項 目 | 1 財政健全化の推進について
(1)事業の廃止及び見直しへの取組 |
答弁者 | 知事 |
質問要旨 | ふじのくに県民クラブは、従来から掲げる四つのキーワード、命、豊、人、礎の中の礎に沿って、効果の薄い事業の廃止、見直しを含めた歳出の見直しに現在取り組んでいる。我が会派は、これまでも事業の見直しや歳入確保を提言してきたが、本年はより具体的に短期、中長期にわけて提言を行う予定である。例えば、短期においては、感染症対策、観光関連事業のコロナ前の水準への見直しのほか、首都圏等からの就業支援策、国体に重点を置いたスポーツ関連施策、中小企業等に対する研究開発助成、普及啓発のためのイベントの実施等については、事業成果の検証を行い、必要に応じて、より効果的な手法への転換を図るなどの提言を検討している。また、中長期においては、先端産業の育成などの長期間実施しているプロジエクトについても、成果の検証を求めていく予定である。
県においても、全庁を挙げて事業の廃止及び見直しに取り組んでいると聞いている。そこで、現在、県としてどのように取組を進めているのか伺う。 |
<答弁内容>
杉山淳議員にお答えいたします。財政健全化の推進についてのうち、事業の廃止及び見直しへの取組についてであります。
近年、コロナ禍や物価高騰に対する緊急的な対策に加え、社会保障関係費の増大など構造的な課題にも対応するため、適切に財政出動した結果、本年度当初予算の歳出規模は過去最大となり、財源不足額も拡大いたしました。
6月に公表した財政の中期見通しでは、社会保障関係費や金利上昇に伴う公債費の増加などにより、現状のままでは財政運営の目標とする「令和7年度の収支均衡の達成」が困難という、大変厳しい試算結果となりました。
一方で、激甚化する自然災害などの喫緊の課題に加え、異次元の少子化対策や人口減少社会への対応などの新たな課題に的確に対応することが不可欠であり、健全な財政基盤の構築が、より一層重要となっております。
このため、収支均衡を達成しつつ、新たな行政課題への対応に必要な財源を確保するよう、政策推進担当部長に対し、令和6年度当初予算編成に先立って、全庁的な歳出・歳入の見直しを指示したところであります。
このうち、歳出の見直しにつきましては、創造的破壊の精神で、部局長のリーダーシップの下、事務事業の見直しを聖域なく進めております。具体的には、見直しの目標額を設定した上で、優先度の低い事業の休止、廃止や類似目的の事業統合を積極的に行うほか、議員御指摘の新型コロナ対策関連事業の水準の適正化や、年次計画事業、普及啓発事業などの見直しを図ってまいります。
これらに加え、職員の総労働時間の抑制や、電算経費の平準化、社会資本等への投資の重点化など、部局横断的なテーマにつきましても、各部局が連携して見直しを進めております。
また、歳入につきましても、成長産業の育成を通じた税源涵養を進めるほか、クラウドファンディングや県有施設へのネーミングライツの積極的な導入、未利用財産の売却強化などにも取り組み、必要な財源をしっかり確保してまいります。
こうした一連の見直しにつきまして、来月を目途に取りまとめ、来年度当初予算編成に着実に反映することにより、富国有徳の「美しい“ふじのくに”」づくりの礎となる、持続可能な財政基盤の構築につなげてまいります。
項 目 | 1 財政健全化の推進について
(2)ヴァンジ彫刻庭園美術館の無償譲渡 |
答弁者 | スポーツ・文化観光部長 |
質問要旨 | 県は、無償譲渡を打診されている長泉町のヴァンジ彫刻庭園美術館の運営について、周辺施設との一体的な活用に向けた「クレマチスの丘広域的活用構想案」を6月議会の文化観光委員会において提示した。わが会派としては、無償譲渡はともかく、県が従来の公設公営で運営することに会派として2つの観点から反対である。
