力された歴史が、令和の時代においても語り継がれていますように、市民一人ひとりが防潮堤を保全する役割を担い、市民の手で後世に継承していくことでこの将来像を目指してまいります。
そのために、市民や地元企業などと将来像を共有し、その実現に向けた手法などについて議論する、仮称ですが「防潮堤みらい懇話会」を立ち上げます。
この懇話会の立ち上げに際し、県では農林事務所、土木事務所が協働で主導し、まずは防潮堤建設に携わった市や建設業界などを交えた準備会を年内に開催し、意見交換を行います。また、市民や企業と協働で施設点検パトロールなどを行う啓発イベントを定期的に開催し、浜松市域共有の財産である防潮堤を「市民自らが守る」意識の啓発を図ってまいります。
県といたしましては、地域の安全・安心のために尽力した金原明善翁の精神と同様、この17.5kmに及ぶ一条堤が、浜松市域の安全・安心を担い、市民が新たなにぎわいや交流の場として関心を寄せ、市民による主体的な取組、いわゆるシビックプライドの醸成が継続的に行われるように努めてまいります。
項 目 6 遠州灘海浜公園篠原地区野球場の整備について
答弁者 交通基盤部長
質問要旨 我が会派は、県西部地域への大規模球場の建設について浜松市、浜松商工会議所の要望内容に思いを同じくする一方で、野球場単体での黒字経営が難しいことも分かってきた。
ドーム型の球場は、初期建設費がかなり割高になるものの、多目的化が図られ、経営面でのプラス要素が大きいことも同時に分かってきた。であれば、最初から野球場を主とした多目的利用ができるドーム型球場の建設を模索すべきではないかと考える。また、遠州灘に上陸し産卵するウミガメの保全問題についても、光の漏れにくい形状のドーム型にすることで問題解決がなされると考える。
さらに、今後同時並行せねばならない大切な課題もいくつかある。
1つは、高塚駅からのアクセス整備並びに面的な周辺整備。まちづくりの観点から、面的なにぎわいづくりを描くことは欠かせない要素となる。
2つめは、本来の野球場の利活用促進策としてのNPBへの働き掛けなどを、野球場建設と並行してやるべき。
3つめは、浜松地域の新球場建設への機運の盛り上げ、より良い野球場を建設するための調査研究を促進する研究会・協議会の設置を呼びかけることも必要。
以上を同時並行しつつ、この新球場の建設計画の推進をしてゆくべきと考えるが、所見を伺う。
<答弁内容>
遠州灘海浜公園篠原地区野球場の整備についてお答えいたします。
遠州灘海浜公園篠原地区野球場につきましては、先日、浜松商工会議所、浜松市長及び静岡県野球協議会からそれぞれ御要望を頂きました。その際、それぞれの立場から、地域振興の起爆剤として、西部地域のスポーツの拠点に相応しい施設を、アマチュア野球の振興を通した青少年の育成になど、皆様の御期待と熱い思いを届けていただきました。
県では、皆様の御期待にお応えできるよう、野球場の規模及び構造のタイプごとに、建設費、維持管理費及び経済波及効果等を算出し取りまとめたところであり、引き続き、アカウミガメが産卵・孵化する環境を保全し、海の豊かさを守るSDGsの視点なども取り入れながら、選定を進めてまいります。
議員から御指摘のありました課題のうち、まず、高塚駅から公園周辺に至る地域のまちづくり、にぎわいづくりにつきましては、浜松市からの要望の際に、鈴木市長から「市で責任を持ってやっていきたい」との力強いお言葉を頂きましたことから、県と市で情報共有を図りながら、連携して取り組んでまいります。
また、利活用促進策につきましては、プロ野球のエクスパンションの動向を注視していくとともに、本県への試合等の誘致に向けた検討や調整を、日本プロフェッショナル野球組織など、関係者と連携しながら進めてまいります。
さらに、より良い野球場を建設するための取組につきましては、利用者の目線で望まれる野球場の姿を研究し、整備に向けた機運醸成を図るため、関係者が集い勉強する場の設置について検討してまいります。
野球場整備の早期実現と効果向上のためには、御要望いただいた団体をはじめとする地元の皆様、野球に関わる皆様と連携して戦略的に取組を進めていくことが極めて重要であります。
県といたしましては、引き続き、関係する皆様と力を合わせ、遠州灘海浜公園篠原地区において、地元に愛され、にぎわいをもたらす野球場の実現に向け、着実に取り組んでまいります。
項 目 7 カーボンクレジットの導入促進について
答弁者 農林水産担当部長
質問要旨 グリーンカーボンとブルーカーボンによる、カーボンクレジット制度の導入促進について、提言する。
