2月27日、本会議にて代表質問をおこないました。
湖西市の課題と県下全域の課題を取り上げていますので是非ご覧ください。
項 目 1 知事の政治姿勢について
(1)能登半島地震を踏まえた本県の地震・津波対策
答弁者 知事
質問要旨 はじめに、知事の政治姿勢についてのうち、能登半島地震を踏まえた本県の地震・津波対策について伺う。
元日に最大震度7を観測した「令和6年能登半島地震」は、多数の死者・負傷者、建物被害の発生など、甚大な被害をもたらした。亡くなられた方々、被災された方々に対して、心より御冥福・お見舞いを申し上げる。
会社員時代、数年能登半島の旅館、ホテルをはじめ北陸地域を担当しており、私がお世話になった方々も多く被災された。議員の皆様におかれては、復旧が進み次第、是非この地に足を運んでもらい、経済復興に力をお貸しいただけるとありがたい。
さて、今回の地震では、最大震度7の揺れによる建物の倒壊だけでなく、津波の襲来、地震に起因した火災や大規模な土砂崩れの発生など、南海トラフ巨大地震でも想定される多様な被害が発生した。
道路網が分断され物資や支援がままならなかったことや、家屋の倒壊や火災により多くの命が失われたこと、福祉避難所の設置が進まなかったことなどは、本県としてもいわば「自分ごと」として捉えざるをえない地震であり、県民の不安も高まっているのではないかと思う。
未だに本県からの被災地支援も続いており、検証の段階にないことは承知しているが、いつ・どこで起こるか誰にも分からないのが災害である。
このような状況の中、今回の能登半島地震を踏まえ、本県の地震・津波対策をどのように進め、県民の安全・安心を守っていくのか、県の考えを伺う。
<答弁内容>
田内議員にお答えいたします。私の政治姿勢についてのうち、能登半島地震を踏まえた本県の地震・津波対策についてであります。
今回の令和6年能登半島地震で発生した、幹線道路の寸断や多くの孤立集落の発生、ライフラインの復旧の遅れや、厳しい避難環境などは、将来発生が危惧されている南海トラフ巨大地震でも予想される事態であります。
そのため、県では「地震・津波対策アクションプログラム2023(にせんにじゅうさん)」を含めたこれまでの取組により、防潮堤、津波避難施設、緊急輸送路などの整備や、公共施設等建築物の耐震化、避難所の環境改善などを進めるとともに、県民の皆様に対し災害リスクの把握と早期避難意識の啓発について市町と連携し、推進してまいりました。今回の災害により、本県の地震津波対策の基本的な方向性が変わるものではありませんが、過去の災害と同様に、今回の教訓を本県の防災・減災対策等に反映することは極めて重要であります。
孤立集落対策としましては、これまでも道路啓開計画の共有や民間事業者との連携、ヘリスペースや通信手段の確保に取り組んでまいりました。来年度は、これに加え、新たに、孤立地域に緊急物資を輸送するためのドローンを各地域局に配備するとともに、孤立化の可能性が高い地域の警察施設に衛星通信施設を新規に整備してまいります。
木造住宅の耐震化については、これまで市町と連携した戸別訪問や自主防災組織などを通じた耐震化の呼び掛けを行ってまいりましたが、来年度は更なる利用促進に努め、プロジェクトTOUKAI(とうかい)-0(ゼロ)の助成枠を拡大いたします。また、大規模火災対策については通電火災等の防止のため、地震・津波対策等減災交付金に「感震ブレーカー普及メニュー」を新たに追加し、市町による導入促進を支援してまいります。
県といたしましては、今後も能登半島地震で顕在化した課題や対応についての検証を継続するとともに、「地震・津波対策アクションプログラム2023(にせんにじゅうさん)」等に反映し、市町と一体となって取り組むことで、県民の皆様が安全・安心に暮らせる災害に強い県土づくりに邁進してまいります。
項 目 1 知事の政治姿勢について
(2)令和6年度当初予算編成
答弁者 知事
質問要旨 我が会派、ふじのくに県民クラブは、昨年12月に、会派政策「未来共創」の5本柱「命・環・豊・人・礎」に沿い、令和6年度当初予算編成に対して政策提言を行った。この提言は、我が会派の議員が、市町を訪問し、直接、現場の声を聞き取り、策定したものである。県には、現場の声を十分に汲み取り、激甚化する災害対策、脱炭素化、人手不足や教育環境の充実などに対して、来年度の予算においてしっかりと対応し、この難局を打破してもらいたい。
その一方で、県の財政状況は厳しく、財源不足額は、近年、拡大傾向にある。昨年11月に、財政健全化の取組の推進を目的として、事業見直しについての会派の提言を行った。知事からは、12月定例会において、「順次、事業の見直しを進めており、令和6年度当初予算にしっかりと反映させていく」との答弁をいただいた。
大変厳しい予算編成になったと推察するが、令和6年度当初予算には、イノベーションにつながる取組が数多く盛り込まれるなど、未来への希望を県民に抱かせる予算となったと感じている。そこで、我が会派の提言に対して、県として令和6年度当初予算編成にどのように反映させたのか伺う。
<答弁内容>
次に、令和6年度当初予算編成についてであります。
令和6年度当初予算につきましては、社会構造が大きく転換する中、本県が直面する課題に挑戦し、県民誰もが将来に希望を抱き、持続可能な未来を実現するための予算を編成いたしました。ふじのくに県民クラブの皆様から頂きました、5つの柱から成る政策提言を真摯に受け止めまして、厳しい財政状況の中ではありますが、可能な限りお応えいたしました。
第1の柱、「命」につきましては、能登半島地震において顕在化した課題を踏まえ、プロジェクト「TOUKAI-0」の助成件数の拡充や孤立集落に物資の輸送を可能とするドローンの整備等を進めてまいります。また、子育てしやすい環境の充実に向け、保育士の配置を充実させるほか、男性の育児休業の取得を促進するため、国に先駆けて本県独自の支援制度を創設いたします。
第2の柱、「環(つなぐ)」につきましては、脱炭素や循環型社会の構築を一層推進するため、金融機関等と連携したコンソーシアムを新たに設立し、中小企業の脱炭素経営を支援するほか、市町と連携し、紙おむつの再資源化の実証実験を進め、全国に先駆けた静岡モデルを構築いたします。加えて、ユネスコエコパーク認定から10周年を迎える南アルプスの希少な生態系への理解を深めるため、魅力の発信等にも取り組んでまいります。