1点目は、長泉町が中心となり必要となる財政支出をし、魅力的な構想を練ったうえで、県が支援するべきだという観点。 2点目は、県による魅力的なソフト事業が確立されておらず、大切な税金をハード整備につかい箱ものだけが残る危険性が大きいという観点。 また、無償譲渡を受けるにしても、県が直接施設整備をせねばならないという固定観念に囚われすぎているのは問題である。 そこで、仮に無償譲渡を受けた場合の対応として、以下の提案をする。 まずは、広くアイディアコンテストを行うなど、さまざまな可能性を探る取り組みをすべき。そうすればコンセプトの明確化がしやすくなり、コンセプトが明確化すればPFI手法などによる民間参入もしやすくなる。これは会派として以前より各種提言をする際に申し上げているバックキャスティングによる考え方。一考をお願いしたい。 また、他県の取組で、愛知県新体育館の整備において「BTコンセッション」方式という、新しいPFI手法を導入している。このような新しい民間活力の手法が実際行われているということも調査し再度十分に検討すべきである。 以上の提案を踏まえて、県の所見を伺う。 |
<答弁内容>
財政健全化の推進についてのうち、ヴァンジ彫刻庭園美術館の無償譲渡についてお答えいたします。
地元3市2町からの要望や、経済界等で組織するサンフロント21懇話会からの提言を受けて、今年6月に策定した「クレマチスの丘広域的活用構想」は、本県が誇る世界クラスの文化・観光資源やファルマバレープロジェクトなどのポテンシャルを生かして、文化の魅力の向上を図り、東部・伊豆地域を国内外から選ばれる地域へと発展させることを目指すものであります。
この実現に向けて、まずは、県と市町が一体となって、民間の文化・観光施設や教育機関なども参画する、文化振興のネットワークを立ち上げる予定であります。その主な活動拠点として、今月30日で閉館するヴァンジ彫刻庭園美術館の跡地を、県民の皆様の鑑賞機会の拡大と創造的な活動の場として活用する方向で、現在、地元の市長や町長と直接お会いして、考え方を御説明しているところであります。
当該地の具体的な活用方策として、県立美術館の企画展やSPACの公演など県事業のサテライト実施、あるいは、子供たちや障害のある人の芸術体験の推進、静岡がんセンターの患者・御家族の癒しの場の提供など、公益性の高い事業を検討しておりますが、さらに民間の発想を取り込んでいくことも大変重要であると認識しております。
このため、今後、施設の活用コンセプトの明確化や運営方法の選定に当たっては、有識者や民間事業者へのヒアリング、貴会派から御提案のありました先進事例の調査などを行い、その結果を踏まえて利活用計画を策定し、民間活力を最大限に取り入れた施設となるよう検討を進めてまいります。
項 目 | 2 来年度当初予算編成における物価高騰等の適切な反映について |
答弁者 | 政策推進担当部長 |
質問要旨 | ロシアによるウクライナ侵攻の長期化により、エネルギーや原材料の価格が高止まりし、世界的な物価高騰が続いている。また、連合が7月に公表した今年の春闘の最終集計結果によれば、賃上げ率の平均は3.58%と、30年ぶりの高水準となった。来年度以降も、物価高騰や賃上げが続いていくのではないかと考える。
一方で、県の令和5年度当初予算においては、物価高騰や賃上げの状況が適切に反映されていただろうか。業務の内容が同じだからといって機械的に前年度並みの予算額を設定すれば、負担を契約の相手方のみに押し付ける結果となりかねない。 10月から最低賃金のアップも予想される中、予算は前年同額となれば、入札不調が多発し、民間事業者への委託そのものが困難となる可能性すらある。 来年度当初予算に向けて、県としてどのように状況を把握し、対応を進めていくのか伺う。 |
<答弁内容>
来年度当初予算編成における物価高騰等の適切な反映についてお答えいたします。
まず、物価高騰等の影響につきましては、県の各部局において、所管施設の契約実績や、関係業界の皆様の御意見などを通して、きめ細かな状況の把握に努めております。昨年来の物価高騰等により、庁舎や学校等の電気料金、建築保全業務にかかる労務単価の上昇など、県の行政運営にも幅広い影響が生じています。
こうした影響を踏まえ、本年度当初予算では、光熱費を12億円増額いたしました。また、建築工事について、インフレスライド等の制度に基づき、資材や労務単価の上昇を適切に反映するなど、契約期間中の物価変動等にも適切に対応しております。
議員御指摘のとおり、物価高騰は、長期化の様相を呈しており、今後、県民生活や企業の事業活動、本県の行政運営に大きな影響が出ることも想定されます。