6月議会において、水産部局がブルーカーボンの取組について前向きな答弁をされていたが、ブルーカーボンは水産分野だけではない。国土交通省による釧路港の海草や藻場の整備の実証実験を視察し、県内各地での藻場育成の可能性は十分あると考える。例えば御前崎港をはじめとする県内港湾の防波堤周辺や浜名湖の浅瀬など、ブルーカーボンの養成に適した地域は数多くあるように感じるため、約50kmの海岸線を持つ静岡県の強みを活かせるところでもあるので、精力的に取り組むべきと考える。
また、グリーンカーボンについても、50万ha弱の森林面積がある静岡県としたら、カーボンクレジット化を促進していくべきであると考える。クレジット化に向けては、森林のCO2吸収量のモニタリングが問題になるが、3次元点群データ技術などを使ってデータを算出できるシステムを確立できるよう、FAOIプロジェクトでの取組を進めていくべきと考える。合わせて、県内の森林管理において、①森林経営活動、②植林活動、③再造林活動がうまく進むように、研究指導をしていくべきと考える。
現在、カーボンクレジットの導入促進については、各々の所管課で取り組んでいるが、静岡県のもつポテンシャルを活かした、ブルー&グリーンカーボンのクレジット化を一層推進していくために、横の連携を強化して取り組んでいくべきと考える。
それぞれについて所見を伺う。
<答弁内容>
カーボンクレジットの導入促進についてお答えいたします。
カーボンニュートラルの実現に向けて、CO2の吸収源対策を推進するためには、吸収量の取引が資源保全につながるカーボンクレジット制度の活用が重要であると考えております。
ブルーカーボンにつきまして、榛南地域のカジメ藻場について、県が藻場面積の簡易計測手法を開発中であり、漁業者が認証手続の準備を行っているほか、県では、御前崎港周辺のコアマモについても検討を進めております。こうした先行モデルの取組を、県内各地へ横展開し、藻場保全活動の活性化につなげてまいりたいと考えております。
グリーンカーボンにつきましても、県と協定を結んでいる日本製紙株式会社が、3次元点群データを活用した簡易で正確な手法を用いて、モニタリング調査に取り組んでおります。こうした先進的な取組について、FAOIプロジェクトを通じた技術的アドバイスにより、林業経営体等への普及拡大を図るとともに、クレジット対象となる森林経営活動などが着実に進むよう、主伐・再造林等の森林整備を支援してまいります。
こうした取組を、全ての産業分野において普及するため、昨年度策定したふじのくにエネルギー総合戦略においては、CO2の吸収源対策を重要な施策と位置付け、部局横断的に推進することとしております。
県といたしましては、脱炭素社会の実現に向けて、カーボンクレジット制度の導入を促進してまいります。
項 目 8 浜名湖について
(1)浜名湖湖岸堤の整備
答弁者 知事
質問要旨 約4年前に一般質問において、浜名湖岸は老朽化が進んでおり、浜名湖岸の老朽化対策を早急に進めてほしい旨の要望をした。
私の地元湖西市においても、背後に住宅を抱えた新所・入出地区や新居中野郷地区の老朽化が激しく、地域住民は高潮や津波等による被害に対して不安を募らせている。湖西市の浜名湖岸の管理割合は民間の所有が約4割、官の管理が残りの約6割であり、官の管理も湖西市や、県の河川、港湾、農林等に分かれているため様々な課題はあるが、県として具体的な対策を行うための調査等を進めてくれていると聞いている。
今後、調査結果等に基づき計画的に具体的な事業が展開されると思うが、背後に住宅を抱えた地区の対策を最優先に行ってもらうことをお願いするとともに、地域振興につながる整備を是非お願いしたいと思う。例えば、湖西市新所・入出地区は浜名湖サイクリングルート沿いに位置しており、再整備する護岸の管理道を自転車道として活用することは地域振興に大きく寄与すると考えている。
そこで、高潮や津波等による被害から地域を守るため、県として浜名湖湖岸堤の整備について、今後どのような取り組みを進めていくのか所見を伺う。
<答弁内容>
次に、浜名湖についてのうち、浜名湖湖岸堤の整備についてであります。
浜名湖地域は、遠江八景に代表される美しい景観や、海や山の魅力ある食材、四季折々に咲き誇る花々、豊かな自然を活かしたマリンレジャーあるいはサイクリングなど、多彩な地域資源に恵まれております。
この魅力あふれる浜名湖の湖岸堤につきましては、議員御指摘のとおり、地域住民から施設の老朽化、高潮・津波に対する不安の声が寄せられておりますことから、県は、平成30年度に浜松市や湖西市などと共に勉強会を設置し、計画的な整備に向けた検討を進めてまいりました。勉強会では、想定される高潮や津波への対策が必要な区間の抽出や浸水想定区域の把握、施設所有者の調査など、主に防護面における検討を行ってまいりました。
その結果、湖西市における浜名湖岸は民間所有が4割とのことでしたけれども、浜名湖全体、湖岸全周約120kmのうち、約8割で高潮や津波に対する高さが不足していることや、民間所有の湖岸施設が約5割存在していることなど、湖岸堤の整備を進める上での実態並びにそれに伴う課題が明らかになっております。