第3の柱、「豊(ゆたか)」につきましては、経済成長の原動力となるスタートアップへの支援を強化いたしますほか、プロスポーツチーム等と連携して、食・医療・観光などの豊富な地域資源と知見を融合した「スポーツの総合産業化」を推進いたします。また、次世代エアモビリティ、いわゆる空飛ぶクルマの先進導入地域を目指し、フライトシミュレーションや実証実験に取り組むロードマップを作成いたします。
第4の柱、「人」につきましては、教員が児童・生徒と向き合う時間を確保するため、スクールサポートスタッフの小中学校への全校配置や部活動指導員の増員を行います。また、高度なデジタル人材が活躍する地域づくりを進めるため、県内教育機関と連携し、ゲーム分野などの仮想空間におけるデジタルクリエイターを育成してまいります。
第5の柱、「礎(いしずえ)」につきましては、ふじのくに県民クラブからの事業見直しの御提言も踏まえまして、短期・中長期の視点で事業の実績や成果を検証し、重点化や効率化、手法の転換等を行いました。これらの歳出のスリム化と、寄附金やふるさと納税の拡大等による歳入の確保を合わせ、89億円の財源を捻出いたしました。
令和6年度は、コロナ禍を乗り越え、新ビジョンが目指す持続可能な社会の実現に向けて、翔(はばた)く年であります。世界に誇るSDGsの理想郷を目指し、県民誰一人取り残すことのない「富国有徳の美しい“ふじのくに”」づくりに全力で取り組んでまいります。
項 目 2 次世代エアモビリティーの先進地域を目指す取組について
答弁者 デジタル戦略担当部長
質問要旨 2025年の大阪・関西万博にあわせた、次世代エアモビリティ、いわゆる空飛ぶクルマの商用運航開始が期待される中、機体開発を手がける株式会社スカイドライブとスズキ株式会社が協力関係を構築し、県内で機体製造が始まる見通しである。
また、県は、昨年8月に航空事業者と連携協定を締結し、3次元点群データを活用して、次世代エアモビリティの先進地域を目指す取組で連携することとしている。
本県は、機体開発や運航の面で優位性を有することから、先進地域となるべく速やかに取組を進めていくべきと考える。
国は、空飛ぶクルマの制度整備が進めているが、機体の安全性や騒音、空域管理、離着陸場などの具体的な基準は、これから定めることとしており、実際の運航では不明確な点もあり、課題も多いと認識している。
離着陸場が身近な場所に設置されることは、楽しみでもあるが、どのような形で設置され、どの場所を結ぶかなど、検討すべき事柄は多くある。
そこで、次世代エアモビリティの先進地域を目指す上で、現在の状況と課題、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
<答弁内容>
次世代エアモビリティーの先進地域を目指す取組についてお答えいたします。
新しい空の移動手段である次世代エアモビリティは、低騒音で環境に優しく、離発着場の自由度も高いことから、幅広い分野での活用が期待されており、現在、国は、機体や運航における制度や基準の整備を急ピッチで進め、機体メーカーでは、製造が本格化しつつあります。
このような中、本県は、運航の担い手となる朝日航洋株式会社と昨年8月、連携協定を締結し、法整備や機体製造、運航事業の状況をいち早く情報収集できるようになりましたが、本県が先進地域となるためには、より早く、観光や地域交通など、多くの分野で活用することが求められます。そのため、県庁に部局横断で推進する体制を整え、次世代エアモビリティの活用を進めるためのロードマップを取りまとめてまいります。
また、実際の活用に当たっては、航路や離発着場の候補地選定が重要となりますことから、本県の強みである3次元点群データを用いた仮想空間上でのシミュレーションの準備も進めてまいります。
人流を大きく変化させる次世代エアモビリティは、来年の大阪・関西万博での活用が先行される予定ですが、本県といたしましては、様々な分野の関係者と連携を深め、本県の強みである3次元点群データを活用した、他には真似できないアプローチで、本県を次世代エアモビリティの先進導入地域としていくよう戦略的に取り組んでまいります。以上であります。
項 目 3 リニア中央新幹線整備に関する対話を要する事項について
答弁者 知事
質問要旨 そもそもリニア問題は、平成25年9月に、JR東海が、環境影響評価準備書において、南アルプストンネル工事により大井川の流量が毎秒2-減少するなどの予測を公表したことに端を発しており、トンネル湧水による影響が懸念される大井川の水資源と南アルプスの自然環境の保全について、県とJR東海との対話が始まったと理解している。
県は、令和元年9月に、「引き続き対話を要する事項」、いわゆる47項目を取りまとめ、県専門部会において、JR東海との対話を進めてきた。
また、令和2年4月に始まった国の「リニア中央新幹線静岡工区有識者会議」においても、47項目全てを議論するよう要請してきたものと承知している。
国の有識者会議においては、令和3年12月に「大井川水資源に関する中間報告」を取りまとめ、その後は、JR東海の環境保全に関する取り組みについて議論が進められてきた。そして、昨年12月に「リニア中央新幹線静岡工区に関する報告書」を取りまとめ、国土交通省から公表されたところである。
県は、国の報告書が公表されたことを受け、47項目について、これまでのJR東海との対話の進捗状況を評価し、今月5日、森副知事が記者会見を開いて、詳細な説明を行っている。
私は、評価の結果をみて、水資源はかなり進捗している一方で、生物多様性とトンネル発生土については、一定の進捗はみられたものの、引き続き対話が必要であると受け止めた。しかし、翌日の新聞各社は、「課題解消17項目のみ」、「課題30項目未解決」など、項目数だけをとらえ、県とJR東海との対話が進展していないとの否定的な報道が多かったように感じている。
そこで、今回の47項目の評価結果について、県としては、どのように認識しているのか伺う。また、今後、JR東海との対話をどのように進めていくのか併せて伺う。
<答弁内容>
次に、リニア中央新幹線整備に関する対話を要する事項についてであります。
議員御指摘のとおり、これまで国に議論を求めてきた「引き続き対話を要する事項」47項目につきまして、今月5日、その進捗状況を整理し、17項目が終了したとの評価をしたところであります。