このため、来年度当初予算におきましては、各種経済指標などを通じて物価や賃金の状況を適時・適切に把握するとともに、現場の声にも耳を傾け、県民や事業者の皆様に過度な負担を与えることのないよう、物価高騰等に的確に対応してまいります。
項 目 | 3 物流施策の推進について |
答弁者 | 政策推進担当部長 |
質問要旨 | 物流は国民生活や経済を支える社会インフラだが、同産業を取り巻く環境は決して良好とは言えない。担い手不足、カーボンニュートラルへの対応、そして、物流の停滞が懸念される「2024年問題」が眼前に迫っている。
内閣府の「経済活動別総生産」の令和3年速報値によると、「運輸・郵便業」の比率は4.1%、主要16産業中10位となっている。本県の「運輸・郵便業」の構成比率は5.2%、16産業中7位となっている。本県産業における物流業の占める割合は高いものであり、物流施策に県として積極的に取り組むべきと考える。 物流施策は県において、交通ネットワークの充実、人材の育成・確保、災害に強い物流システムの確立、新技術導入など、関係部局は多岐にわたることから、全庁的な体制で推進することが必要であると考える。 そこで、物流の重要性が再認識されている今だからこそ、改めて物流施策の推進にどのように取り組んでいくのか、県の見解を伺う。 |
<答弁内容>
次に、物流施策の推進についてであります。
物流は、県民生活や経済活動を支える重要な社会インフラであることから、県では、令和3年度に「新ふじのくに物流ビジョン後期取組計画」を策定し、「物流機能の高度化と立地の促進」など、4つの戦略に基づき、様々な取組を進めてまいりました。
具体的には、物流業界等と連携して、高機能な物流施設の立地支援、トラック運転免許取得への支援による人材確保、トラックや荷台ごと輸送するRORO船や海運・航空輸送へのモーダルシフト、環境負荷の少ない車両の導入促進などに取り組んでまいりました。
物流施策は幅広い分野にまたがることから、副知事を本部長とする「静岡県物流ビジョン推進本部」を設置し、後期計画の取組の進捗を管理しております。昨年度までに、79の取組のうち75の取組が、着実に進捗しているところであります。
一方、物流業界は、依然として、担い手不足、いわゆる2024年問題等の課題に直面していることから、国は、本年6月「物流革新に向けた政策パッケージ」を策定し、DXを含めた物流の効率化などの方針を示しました。本県においても、物流施策の強化、実行のスピード感が求められております。
このため、国の対策などを部局間で共有するとともに、県として、物流ビジョンに掲げる取組も柔軟に見直してまいります。また、今後、ドローンや無人ヘリを活用した物資輸送の実証実験や港湾荷役作業の遠隔操作など、施策を加速してまいります。
県といたしましては、今後とも、物流業界、国、市町等と協力しながら、関係部局との連携を一層密にし、多岐にわたる物流の課題解決に向け、全庁を挙げて取り組んでまいります。以上であります。
項 目 | 4 土木技術職員の確保に向けた取組について |
答弁者 | 出野副知事 |
質問要旨 | 近年、全国で自然災害の被害が激甚化、頻発している状況が続いており、災害復旧に要する期間が長期化している。本県においても、昨年度は台風15号などの災害発生に見舞われ、今年度も6月に記録的な大雨となった影響を受け、県内各地で甚大な被害が発生した。この様に大規模な災害が繰り返し発生する中、災害復旧業務などを担う土木事務所における土木技術職員の負担が増加しているのではないかと心配している。
さらに、実際に大規模な被害を受けた地域を所管する土木事務所に応援職員を派遣することにより、他の土木事務所において、通常業務を行っていく上で影響が出ているとも聞いている。 こうした状況の中、自然災害から県民の生命と財産を守るために、現場で災害復旧に取り組む土木技術職員について、職員数を増やすなど、土木事務所の体制強化に向けて取り組むべきではないかと考えるが、県としての見解を伺う。 |
<答弁内容>
土木技術職員の確保に向けた取組についてお答えいたします。