老朽化が進み、防護面で課題がある浜名湖湖岸堤は、抜本的な改修・整備を計画的に進める必要があります。このため、県では、これまでの「防護」に関する検討に加え、観光や水産振興等の「利用」、景観や自然環境等の「環境」など、様々な視点から検討を行い、令和5年度中を目途に、仮称ではございますが「浜名湖水辺整備計画」を策定することといたしました。
この計画の策定に向けて、今年度、県、浜松市、湖西市、観光や漁業に関する団体などにより構成する検討組織を設置いたしまして、浜名湖の多彩な魅力を最大限引き出すための湖岸堤の整備の在り方などにつきまして検討を進めます。あわせて、この計画に定める整備の優先順位につきましても、高潮や津波により想定される被害の大きさや既存施設の老朽化の度合い、地域振興策との連携などを地区ごとに総合的に評価し設定いたします。計画策定後は、優先順位が高い地区から順次整備を進めてまいります。
今後策定する「(仮称)浜名湖水辺整備計画」に基づき、防護・利用・環境これら3つの調和のとれた浜名湖の水辺空間の整備を進め、浜名湖岸の安全度の向上と周辺地域の更なる魅力向上・振興に取り組んでまいります。
項 目 8 浜名湖について
(2)アサリの資源回復
答弁者 農林水産担当部長
質問要旨 アサリの2021年の漁獲量は100トンで、3年連続で過去最低を更新し、2009年の6,007トンに比べると60分の1の水準にまで激減した。
アサリの不漁には様々な要因が考えられるが、浜名湖は水産用水基準(2018)の 全リン・全窒素 の下限値を下回っており、貧栄養化の進行も原因のひとつと考えられる。他県では浄化センターの処理能力を下げて栄養塩を海に流す取組を進めており、浜松市と湖西市の協力を得て試験的に行う必要があると考える。
また、アマモを増やすことはアサリの資源回復の観点からとても重要な取組だと考える。アマモ場は魚類などの産卵場や稚魚の成育場所として貴重な場を提供するとともに、プランクトン等が豊富に生息するため、餌場や、捕食者からの隠れ場所となる。視察に伺った岡山県では、漁業者がアマモを増やす活動を開始し、アマモの面積を拡大させる取組を進めており、浜名湖でも同様の取組が必要と考えている。
さらに、アサリを浜名湖内で増殖する取組を拡大する必要もあると考えている。現在浜名漁協では、県の水産・海洋技術研究所浜名湖分場の協力のもと、アサリ資源を少しでも回復させるため活動に取り組んでいると聞いている。令和4年の漁獲量は7月末時点で前年1年間の総漁獲量を19トン上回ったものの、資源の水準は依然として低く、回復への道のりはまだまだ厳しい状況となっている。
そこで県は、アサリの資源回復についてどのように考え、取組を進めていくか伺う。
<答弁内容>
次に、浜名湖についてのうち、アサリの資源回復についてであります。
浜名湖のアサリの漁獲量は近年、著しく低迷しており、漁業者の経営は大変厳しい状況にあります。漁獲量の低迷は、プランクトン量の減少や湖内の潮流の変化など、複数の環境要因が複雑に絡み合って起きているものと考えられます。
議員御指摘の浄化センターの能動的管理に関しましては、アサリの餌となる植物プランクトンの成長に必要な無機態の窒素やリンの量が、過去40年間減少していないことや、下水処理能力を引き下げて、更に栄養塩を供給する場合には、水質などの環境面への配慮が必要となることを踏まえて、関係機関と連携し、慎重に検討を行ってまいります。
また、浜名湖内で減少傾向にあるアマモについては、海のゆりかごと呼ばれ、稚魚の隠れ家となるなど、水産生物を育む役割があるとされており、浜名湖のアサリの生育にアマモ場が果たす機能等の調査研究を進めてまいりたいと考えております。
アサリの増殖の取組につきましては、漁業者と連携して囲い網などを設置することで、一定量の親貝や稚貝が確保されるなどの成果が見られております。また、アサリの減少要因の解明や、増殖技術の開発に向けた研究を強化するとともに、クロダイの食害対策も引き続き進めてまいります。
県といたしましては、有効と考えられるあらゆる対策を講じ、アサリの資源回復に全力で取り組んでまいります。
項 目 8 浜名湖について
(3)県立自然公園の保護、利活用
答弁者 くらし・環境部長
質問要旨 私の地元には、湖西連峰という素晴らしい資源があるが、登山道の整備を長年行ってきたボランティア組織が、高齢化に伴い解散してしまったことにより、最近、豊橋市側の登山道が広範囲にわたって閉鎖されてしまった。また、利用者の増加に伴い、駐車場等の利用について、利用者へ相応の負担を求める声もあがっている。
こうした問題は、湖西連峰を含む県立浜名湖自然公園だけではなく、県下全域の県立自然公園共通の課題である。現在、県立自然公園には地区ごとに公園計画があり協議会も設置されているが、十分に機能しているとは言えない。