47項目の進捗状況は、「水資源」、「生物多様性」、「トンネル発生土」の3つの分野により、進捗度合いに差が見られます。JR東海との対話は、しかし、総じて着実に進捗していると受け止めております。
特に、「水資源」につきましては、26項目中17項目、約7割が終了いたしました。今後の主な対話は、突発湧水等の想定外に対応するリスク管理とモニタリングの段階に移ることになります。
工事期間中に県外流出するトンネル湧水の戻し方については、一昨年4月、JR東海から、田代ダム取水抑制案が示されました。そこからJR東海の調整が始まりました。昨年11月、田代ダム取水抑制案は水流出による影響を回避する保全策として、大井川利水関係協議会及び県が了解できる段階にまで至りました。これは、本県や流域市町等の粘り強い取組によるものであります。
一方、「生物多様性」につきましては、全体を通して進捗しているものの、対話が終了したものはありません。全ての項目の対話が継続中であります。
国有識者会議の報告書では、評価とフィードバックを繰り返し、追加対策を講じる、いわゆる「順応的管理」の考え方が示されました。この考え方には賛成いたしますけれども、管理を開始するためには、現計画の事前調査では不十分です。この点を含め、国有識者会議に、数回にわたり意見してまいりましたけれども、残念ながら十分に反映されませんでした。今後は、報告書を踏まえた上で、生態系への影響の予測・評価と事前調査も含めたモニタリングの具体的な実施方法について、JR東海と対話を行ってまいります。
「トンネル発生土」につきましても、全ての項目の対話が継続中であります。まずは、大量の盛土を行うツバクロ発生土置き場や要対策土の処理について、対話を進めてまいります。
今回、47項目の進捗状況の評価とともに、残された課題や新たに生じた課題等につきまして、県専門部会委員の御意見を伺いながら、「今後の主な対話項目」として整理いたした次第です。今後は、この対話項目に基づき、専門部会においてJR東海との対話を精力的に進めてまいります。
引き続き、リニア中央新幹線整備と、大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全との両立に向け、スピード感をもってJR東海との対話を進めてまいります。
項 目 4 富裕層をターゲットとした観光施策について
答弁者 スポーツ・文化観光部長
質問要旨 本県の訪日外国人宿泊客数は、コロナ禍前に約7割を占めていた中国人宿泊客の回復が遅れていることが主な要因となり、他の都道府県と比べ回復が遅れている。
しかし、静岡県の観光業の持続的な発展に向けては、単に宿泊客数を追うのではなく、観光客の滞在日数を延ばすことや、1人当たりの消費額を増やすことにより、観光の質を高めることに注力すべきであり、これらには世界各国の富裕層をターゲットにした誘客が欠かせない。
県としても、欧米豪やアジア高所得者などの富裕層をターゲットとして、高付加価値旅行商品の造成などに取り組んでいると認識しているが、より誘客力を高めるため、商品造成の他に、販売や受入体制の強化などにも取り組むべきではないか。
特に、県内には高級なホテルや旅館はたくさんあるが、海外の富裕層が好む、世界的な有名ブランドのホテルはわずかしかない。
そこで、世界的に有名なホテルを増やす取組を含めた、富裕層をターゲットとした観光施策における、現在の状況と課題、今後の取組について伺う。
<答弁内容>
富裕層をターゲットとした観光施策についてお答えいたします。
訪日外国人旅行者のうち、高付加価値旅行者、いわゆる富裕層は、全体の約1%に過ぎないものの、消費額は約11%を占めております。一方で、富裕層は大都市圏への訪問が多く、地方での消費が少ないことが課題であります。このため、本県への富裕層の誘客を強化し、消費額の拡大や滞在の長期化に結び付けることが重要であります。
現在、TSJ等と連携し、本県の特色ある自然や文化体験を組み合わせた、ストーリー性のある富裕層向けの周遊宿泊プランの開発に注力しております。具体的には、「日本初のヘリコプターで行く絶景の南アルプスツアー」や、「専属ガイド付きの富士山周遊ツアー」を造成いたしました。
今後も、富士山を眺めながらのゴルフや、浜名湖花博を契機に、花と生産者の解説付きで浜名湖の食を味わうツーリズムなど、本県ならではの特別な体験を盛り込んだ高付加価値商品の開発を一層促進いたします。加えて、ファムトリップや商談会を通じて、海外旅行会社や高級ホテルのコンシェルジュ等への売り込みを強化してまいります。
議員から御提案があった、県内に世界的に有名なホテルを増やす取組につきましては、市町、金融機関等にも参画いただき、誘致を目的とした勉強会を来年度立ち上げ、具体的な誘致エリアやインセンティブの創設など、誘致手法の研究を進めてまいります。
県といたしましては、観光の質を高める政策に積極的に取り組むことで、富裕層を本県に取り込み、滞在日数や一人当たりの旅行消費額の拡大につなげ、本県観光産業の持続的な発展を図ってまいります。
項 目 5 富士登山の安全対策について
(1)入山規制
答弁者 スポーツ・文化観光部長
質問要旨 昨年6月22日、富士山は世界遺産登録から10年の節目を迎えた。10周年を記念して開催した記念式典やシンポジウムなどの場では、富士山の文化的価値の継承や保全管理を巡る今後の課題について言及があり、国内外の有識者や専門家から、将来に向け富士山を守り伝えていくため、入山を抑制する制度を検討すべきではないかとの提言があった。
こうして迎えた昨年の夏山シーズンは、新型コロナウイルスの5類移行を受け、コロナ前の令和元年の水準まで登山者が回復した一方で、徹夜で山頂を目指す弾丸登山、軽装登山、ゴミの投棄等のマナー違反の問題が再び浮き彫りとなった。
これまでも、このような課題は指摘されてきたものの、踏み込んだ課題解決に至らなかったが、昨年末に、山梨県が条例により、登山道の一部を、道路法上の道路ではなく県有施設として管理する、いわゆる入山規制の導入を発表した。五合目にゲートを設置し、通行できる時間帯や人数に制限を設けるものと聞いている。
これを受けて本県側の関係者からは、山梨県側の規制が先行することで、本県側に弾丸登山やマナー違反をする登山者が流入することを懸念する声も出ており、何らかの対策を講じる必要があると考える。