本県では、約700名の土木技術職員が、本庁や8つの土木事務所をはじめとする出先機関に配置され、道路や河川、港湾、下水道など、様々な分野における社会インフラの整備を担い、県民生活を支えております。
近年、台風による浸水をはじめ、自然災害が激甚化、頻発化する中で、水防業務や被災直後の災害調査などの応急対応に加え、復旧・復興に向けた災害査定や、工事発注などの業務が断続的に発生しているところであります。最前線の現場を支える土木技術職員は、突発的な状況変化に迅速かつ的確に対応するため、全力で業務に当たっております。
このように逼迫した現場を支えるため、本年度は、昨年の台風15号による被災箇所を所管する3つの土木事務所に、土木技術職員を4名増員し、早期復旧に向けた体制を確保いたしました。また、大規模な災害に際しては、初動期の対応が重要であることから、本年6月の台風2号による災害発生の際には、対応する土木事務所に、臨時に本庁等から延べ200人ほどの職員を派遣するなど、全庁一丸となった応援体制を構築し、機動的な対応に努めているところであります。
さらに、将来にわたって災害に強い組織としていくため、今年度から、人事委員会とも連携し、例年6月に実施している土木職の採用試験の一部を4月に前倒しして実施するなど、技術職員の確保にも併せて取り組んでおります。
県民の皆様の生命と財産を守ることは、県政の最優先課題であり、土木職をはじめとする技術職員は県行政にとって欠くことのできない存在であります。今後も、長期的な視点に立って職員の確保に努めるとともに、現場の実情を踏まえ、平時の業務執行と突発的な災害対応の両立に向け、土木事務所等における万全な事業実施体制を構築してまいります。
以上であります。
項 目 | 5 南アルプスの利活用について |
答弁者 | くらし・環境部長 |
質問要旨 | 南アルプスユネスコエコパーク憲章には、「地域資源を共有の財産として未来へ受け継ぐため、持続可能な利活用にともに取り組み、地域の交流をひろげながら、自然の恵みを活かした魅力ある地域づくりを進めていく。」とあり、保全と利活用を両輪として進めていくべきであると考える。
静岡県内の南アルプスは、北アルプスや他県の南アルプスと比べ、利用者が少なく、原因の一つとして、北アルプスなどはバスやロープウェイ等のアクセスが発達している一方で、静岡県内の南アルプスはアクセスが悪いことがあげられる。例えば、椹島付近まで公共交通機関でアクセス可能な状況になれば、利用者が増え、南アルプスの保全の機運も高まるのではないか。 また、静岡県からの利用者が少ない原因のもう一つとしては、南アルプスの素晴らしさが知られていないことが考えられる。南アルプスは、ユネスコエコパークに登録されているが、南アルプスのお膝元であっても半数程度しか南アルプスユネスコエコパークを認知していない状況となっている。 このような状況についてどのように課題認識し、南アルプスの利活用を進めてゆくのか、県の見解を伺う。 |
<答弁内容>
南アルプスの利活用についてお答えいたします。
市街地から距離があり、来訪者の利便性の向上などが求められる南アルプスへのアクセスに関する課題に対応するため、本年2月に、交通事業者、観光事業者、行政などから成る「交通アクセス改善検討会議」を立ち上げました。現在、来訪者へのアンケートによるニーズの把握を行いながら、アクセス環境について幅広く意見交換を進めております。
今後は、アクセス情報の来訪者への提供方法をはじめ、アクセスに関する改善策を具体的に検討し、自然体験の拠点となる椹島まで、誰もが気軽に訪れることができる公共交通の確保を目指してまいります。
多くの方々が南アルプスの素晴らしさを知り、身近に感じていただけるよう、ユーチューブなどのSNSを活用したドローンによる高画質の映像や、動植物や地質に関する講座の配信のほか、民間企業との協働による景観カレンダーの作成などを行っております。
こうした取組に加え、本年3月に環境学習サイト「南アルプスの宝箱」を開設し、5月には椹島で、地元中学生を対象に、このサイトを活用した体験型プログラムを実施いたしました。引き続き、出前講座や学校での活用を促進し、子供達の理解を広げてまいります。また、今後は、本年度創設しました南アルプスを研究フィールドとする研究助成事業を通じた南アルプスの魅力の発信にも努めてまいります。