今後、協議会の活動をより活発化するとともに、保護・利用両面で目に見える動きが必要と考えるが、県として、今後どのように取り組むのか所見を伺う。
<答弁内容>
浜名湖についてのうち、県立自然公園の保護、利活用についてお答えいたします。
県では、美しい湖岸景観と森林景観を有する浜名湖県立自然公園をはじめ、県内4か所の優れた自然の風景地を県立自然公園に指定し、それぞれの公園計画を定め、保護と利用の取組を進めております。この取組を促進するためには、行政と地元関係者等で構成する協議会が中心となって、継続的に活動を展開していく必要があります。
このため、地域で活動する協議会等が有している、登山道の維持管理などに関する課題や先進的事例を共有し、連携してその解決や展開を図るとともに、地域活動に関心のある企業や民間団体の参画を募り、活動を支える仕組みづくりを行うなど、協議会の活性化を促進してまいります。
加えて、議員御紹介の長野県の取組を参考に、公園利用者、観光関係者、環境団体等と対話し、保護と利用のアイデアなどを聞き取り、協議会の活動に反映させていく取組なども進めてまいります。
県といたしましては、市町や地元関係者と連携し、自然公園の保護と利用の増進を地域の実情に応じて進め、県民の皆様に愛され利用される県立自然公園を目指してまいります。
項 目 8 浜名湖について
(3)県立自然公園の保護、利活用【再質問】
答弁者 くらし・環境部長
質問要旨 先ほど県立自然公園の協議会は設置してあるとの話を頂きましたが、協議会がやはり動いていないという印象を持っています。浜名湖だけでなく、議長の地元の御前崎周辺も非常に県立自然公園としては魅力がいっぱいだと思います。
これら協議会をどのように動かしていくのかというところに課題があるのですが、現在動いていないと認識していますので、そこについて御答弁よろしくお願いいたします。
<答弁内容>
県立自然公園の保護、利活用について、再質問にお答えします。
協議会でございますけれども、県と地元の市町、地元関係者など、各地の協議会によって様々でございますけれども、こういった方々に参加いただいて協議会を構成しております。
各協議会それぞれの地域の事情が様々ございますので、そういうところの課題を把握して、市町と連携して活性化を図っていきたいと思います。
項 目 8 浜名湖について
(4)浜名湖花博20周年記念事業
答弁者 農林水産担当部長
質問要旨 浜名湖花博20周年記念事業について、会派として浜名湖ガーデンパークを視察し、舘山寺観光協会を始めとする関係者との意見交換を重ねてきた。その上で、事業を計画していく上で、以下について提案する。
開園から20年となり、施設の劣化やエリアコンセプトの見直しが必然である。国際庭園は老朽化が目立つ上に設置テーマが不明瞭になってきているため、撤去も視野にエリアコンセプトを刷新すべきである。
公園内に食事施設がほぼなかったことは以前より課題とされてきた。大胆なエリアコンセプトの見直しの中で、「食」についてきちんとした位置づけが必要である。
エリアコンセプトを作り直す中で、「SDGsの実践」「DXの導入」「舟運や自動運転など移動圏拡大の実証」「アウトドア機能・学習機能」「浜名湖のマリンスポーツやゴルフ場、芝生広場との連携したスポーツ機能」「ワーケーション機能」などの要素の組み込みが必要である。これらの要素が、20周年記念事業の一過性のものに終わらず、理想の公園のありかたを追求する姿として具現化することが望ましい。
以上の提案について、所見を伺う。
<答弁内容>
次に、浜名湖花博20周年記念事業についてであります。
本事業のテーマである「人・自然・デジタルの架け橋 レイクハマナ デジタル田園都市(ガーデンシティ)」の具現化に向け、浜名湖ガーデンパークにつきましては、事業の終了後も見据えた上で、公園のあり方を検討しております。
公園内のエリアにつきましては、「参加・交流・体験エリア」、「スマート農業推進エリア」、「人と自然の共生エリア」等の7つに分け、それぞれの特徴を活かしたコンセプトを設定し、老朽化した施設の撤去等の基盤整備や花の修景を行ってまいります。
今後は、花緑を通じた交流に加え、食と農・福祉・多文化共生の視点を盛り込むことにより、公園の機能強化を図ってまいります。具体的には、公園内で生産した農産物の園内カフェでの提供や、多様な人々が楽しめるユニバーサルガーデン、ワーケーションなど、新しい暮らしの提案にも力を入れてまいります。
県といたしましては、公園の再整備に当たっては、今後の都市公園のあり方のモデルとなるよう、「持続可能な公園」を目指してまいります。
項 目 9 シラスウナギの持続的な採捕に向けた取組について
答弁者 農林水産担当部長