そこで、静岡県側としては、今年の夏の開山に向け、どのように対応していく考えなのか伺う。
<答弁内容>
次に、富士登山の安全対策についてのうち、入山規制についてであります。
昨年の本県側の登山者数は、約8万4,000人と、コロナ禍前の水準にほぼ回復しました。山梨県と連携し、弾丸登山の自粛呼び掛けなど、安全対策を拡充して臨みましたが、更なる対策の強化が必要であります。
こうした中、山梨県では、五合目にゲートを設置し、県有地である登山道の一部と合わせて県有施設として管理する条例を新たに制定し、入山規制をする方針を発表いたしました。具体的には、山小屋の宿泊予約がある人を除いて、午後4時から翌午前3時までの通行止めと、一日当たりの登山者の上限を4,000人とする内容であります。
一方、本県側の五合目は県有地ではなく、3つの登山道の状況も異なるため、山梨県と同様の規制は困難であり、弾丸登山を目的とした登山者が、本県側に流れてくることが懸念されます。
このため、山小屋宿泊予約の有無などの情報を事前に登録するWebシステムを構築し、シャトルバス乗換駐車場などにおいて、宿泊予約のない登山者には、午後4時以降の登山自粛を呼び掛けます。今シーズンは社会実験として実施し、次年度以降、Webシステムによる保全協力金の決済機能の導入など、DXの更なる活用も検討してまいります。
県といたしましては、山梨県、国、地元関係者と連携し、今年の開山期に向けた準備に万全を期すとともに、将来に向けた富士山の適正な入山管理の実現に全力で取り組んでまいります。
項 目 5 富士登山の安全対策について
(2)富士宮口五合目の受入体制
答弁者 スポーツ・文化観光部長
質問要旨 富士宮口は、本県側では最も登山者の多い登山口であるが、令和3年に登山口唯一の休憩施設であったレストハウスが火災で焼失し、昨年夏は、県と富士宮市が協力し、仮設トイレやプレハブで対応したような状況である。
このような中、強風や大雨の影響で、五合目までの富士山スカイラインが通行止めになり、登山者が五合目に滞留したり、シャトルバスの運行終了後に、雨の中、タクシーを長時間待つというような事例も生じたと聞いている。
最近では、こうした天候不順が登山者に影響を与えるケースが増加する傾向にあることから、登山者の安全を確保する必要性が高まっている。さらに、入山規制も検討されるとすれば、登山拠点について、十分な対応を求める声が多くあがることが想定される。
そこで、今夏以降の富士宮口五合目における来訪者の受入体制の整備について、県の考えを伺う。
<答弁内容>
次に、富士宮口五合目の来訪者受入れ体制についてであります。
令和3年に民間のレストハウスが焼失した後、県では富士宮市と連携し、応急の対応として、プレハブの休憩施設と仮設トイレを設置し、来訪者を受け入れてまいりました。登山者数がコロナ禍前に回復する中、議員御指摘のとおり、天候の急変や災害時等の避難施設としては不十分であるため、一刻も早く受入体制を整備することが重要であります。
県では、恒久的な来訪者施設の令和10年供用開始を目標に、設計段階から施工者の意見を取り入れるECI方式の導入を目指し、令和5年4月に公募を実施しました。しかしながら、現計画地は、急峻な地形で複雑な地層であることに加え、標高2,400mに位置し、工事期間が冬以外のおおむね6か月に限定されるなど、特殊な環境であることから、施工者の応募がありませんでした。
このため、現在、より平坦で安全な計画地への変更を念頭に、落石調査を行っているところであり、来年度、調査結果も踏まえて、施設規模等、基本計画の見直しを進めてまいります。あわせて、恒久施設が完成するまでの間、より多くの登山者の安全を確保できる暫定的な施設の在り方についても検討してまいります。
今後、有識者や地元関係者の御意見を伺いながら、富士宮市と連携し、五合目を訪れる皆様が安全・安心に登山を楽しんでいただけるよう、スピード感を持って取り組んでまいります。
以上であります。
項 目 6 (仮称)静岡県こども計画と子供等の意見反映について
答弁者 健康福祉部長
質問要旨 子供は地域の宝であり、ひとりひとりの子供が愛情に包まれて健やかに育つことは私たち大人の願いである。
国は、こども基本法に基づきこども施策に関する基本的な方針、重要事項を定める「こども大綱」を、昨年12月に閣議決定した。こども大綱の策定にあたっては、子ども・若者・子育て当事者等を対象とした公聴会やパブリックコメントの開催、「こども若者★いけんぷらす」メンバーを対象とした意見聴取、関係団体等へのヒアリング等を実施している。
県では、令和7年度に、新たに「(仮称)静岡県こども計画」を策定する予定であり、このため、令和5年度中から、県職員が学校や施設等を訪問しての座談会形式の意見交換会や、既定事業の中での意見聴取、アンケート調査を実施したと伺っている。
計画策定にあたっては、国のこども大綱を十分勘案するとともに、多分野にわたる問題解決に向け、子供や子育て当事者等の意見を丁寧に聞き反映させる必要があるが、こども計画の策定と子供等の意見反映についての現在の状況と今後の取組について伺う。
<答弁内容>
(仮称)静岡県こども計画と子供等の意見反映についてお答えいたします。
県では来年度、国の「こども大綱」を踏まえ、子供と子育て家庭を社会全体で応援する「ふじさんっこ応援プラン」と、子供・若者の健やかな成長と自立を支援する教育委員会所管の「ふじのくに若い翼プラン」を統合し、結婚や、妊娠・出産、幼少期から青年期まで切れ目なく子供や若者を支援する新たな「こども計画」を策定いたします。
現在の状況といたしましては、「こども基本法」や「こども大綱」では、子供等の意見を施策へ反映することが求められていることから、計画策定に先立って、保育所や学校、大学等に職員が出向き、子供・若者や保護者の意見・要望の聴取を始めております。これまでに、学校や家以外の居場所や、職業体験の充実を求めることなどを意見として伺っているほか、大人には直接意見が言いづらいなどの声も寄せられております。
今後は、今年度頂いた意見に加え、少子化対策に関する県民意識調査や子供の生活実態アンケートを実施し、現状把握と課題分析を行った上で、庁内会議において、幅広く施策を取りまとめ、有識者で構成する審議会で御意見を伺い、計画策定に取り組んでまいります。