質問要旨 漁業法の改正により、シラスウナギの採捕が従来の種苗採捕許可から知事許可漁業に移行し、特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律がシラスウナギに適用される動きがある。
浜名漁協におけるシラスウナギ採捕は、200人余の組合員が従事し、多くの組合員の重要な生業になっている。今回の改正は、シラスウナギ採捕の持続性を担保するため、流通や売買の制度を整えるよい機会だと考えているが、新たな制度づくりのために3つの視点が重要になる。
1点目は、県外向けの流通に関する規制についてである。県内養鰻業者は、自由に県外から購入しているにもかかわらず、県内で採捕されたシラスウナギは県内養鰻業者のみ購入が認められ、県外へ流通させない仕組みとなっているため、価格は県外のものより安い場合も多く、不正の温床になっていると指摘されている。
2点目は、採捕許可数量の増加についてである。県内養鰻業者の需要を満たすには2.4トン程度が必要となるが、現在の許可数量は1.7トンにとどまっている。国内全体の需給調整に参加することで、県枠の撤廃等を検討することが必要である。
3点目は、公平性のある売買の場の確保である。価格競争をうながして公正な価格決定がされるしくみが必要である。
そこで、県はシラスウナギ採捕の持続性を担保するため、流通や売買の制度を今後どのようにつくっていくのか、また、利害関係者との協議の場をどのようにもうけていくのか、県の所見を伺う。
<答弁内容>
次に、シラスウナギの持続的な採捕に向けた取組についてであります。
本県では、県内養鰻業への種苗の安定供給を目的として、養殖用のシラスウナギに限って、採捕を許可してまいりましたが、漁業法の改正に伴い、令和5年12月のから、漁業許可制に移行することとなっております。移行後は、種苗の販売先の制限が撤廃され、県外への流通が可能となります。
一方で、県内養鰻業への流通量の減少も懸念されていることから、新たな制度設計に当たっては、採捕数量の拡大を検討してまいります。その際には、ウナギ成魚の漁業者への影響、過度な採捕の予防などの様々な観点や、漁業取締りの実効性を高めるための集荷先の運用にも留意してまいります。
また、シラスウナギの売買につきましては、公平性や透明性が確保され、関係者が安心して取引を行うことのできる健全な仕組みづくりに取り組んでまいります。
県といたしましては、シラスウナギの採捕者や養鰻業者、成魚の漁業者、流通業者といった多様な利害関係者との協議の場を年内に設け、御意見を丁寧に伺いながら、流通の適正化と水産資源の保護が両立できるよう、慎重に制度設計を進めてまいります。
項 目 10 スタートアップ支援について
答弁者 知事
質問要旨 スタートアップとは、急成長をする組織のことであり、わずか数年間で数千億円の価値評価が付く会社や、数十年で世界を変革するような事業を行おうとしている会社などを指します。
今年6月に公表された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針)には、「スタートアップ」が重点投資分野に位置付けられました。政府は、今後5年でスタートアップへの投資額を10倍に増やすとの目標を掲げ、スタートアップへ支援を強化して行く方針を打ち出しており、静岡県内では、浜松市はスタートアップ支援において全国的に見ても注目すべき施策を展開しています。例えば、市が認定したベンチャーキャピタルによる市内スタートアップへの投資に対し、市が協調して交付金を出すなど、ベンチャーキャピタルが市内スタートアップに投資しやすくし、市内スタートアップにとって資金調達手段を増やすことを目的に実施しているファンドサポート事業は、良い意味での行政の枠を超えた先進的な事業です。早くも、浜松市では様々な成果が出ていますので、人材不足、資金調達等のスタートアップの課題解決に向けた支援事業を県下全域にも展開するべきと考えます。
そこで県としてスタートアップ支援についてどの様に考え、支援を行っていくのか県の所見を伺います。
<答弁内容>
次に、スタートアップ支援についてであります。
経済成長の原動力であるイノベーションを生み出し、社会課題の解決にも貢献し得るスタートアップは、日本経済の新たな牽引役として期待される存在です。こうした企業が自律的に創出され、成長できる環境を整備することが重要であると認識しております。
御紹介がありました浜松市では、早くからスタートアップの育成・支援に取り組まれており、2020年7月に愛知県や名古屋市と一体で、国が認定するグローバル拠点都市の一つに選ばれました。ファンドサポート事業の他にも、環境整備や人材育成など様々な支援策が展開されていると承知しております。
一方、本県では、大学の先端的な研究シーズに着目し、大学発ベンチャーを継続的に創出する仕組みを構築してまいりました。具体的には、大学のシーズと地域企業のニーズを結び付けるコーディネータを配置するとともに、スタートアップの育成に実績がある民間事業者が伴走支援を行っております。さらには、試作品の製作や市場テスト等への補助を行うことで、近年、静岡大学や県立大学等を中心に起業件数が増加するなど、着実に成果を上げております。
加えて、「TECH BEAT Shizuoka」の開催を通じまして、首都圏に集中するスタートアップによる県内企業等との協業や、本県への進出を後押ししております。
このほか県内では、金融機関をはじめとする民間事業者が、独自に支援拠点を開設する事例や、ベンチャーキャピタルによるファンドの組成など、新しい動きも見られております。
県といたしましては、大学発ベンチャーなどの創出及びその育成と、首都圏スタートアップの誘致に取り組むとともに、年内にも策定される国の育成5カ年計画を踏まえて、民間事業者の動向や、浜松市の先進的な取組も視野に入れ、県内全域での効果的なスタートアップ支援の在り方を検討いたします。
なお、その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁申し上げます。
項 目 11 耕畜連携の推進について
答弁者 農林水産担当部長
質問要旨 新型コロナウイルス感染症の影響などによって、飼料や肥料の価格が高騰し、耕種農家や畜産農家の経営に大きな影響を及ぼしている。
飼料や肥料は海外からの輸入に頼らざるを得ない状況にあるが、今後は、外的要因に左右されにくく、安定的に農業経営ができる環境を整えることが不可欠である。
農業においては、水稲農家から出た稲わらは、家畜の飼料として利用され、畜産農家が家畜の糞尿から生産するたい肥は、耕種農家の貴重な肥料の一部となる。
私の地元の湖西市は、養豚場が多く、さらに、最近1000頭クラスの牧場が整備されたことにより、莫大なたい肥が発生することになる。
これらを耕畜連携で肥料の一部として活用することなどができれば、両者の安定した経営につながるとともに、お互いの経営の中では利用が難しい生産物を融通し合い、有効活用する仕組みを構築することで、地域におけるサーキュラーエコノミーのモデルになることも期待できる。
耕畜連携の一層の推進に向けたこの提案について、県としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。
<答弁内容>
次に、耕畜連携の推進についてであります。
国際情勢の不安定化等により、輸入飼・肥料の価格が高騰し、農業経営が逼迫する中、議員御指摘のとおり、耕種農家と畜産農家が連携し、国産の未利用資源を循環利用する耕畜連携の取組は、持続可能な農業経営を実現する上で大変重要であると考えております。
県では、今年度、関係各課で構成する「耕畜連携検討ワーキング会議」を立ち上げ、国産飼料の安定的な供給方法や、畜産たい肥の特性に応じた効果的な利用方法について具体的な検討を進めております。
また、耕種農家がたい肥を利用する時期が限定されることや、たい肥の散布には大きな労力がかかることから、現在、畜産技術研究所において、流通や保管が容易で、散布しやすい粒状たい肥の研究開発にも取り組んでおります。
今後は、JAの生産部会等と連携しながら、稲わら等を供給する耕種農家と畜産農家を広域的にマッチングする仕組みを構築するとともに、たい肥の利活用が定着するよう、先導モデルとなる展示ほ場の整備や農林事務所による栽培指導を強化してまいります。
県といたしましては、地域資源を有効活用する耕畜連携を推進し、生産性と持続性が両立した次世代農業を実現してまいります。
以上であります。
項 目 12 医療分野における個人番号制度の活用について
答弁者 健康福祉部長
質問要旨 現在あらゆる分野でDXが加速しているが、劇的に変化する可能性を秘めているのは医療分野である。
社会保障審議会医療保険部会でも全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大について議論が活発に行われている。
全国どこでも安心して自身の保健医療情報が医師などに安全に共有されることにより、通常時に加え、救急や災害時であっても、より適切で迅速な診断や検査、治療等を受けることを可能にすることが目指すべき姿となる。
国においても、マイナンバーカードを利用し、令和3年7月からは特定健診情報を、同年10月からはレセプト記載の薬剤情報を、そして本年9月からは放射線治療や画像診断等の医療情報を確認できる仕組みの運用が開始されている。
この仕組みの拡大には、マイナ保険証の普及率の向上、診療所等へのカードリーダーの普及、電子カルテ化などの課題が多くあるが、静岡県としても他県のモデルになる先進的な取組を進める必要があると考える。