さらに、子供等の意見反映としては、子供や若者の審議会への参画や、幅広く意見を収集できるオンライン・プラットフォームの設置など、施策への実効性のある反映の仕組みを構築してまいります。
県といたしましては、新たな「こども計画」の策定を通して、社会全体で子供・若者と子育て家庭を応援する仕組みづくりに取り組んでまいります。
項 目 7 地域医療構想の実現について
答弁者 健康福祉部長
質問要旨 地域医療構想は、医療ニーズの変化や労働力人口の減少を見据え、団塊の世代が後期高齢者となる令和7年において必要な回復期病床数等を推計し、地域の実情を踏まえた病床の機能分化と連携を進め、質の高い効率的な医療提供体制の構築を目的とするものである。
各地域では、医療機関の役割分担と連携の協議を進めるために設置された「地域医療構想調整会議」で議論が行われているが、現在においても明確な進展が見られないと認識している。
医療機能の集約化をより実効性のあるものとするための効果的な方法の一つとして、幅広く総合的な診療ができる総合診療医の養成・増加が必要であり、県内唯一の医師養成機関である浜松医科大学の協力は欠かせないと考える。
地域医療構想の実現に向け、県が率先して、医療機能の集約化・連携や、総合診療医の養成・増加に取り組む必要があると考えるが、現在の状況と今後の取組について伺う。
<答弁内容>
次に、地域医療構想の実現についてであります。
地域医療構想の実現に向けた医療機能の集約化と連携につきましては、各地域の地域医療構想調整会議が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により書面開催となるなど、議論が進まない状況が続いておりました。
このような中、県では、将来の医療需要の予測に基づき、医療機関の連携方法等について議論を行うため、今年度、外部の専門家を活用し、医療機関の診療実績や構想区域ごとの課題等を分析しました。今後は、これらを踏まえ、各構想区域における医療機関の役割分担などの具体的な方向性を示しながら、地域での議論の活性化を図ってまいります。
昨年11月には、「地域医療構想セミナー」を開催し、安定した経営の持続のため、医療機関と金融機関との連携を強化するなど、新たな取組を進めるとともに、タウンミーティングの開催により、引き続き地域医療構想について県民の皆様の理解を得られるよう啓発してまいります。
総合診療医につきましては、県ではこれまで、浜松医科大学に地域家庭医療学の寄附講座を設置し、中東遠圏域を中心に外来医療や在宅医療を担う家庭医として養成を進め、多くの医師が指導医や専門医として地元に定着し、活躍していただいております。
今後、高齢化の進行による医療需要の変化に伴い、病院においても総合的に患者の病状に対応する医師の養成が求められていることから、現在策定中の第9次静岡県保健医療計画に位置付けるとともに、先進事例を調査し、浜松医科大学や県内病院と協議を重ね、総合診療医の養成プログラムや専門研修終了後の地元への定着方策などについて、具体的な検討を進めてまいります。
項 目 8 精神障がいのある人への支援について
答弁者 健康福祉部長
質問要旨 令和5年の「障害者白書」によれば、国内の人口千人当たりの人数でみると、身体障がいのある人は34人、知的障がいのある人は9人、精神障がいのある人は49人となっている。精神障がいのある人の割合が最も高く、その割合も年々高まっており、県による支援の必要性も増加している。
精神障がいのある人は、施設等に入所されている方々のほかに、親御さんと同居されている方々も多いが、障がいのある本人やその親の高齢化が進む中、親が亡くなった後に、本人がどのように暮らしていくか、大変不安に感じている家族が多いのが現状である。
実際に両親が亡くなった場合、グループホームへの入居も選択肢の一つとなるが、地域によってはグループホームの整備は進んでいないところもある。また、一人暮らしを選んだ場合も、支援が十分ではない。
そこで、精神障がいのある人が地域で暮らすに当たっての支援について、現在の状況と課題、今後の取組について伺う。
<答弁内容>
次に、精神障がいのある人への支援についてであります。
県では、これまで、医療、福祉、住まいなどが包括的に確保された「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を推進するため、市町や福祉関係者と連携し、一人暮らしの相談や緊急時の受入れなどを行う地域生活支援拠点や、生活の場となるグループホームの整備を支援するとともに、障害福祉圏域単位の保健・医療・福祉関係者から成る自立支援協議会を通じて支援ネットワークを形成してまいりました。
こうした中、課題といたしましては、精神障害のある方の自立を支えるためには、御本人の社会参加の拡充と、地域生活において必要な時に適切な医療につなげる支援体制づくりのほか、地域生活への移行を円滑に進めるため、ニーズに応じたグループホームの整備を促進する必要があると認識しております。
このため、今後の取組としては、精神障害のある方の交流会等を通じて、同じ障害の経験を持つ当事者同士の仲間づくりを促すとともに、相談支援事業所に雇用される当事者が、他の障害のある方の地域生活での不安を和らげるピアサポート活動の普及拡大に取り組んでまいります。
また、病状の悪化やその心配のある方への対応につきましては、急変時に備えた精神科救急医療体制を引き続き確保するとともに、治療を中断している方に対して、これまでの医療機関に加え、保健所が新たに相談支援事業所、ピアサポーター、市町と連携して訪問支援を行うなど取組を拡充いたします。
このほか、市町と連携し、障害種別ごとに地域生活への移行ニーズを捉えた上で、必要となるグループホームの整備を促すことにより、精神障害のある方の地域における自立を支える体制づくりを一層強化してまいります。
以上であります。
項 目 9 産業成長戦略2024について
答弁者 知事
質問要旨 産業成長戦略2024では、「危機対応から成長への好循環」を基本方針に、「産業人材の確保・育成・リスキリング」、「活力ある多様な企業の集積」、「GXの推進」を重点テーマと位置付けた上で「国内外市場での競争・成長を目指す取組への支援」、「地域経済での持続的な成長を目指す取組への支援」を展開することとしている。
この中でも、特に、活力ある多様な企業の集積に県として取り組むことは重要だと考える。女性に人気のあるサービス関連企業に対して効果の高い企業誘致活動やその分野での県内起業の促進に、積極的に取り組むことを期待する。
取組を進める上で、様々な方法やアイデアが求められるが、例えば、静岡県出身の優秀な若者は首都圏や関西圏の素晴らしい企業にも数多く在籍しており、これらの若者と交流を深めることが考えられる。こうした取組は、企業誘致活動や県内起業促進に限らず静岡県の経済活性化の一助になるのではないか。
人口減少や少子高齢化の進行、脱炭素社会の構築など社会経済情勢が変化する中、本県経済を持続的に成長させていくために、この産業成長戦略2024の方向性に沿って、どのような取組を進めていくつもりなのか伺う。
<答弁内容>
次に、産業成長戦略2024についてであります。
人口減少や少子高齢化に加え、近年におけるDX、GXへの対応など、社会情勢の急速な変化の中、各分野におきまして多様な企業の集積や創業の促進を図り、本県産業の持続的成長につなげていくことが重要です。
そのため、県では、去る2月16日に、産業界や金融界の代表から成る「静岡県産業成長戦略会議」におきまして、「危機対応から成長への好循環~県内投資の拡大とイノベーションの加速化~」を基本方針とした、産業成長戦略2024を策定したところであります。
議員御指摘の「活力ある多様な企業の集積」につきましては、これまでと同様、県内に新たな事業所を開設する企業に対して適時適切に助成を行います。そのほか、特に本県にゆかりのある経営者層を対象に、進出意欲や県内企業との取引状況を調査し、重点的に働き掛けを行うなど、より実効性のある企業誘致を進めてまいります。
また創業につきましては、有識者の皆様からの御意見も踏まえ、従来から進めているものづくり産業に加え、若者や女性に人気のあるICT・サービス関連産業をターゲットに、経済成長の原動力となるスタートアップの支援を一層促進することといたしました。
新しい試みとして、首都圏におけるスタートアップと県内企業との共創を進めるため、世界的なスタートアップ支援企業が集積する都内に県職員が常駐する拠点を設置いたします。この拠点を核として、県外のスタートアップが有する先端的な知見、技術などを活用し、本県の地域課題が解決できるように、最先端の情報が行き交う場で顔の見えるネットワーク構築に努め、県内の新たな産業創出に努めてまいります。
「産業成長戦略2024」に取りまとめた関連施策を一体的に推進することによりまして、本県経済を活性化し、持続的な成長を実現してまいります。
さらなる御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁申し上げます。
項 目 10 農地の基盤整備による収益性向上について
答弁者 農林水産担当部長
質問要旨 国は「食料・農業・農村基本法」の改正を目指しているが、新たな基本法では、「食料安全保障の抜本的な強化」「人口減少下における生産水準の維持・発展と地域コミュニティの維持」「環境と調和のとれた産業への転換」が、改正の大きな柱となっている。これらの実現には「農業の生産性向上」と「地域コミュニティと農村インフラの維持・活性化」が大切であり、特に農業の生産性向上については、農家の方々とともに、県も積極的に取り組む必要があると考える。
担い手の減少、肥料や燃料の高騰など、農業を取り巻く状況は大変厳しいものでありますが、農産物の安定供給や農村地域の景観維持のためには、担い手農家の安定的な農業経営が不可欠であり、農業の生産性を高めるとともに、農家の収益力を強化し、中長期的な視点で農家の所得の底上げが必要である。私の地元では、担い手農家の収益性を高めるため、レタスなどの野菜栽培を可能とする水田の汎用化のための暗渠排水や、スマート農業の導入を見越した区画拡大などの基盤整備が求められている。
そこで、農地の基盤整備による収益性向上について、今後の取組について伺う。
<答弁内容>
農地の基盤整備による収益性向上についてお答えいたします。
担い手農家の収益性を向上し、安定的な経営を実現するためには、生産性の高い優良農地の確保が重要であり、営農の省力化や農作物の高品質化を図る基盤整備を戦略的に進める必要があります。
このため、県では、令和元年度から、本県の主要作物である茶や柑橘、野菜等を対象に、地形や土質、導入作物等に応じて、生産基盤を高度化する品目別基盤整備プロジェクトを推進しております。
茶や柑橘の樹園地では、平坦化する区画整理や農道整備により、生産コストの大幅な削減や農地の集積・集約化を加速するとともに、水田では、区画の大規模化や排水整備により、ICT水管理や裏作レタス等の導入を拡大するなど、担い手農家の所得向上に取り組んでまいります。
今後は、海外需要の高い有機茶への転換や施設園芸の導入など、消費者ニーズに即応できる基盤整備について、3次元点群データを活用した3D設計や、人工衛星の画像データを用いた土質診断など、先進的な技術を取り入れ、スピード感を持って事業化を進めてまいります。
県といたしましては、担い手農家の収益性向上に向け、地域特性に応じたスマート農業の実装化や、高収益作物の導入を拡大する農地の基盤整備を着実に推進してまいります。
項 目 11 浜名湖における水産資源の増殖に向けた取組について
答弁者 農林水産担当部長
質問要旨 日本や本県近海の魚介類の漁獲量は総じて減少しており、水産資源の恵みを今後も享受していくためには、栽培漁業の推進による資源増殖とともに、適切な資源管理に取り組んでいく必要がある。
県内でみると、サクラエビやキンメダイでは漁業者による厳しい自主的な資源管理を進めたことにより、資源回復への兆しが見え始めている。また、県は、「第8次静岡県栽培漁業基本計画」を昨年3月に策定し、栽培漁業を計画的に進め、マダイやヒラメでは資源が回復していると伺っている。
しかしながら、浜名湖の主要魚種であるアサリについては依然壊滅的な状況が続いている。資源を回復するためには、現在実施している産卵期の禁漁措置や母貝場の設置、食害魚の駆除などの短期的な取組に加え、アサリ稚貝の生き残りを良くするような生息場の改善などの中長期的な取組が求められている。
また、浜名湖において漁獲量が増加傾向にある数少ない魚種として、ノコギリガザミが挙げられ、高値で取引されている。浜名湖の漁業を守るためにも、積極的に増殖を進め大切に管理していく取組も必要である。