そこで、県として、個人番号制度を活用し、医療情報を確認できる仕組みの拡大について、どのように取り組んでいくのか所見を伺う。
<答弁内容>
医療分野における個人番号制度の活用についてお答えいたします。
個人番号制度の活用に当たりましては、特に、マイナンバーカードを健康保険証として利用する、いわゆる「マイナ保険証」の普及が低調であることや、医療機関でカードリーダーが広く活用されていないことが課題であると考えております。
マイナ保険証の普及につきましては、令和4年8月現在、全国の普及率は、マイナンバーカード交付者のうち29%であります。国では、地方厚生局や社会保険診療報酬支払基金支部等で構成する連携会議を各都道府県に設置することとしており、県では、市町や健康保険組合等の保険者とともに、連携会議と協力し、マイナ保険証の広報に着実に取り組んでまいります。
また、国は、補助制度を拡充し、来年度から、医療機関でカードリーダーを利用したシステム導入を義務化する方針であります。県では、今年度から、医療機関での導入後の活用方法につきまして、医師会、病院協会等の関係団体と連携し、医療関係者が参加する会議で、具体的な利用例をお聞きし、関係者に周知するとともに、実効性のある取組を、研究をしてまいります。
県といたしましては、医療機関や保険者等と連携し、マイナ保険証の利用により、適切で迅速な診断や治療等につながることを県民の皆様に御理解いただくように努め、医療分野におけるマイナンバーカードの活用に積極的に取り組んでまいります。
以上であります。
項 目 12 医療分野における個人番号制度の活用について【再質問】
答弁者 健康福祉部長
質問要旨 再質問の2点目である。医療分野における個人番号制度の活用について、マイナ保険証の普及というのは、県民の命を救う上で、とても大事なものと思っている。マイナ保険証の広報をするという答弁であったが、具体的にどのように広報をしていく考えなのか、質問する。
<答弁内容>
マイナ保険証の広報についてお答えをいたします。
広報につきましては、国で都道府県ごとに連携会議、これ国の機関が中心でございますが、作られることになっておりまして、まずは私ども県、市町はそれと連携しながら取り組んでいきたいと思います。
具体的には、現在、県内30の市町で、国民保険証の変更時ですとか、納入通知の発行時にリーフレット等を用いまして、マイナンバーカードの取得の促進ですとか、被保険者証の利用について周知・広報している状況にございます。
こうした取組を、全市町で着実に実施されるよう、県からも働き掛けて、県下全域でできるように努めていきたいと考えております。
項 目 13 外国人施策の一体的な推進について
答弁者 地域外交担当部長
質問要旨 本県には、多様な国籍や在留資格を持つ約10万人の外国人県民が居住しており、多文化共生の地域づくりを進める必要がある。
一方、人口減少や少子高齢化により、外国人労働者に対する需要は増している。
地域外交の新たな取組として「海外からの活力取り込み」を図るとし、今年度、改訂された「静岡県地域外交基本方針」において、「世界から選ばれる“ふじのくに”」を目指して外国人材や外資系企業の誘致に力を入れるとしている。
地域外交の持つネットワークを活かして、多くの高度人材を呼び込むことに加え、取り込んだ外国人材が、互いの文化や習慣を理解して地域に溶け込む視点を持つことも重要である。
海外からの活力取り込みを図る地域外交と、県内の外国人材の受入共生を担う多文化共生課が、一体的に取組を推進することが必要と思料する。
この点を踏まえ、今年度から新たに掲げた「世界から選ばれる“ふじのくに”」を目指して、どのように取り組むのか、県の所見を伺う。
<答弁内容>
外国人施策の一体的な推進についてお答えいたします。
人口減少や少子高齢化に伴い、県内経済の成長が鈍化する中、本県が活力を維持・伸長していくためには、世界中から憧れられ、多くの人々が集う、活力に満ちた地域を目指す必要があります。地域外交の持つ海外とのネットワークを活用しながら、外国人材や外資系企業を取り込み、企業支援や地域活性化に寄与することは、重要であると考えております。
これまで、大都市圏在住の外国人材を対象にアンケート調査を実施したところ、本県の実情や優位性が十分に知られていなかったことから、情報発信の強化に取り組みました。今年度は、県内企業の要望に応えるため、外国人材が県内企業に就業するための機会を創出する試行的な事業や、外資系企業のサテライトオフィス誘致などを行っております。
こうした取組を効果的に実施するためには、海外からの活力取り込みを図るとともに、県内で暮らす外国人県民が地域で活躍できるよう、十分な支援を行うなど、地域外交と多文化共生の施策を一体的に進めることで、外国人材の能力が地域に活かされ、更なる人材の取り込みにつながる好循環を作ることが必要であると考えております。