そこで、浜名湖における水産資源の増殖に向けた取組について、現在の状況と課題、今後の取組について伺う。
<答弁内容>
次に、浜名湖における水産資源の増殖に向けた取組についてであります。
浜名湖のアサリの漁獲量は、近年大きく減少しており、持続的に資源を増加させるためには、中長期的な観点から、漁場の生息環境の改善に取り組む必要があります。
このため、県では、湖内の潮流の変化による稚貝の流失を抑制するため、細かい砕石を湖の底に敷き詰め、稚貝の着底を安定化させる手法の現場実証を進めております。
今年度は、砕石の敷設工事を実施しており、来年度にかけて、稚貝の着底状況や成長度合いをモニタリング調査し、有効性を確認した上で、大規模な漁場造成につなげてまいります。
あわせて、海のゆりかごと呼ばれ、水産生物を育む役割が期待されるアマモ類につきましても、アサリの成育に果たす機能や効果等の実証研究を進めてまいります。
また、ノコギリガザミにつきましては、栽培漁業の取組を加速させるため、温水利用研究センターの量産実証施設を活用し、種苗を安定生産する上で課題となっている病気の防除や、成育に最適なエサの研究など、種苗生産技術の開発に取り組んでまいります。
県といたしましては、漁場の改善や栽培漁業などを推進し、浜名湖の水産資源の増殖に向けて、全力で取り組んでまいります。
以上であります。
項 目 12 遠州灘海浜公園(篠原地区)基本計画について
答弁者 森副知事
質問要旨 公園の基本計画について、昨年度、公園整備プランが決定し、今年度、当局において官民連携導入可能性調査を進められてきた。公園施設の核となる野球場の規模・構造は、知事説明において、「需要見込等の観点から3案に絞り込み、基本計画の素案に盛り込んだ」との説明があった。
浜松市や地元経済界からなる新野球場建設促進期成同盟会からは、
2.2万人規模の多目的ドーム型スタジアムの建設について県へ要望が行われたほか、浜松市において今年度から、道の駅及び公園周辺のまちづくりに関する検討が本格的に始まった。
我が会派としては、公園施設の核となる野球場は、地元要望を踏まえ、地域の活性化につながるよう速やかに整備することを求める。浜松市が進める周辺のまちづくりと野球場を含む公園施設全体が一体となって整備することで、地域活性化に大きく寄与するものになると考える。この事業に要する費用は地域振興への必要な投資となるものであり、将来を見据えた施設としてもらいたい。
そこで、基本計画の素案に盛り込んだ野球場3案の内容と、今後の進め方について伺う。
<答弁内容>
遠州灘海浜公園篠原地区基本計画についてお答えいたします。
県ではこれまで、昨年2月県議会定例会で決定された本公園のコンセプトである、「豊かな緑地空間の中、野球を中心に幅広い年齢層の県民が健康づくりに取り組むことができる公園」の実現に向けて、検討を進めてまいりました。公園施設につきましては、今年度の調査結果を踏まえ、周辺のまちづくりにも考慮し、新たにスケートボード・BMX等のアーバンスポーツ広場や合宿所等を基本計画の素案に盛り込んでいます。
公園施設の核となるメイン球場の規模・構造につきましては、PFI事業を前提に、昨年度までの調査に加え、今年度、大手ゼネコン等の民間事業者や野球関係団体とのヒアリングを重ねた結果、野球場の規模は1万3千人以上が必要であることが分かりました。
また、規模、構造の変更を可能とする条件や野球場に対する地元の皆様の多様な御意見を考慮のうえ、基本計画に盛り込む案として、次の3案に絞り込みました。
一つ目は、経済的な負担が少ない1万3千人の屋外型とする案。二つ目は、西部地域の拠点球場としての役割を担う2万2千人の屋外型とする案。三つ目として、野球に限らず幅広いイベントにも開催可能な2万2千人の多目的ドーム型とする案です。
今後は、この素案をたたき台に、本議会において御議論いただき、パブリックコメントを実施した上で、来年度、速やかに成案としての基本計画を取りまとめてまいります。
県といたしましては、遠州灘海浜公園篠原地区が多くの県民の皆様に愛され、浜松市が進める周辺のまちづくりと連携し、にぎわいをもたらす公園となるよう取り組んでまいります。
項 目 13 浜名湖水辺整備基本計画の進捗状況と今後の見通しについて
答弁者 交通基盤部長
質問要旨 浜名湖の湖岸線は128kmに及び、古くから多様に利用されている。元々淡水湖であった浜名湖は、1498年の大地震で太平洋とつながって汽水湖となり、津波・高潮への対策が必要となった。災害リスクの増大に対して、地域の安心安全のために、湖岸堤の計画的な整備を進めてもらいたい。
令和4年度の定例会で、老朽化が進む浜名湖湖岸堤の整備に向けて、令和5年度中に「浜名湖水辺整備基本計画」を策定するとの答弁があった。
地域からは整備に関して様々なお声をいただいている。例えば、湖西市の北部エリアの自治会やNPO法人などからは、人と湖が近くなるような整備を目指してほしい、地域の意見をよく聴いて浜名湖の多彩な魅力や資源を活かした計画を目指してほしいなど。また、新居地区からは、地元の意見を取り入れながらも迅速な整備を望む声もいただいている。
そこで、浜名湖水辺整備基本計画の策定の進捗状況と今後の見通しについて伺う。
<答弁内容>
浜名湖水辺整備基本計画の進捗状況と今後の見通しについてお答えいたします。
県では、高潮や津波に対する防護・利用・環境の調和のとれた水辺空間の整備に向け、令和4年12月に「浜名湖水辺整備基本計画」の策定に着手し、先般1月26日に開催した「第2回浜名湖水辺整備推進協議会」では、計画の骨子案等について協議したところであります。
水災害への懸念が高まっている昨今の情勢に対して、外海とつながる浜名湖沿岸では、高潮の高さを正確に予測した上で、地域住民の生命・財産を守る施設の防護水準を設定する必要があります。このため、高潮災害を引き起こす要因となる強風の観測データ等の分析や検討に、大幅に時間を要したことから、計画策定は当初予定の令和5年度末から令和6年度前半となる見込みであります。
また、計画の策定に当たっては、地元をはじめとする皆様から地域の声を計画に反映していただきたいとの意見を頂いており、防護上の必要性が高い地区を中心に、地域の代表者や関係団体等との意見交換を行い、適切に計画へ反映してまいります。
県といたしましては、地域の状況や意向に配慮し、湖西市、浜松市と連携して、防護・利用・環境の調和のとれた浜名湖の水辺空間づくりに取り組んでまいります。
項 目 14 天竜浜名湖鉄道への支援について
答弁者 交通基盤部長
質問要旨 天竜浜名湖鉄道は、地域住民の通勤・通学や地域を訪れる観光客の足として大きな役割を担っている、重要な社会インフラである。
令和2年以降は新型コロナの影響を受けて、輸送人員が大きく減少し、その後、回復傾向にはあるものの厳しい状況にあると聞いている。
長期的には少子化の進展などにより、輸送人員及び旅客運賃収入が徐々に減少していくことが懸念される。
従業員などの努力により、線路は一定の維持管理が行われているが、線路脇には雑草が生い茂っている箇所もあり、景観にも悪影響を与えているほか、このままでは今後、安全運行にも影響を与えかねないと危惧している。
このような中、新たな5カ年の次期経営計画が、来年度から始まると聞いている。安全な運行を継続していくためにも、昨年12月の知事への会派政策提言でも挙げたとおり、適正な維持管理に向けたより一層の支援が必要ではないかと考えている。
そこで、天竜浜名湖鉄道への支援について、これまでの状況と今後どのように取り組んでいくのか伺う。
<答弁内容>
天竜浜名湖鉄道は、地域住民の生活を支えるとともに沿線への来訪者のアクセス手段として地域振興にも貢献するなど、地域の活性化に欠かすことのできない公共交通であることから、県は沿線市町とともに支援してまいりました。
天竜浜名湖鉄道は、厳しい経営状況の中、施設の適切な維持管理や利用の拡大に努めてまいりましたが、多発する自然災害への対応、車両の老朽化、物価高騰といった新たな課題が顕在化しております。
天竜浜名湖鉄道では、こうした課題への対応も視野に入れ、令和6年度から5か年の新たな経営計画を策定いたしました。計画では、将来にわたる安全な鉄道運行のため、車両更新や施設整備、支障木の伐採等を含む維持補修を計画的に実施するとともに、鉄道利用者を令和4年度の133万人から令和10年度には144万人へ回復させる様々な増収策を盛り込み、経営収支の改善に取り組むこととしております。
県といたしましては、新たな経営計画が着実に進捗できるよう、沿線市町と連携して計画的に支援を行い、天竜浜名湖鉄道が多くの皆様に安心して利用されるよう努めてまいります。
項 目 15 高校入試改革について
答弁者 教育長
質問要旨 県の入学者選抜制度については、教育環境の変化や時代の要請に応じ、これまでも様々な改善が図られてきていると認識している。現在の入学者選抜制度は平成20年度に導入され、県共通の方法による共通枠と各学校が独自に定める学校裁量枠という2つの選抜枠を設けて実施されているが、16年が経過しようとしている。この間、社会の変化のスピードは加速化しており、このような時代を生きる子どもたちに対して、社会で求められる資質・能力を育成するためには、入学者選抜制度についても時代に即したものである必要があると考える。
令和4年9月の代表質問にて、「外部の有識者等も交えて時代に即した入試入学者選抜制度とは何かを議論する場をつくって制度の変更をしていく必要があると考える」旨を質したところ、教育委員会からは、「年内に入学者選抜制度を検証する場を設置し、検討を進めていく」旨の答弁があった。
その後、検証委員会を開催したと聞いてるが、現時点でどのような検討状況なのか、また、検証の結果を今後の入試入学者選抜にどのように生かしていくつもりなのかを伺う。
<答弁内容>
高校入試改革についてお答えいたします。
高校の入学者選抜については、様々な生徒の能力・適性や興味・関心を適切に評価できるよう、多様な評価軸が必要であります。このため、本県の入学者選抜は、共通枠や学校裁量枠、また学力検査と調査書を組み合わせ、多面的な評価を意図した制度に基づき、実施しております。
一方、議員御指摘のとおり、変化の激しい社会において、常に時代に即した制度とするための検証や見直しも必要であると考えます。このため、令和4年度から5年度にかけ、大学教授や企業関係者、PTA代表、大学生などからなる「入学者選抜に関する検証委員会」を開催し、制度の在り方について議論してまいりました。
検証委員からは、本県の制度は1回の選抜で生徒を様々な視点から評価しており、「特色ある学校づくり」、「学校の裁量の確保」といった要件にも寄与する仕組みとなっている、との評価を頂きました。一方、生徒の希望に基づく学校の選択と、学校の求める生徒像に沿った生徒募集とをより良く両立させるためには、学校ごとに幅を持たせた評価基準や、各校の特色や方針に合わせた学校裁量枠の設定が必要、との意見が示されたほか、制度への理解を促すよう丁寧な説明をすべき、との指摘もございました。
今後は、検証委員会の意見を踏まえ、令和7年度中を目指して学力検査と調査書のウエイトを学校ごとに柔軟に設定する仕組みを構築してまいります。また、地域貢献や探究といった、各校の教育方針を実現するための学校裁量枠の設定など、中学や高校の校長との協議を通じて、制度の速やかな改善を図るとともに、学校説明会など様々な機会を通じて、生徒や保護者、中学校などに対し、制度の仕組みやねらいを説明してまいります。
県教育委員会といたしましては、生徒が自分にふさわしい学校を選択できる入学者選抜の実現に向け、多様かつ分かりやすい評価の仕組みの構築に努め、時代の変化を踏まえた制度の改善を進めてまいります。
以上であります。
項 目 16 交番の整備方針について
答弁者 警察本部長
質問要旨 ―
<答弁内容>
交番の整備方針についてお答えします。
はじめに、本議会にお諮りしているのは、湖西警察署白須賀交番など老朽化が著しい6施設の建て替えであります。
これらの施設は、令和7年度の完成を予定しております。
次に、課題を含めた今後の整備方針についてお答えします。
県警察では、老朽状況を踏まえて順次建て替えを行っておりますが、人口動態や世帯数、事件事故の発生状況、道路の開通による交通流の変化や周辺の開発状況など、地域の実情を総合的に勘案し、近接する施設の統廃合も含め、交番・駐在所の適正配置を推進しております。
課題として、
・ 災害リスクや地域住民の利便性を踏まえた用地の確保
・ 整備方針に係る地域住民との合意形成
が挙げられますが、自治体や地域住民の御理解と御協力が得られるよう丁寧な説明を行い、治安情勢の変化に対応した、より強固な警戒体制の構築に努めてまいります。
以上であります。