このため現在、内閣府の地方創生推進交付金を活用し、多文化共生の環境整備や留学生の受入れ、外国人材の就業支援を図る関係部局と共同で、海外からの活力取り込みを推進しているほか、地域外交局が中心となり、関係部局と情報共有を図るための仕組みを整え、取組を強化してまいります。
県といたしましては、県民の皆様や県内企業が多くの恩恵を享受できるよう、引き続き関係部局と連携し、「世界から選ばれる“ふじのくに”」の実現を目指してまいります。
以上であります。
項 目 14 高校の入試改革について
答弁者 教育長
質問要旨 県の教育委員会は、昨年度、静岡県公立高等学校入学者選抜制度に関するアンケート調査を実施した。
そこでは、学力検査、面接等、調査書の何を入試で重視をしてほしいですかとの設問がある。回答を見ると、中学生、中学生保護者及び高校生保護者では、学力検査を重視してほしいとの回答は約3割にとどまり、調査書を重視してほしいとの回答の約4割を下回っている。一方で、受験を経験した高校生の約半数、中学校教員と高等学校教員の約6割が学力検査を重視してほしいと回答している。
平成18年のアンケート結果と比べ、全体として学力検査を重視してほしいという傾向があると思う。時代の変化により、生徒さんも学校の先生も保護者も考え方が変わっていると思うので、外部の有識者等も交えて時代に即した入試制度とは何かを議論する場をつくって制度の変更をしていく必要があると考えている。
そこで、昨年のアンケート結果の主たる結果報告、また、結果をどのように分析され今後に生かしていくのか、所見を伺う。
<答弁内容>
高校の入試改革についてお答えいたします。
現在の高校入試制度は、毎年軽微な変更はあるものの、基本的には平成20年度に制定した制度に基づき、実施しております。時代とともに、生徒や社会の価値観や学びに求める内容も変化していることから、中長期視点の中で、どのような制度が望ましいかを検討する時期にあると認識しております。
検討に当たっては、生徒、保護者、学校の意向はもちろんのこと、県として進めている、画一的でない、多様な学びへの改革に沿った制度にしていきたいと考えております。議員から御指摘いただいた、選抜において何を重視すべきかといった事項も含めながら、本質的かつ多角的な視点による検討を行ってまいります。
3月に実施したアンケートは、こうした認識の下、選抜で重視してほしい事項について調査いたしました。結果は、おおむね保護者は調査書重視、教員は学力検査重視の傾向があり、生徒は中学生が調査書、高校生が学力検査重視と意見が分かれております。調査書重視については、総合的に評価できる、3年間の積み重ねを評価できる、学力検査重視については、客観的に評価できる、入試に向けて勉強した成果を評価できる、などの意見がございました。
今後は、年内に外部有識者や大学生などに参加いただく入学者選抜制度を検証する場を設置し、アンケート結果なども活用した検討を進めてまいります。また、「県立高校の在り方を検討する外部委員会」と相互に意見調整を行うとともに、地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会などを通じて、幅広い方々との意見交換を重ねてまいります。
こうした検討を行い、十分な周知期間を取った後に制度変更するまでには、一定の期間が必要であることから、学校裁量枠の見直しなど現在の制度下における改善・改良は、随時行ってまいります。
県教育委員会といたしましては、社会や地域が求める人材の育成を図るため、様々な関係者の御意見を伺いながら、時代に合った入学者選抜制度の構築を目指してまいります。
項 目 15 警察業務におけるDXの推進について
答弁者 警察本部長
質問要旨 ―
<答弁内容>
警察業務におけるDXの推進についてお答えいたします。
警察業務のデジタル化は、新たな治安上の課題に柔軟に対処するという観点はもとより、県民の利便性の向上や、業務の合理化・効率化、職員のワークライフバランスという観点から、重要課題として取り組んでいるところです。
具体的には、平成29年1月から事件事故におけるドローン等の先端技術を活用しているほか、本年4月、静岡県警察DX推進本部を立ち上げて、推進体制を強化したところであり、来年3月には、電子決裁を導入する予定としております。
また、運転免許等の手数料の支払いについても、電子マネーなどによる支払いを可能とするキャッシュレス決済や、優良運転者のオンライン更新時講習の導入等の検討を進めております。
今後も、知事部局や民間企業とも積極的に情報交換を進め、外部の知見等も取り入れながら、警察DXを強力に推進してまいります。
以上であります。