県といたしましては、関係機関と連携し南アルプスへのアクセス改善に取り組むとともに、より多くの皆様に南アルプスの魅力を伝え、持続可能な利活用につなげてまいります。
項 目 | 6 本県における化学物質PFASの状況と今後の対策について |
答弁者 | くらし・環境部長 |
質問要旨 | PFASとは、発がん性などの健康被害が疑われる有機フッ素化合物のうちペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称であり、聞き慣れない言葉だが、その危険性から今、世界的に注目を集めている化学物質である。
このPFASのうち、代表的な物質であるやは、油、汚れ、水をよく弾き、熱に強いため、フライパンのコーティング剤の原料、消火剤、防水服など、身近な製品に用いられてきた。 令和3年度に行われた河川や地下水の調査では、13都道府県81地点で暫定的な目標値を上回る高い濃度のPFASが検出された。また、環境省は7月、一部地域の住民に限っていた、体内へのPFASの蓄積量を調べるための血液検査を全国規模に広げる方針を示すなど、早急な対策が求められているところである。 本県でも、親会社がアメリカでPFASによる健康障害を起こした化学メーカーが、平成22年頃に清水区の事業所で社員の蓄積量を調べる血液検査を行ったことが公表され、最近では浜松市でも、航空自衛隊浜松基地周辺の水路から、国の暫定目標値の28倍のPFAS汚染が観測されている。 そこで、本県におけるPFASの状況と今後の対策について伺う。 |
<答弁内容>
次に、本県における化学物質PFASの状況と今後の対策についてであります。
PFASにつきましては、その一つであるPFOSとPFOAの合計が、1リットル当たり50ナノグラム以下という公共用水域等における暫定目標値を国が示しています。浜松市が本年度実施した調査で、この目標値を超過した地点があり、現在、原因究明に向けた取組が進められています。
県では、平成23年度から令和元年度にかけて31河川34地点でPFASの調査を実施してきました。調査では、暫定目標値を超過した地点はありませんでしたが、本年度、改めてPFASの調査を実施してまいります。調査に当たりましては、県内全域の状況の把握に向け、水質の常時監視を行っている政令指定都市など4市と連携を図り、順次、実施してまいります。
また、PFASの人の健康への影響については、確定的な知見はないことから、県民の皆様の不安を払拭するため、国に対して科学的根拠に基づく対策を速やかに行うよう要望してまいります。
県といたしましては、市町と連携、協力して公共用水域等の監視を強化し、県民の皆様の安全、安心な生活環境の保全を図ってまいります。
以上であります。
項 目 | 7 大学生の学びへの支援について |
答弁者 | スポーツ・文化観光部長 |
質問要旨 | コロナ禍を契機に、大学生の経済的困窮等の課題が顕在化したことを踏まえ、県では、昨年度に「大学生等学びの継続支援事業」を創設するなど、緊急的な金銭支援を行った。
給付型奨学金の導入・拡大とともに、従来進学してこられなかった学生たちが進学してきており、新たに支援を必要とする学生が増加する可能性がある。学びの保障を方向づけるために、県として具体的な施策を展開する必要性が高まっている。 県立大学では、経済的に困窮しかけている学生を支援するため、令和3年8月に有志で結成した「学生たすけたいんじゃー」が活動をしている。新型コロナ感染拡大により経済的に困窮した身近な学生に直面し、「たべものカフェ」と名付けた無料の食糧支援をしながら、生活状況の聞き取りを行い、今年6月には、貧困学生支援についてまとめた冊子を発行した。実現したいこととして、学生への直接支援の充実、相談体制の充実、実習前後のアルバイト禁止や研究室での長時間拘束による経済的困窮時の金銭的支援を挙げている。 新型コロナウイルス感染症による行動制限は解除され、日常に戻りつつあるものの、物価高騰は続き、その影響を受ける学生は一定数見られるところである。県が主体性を持って、県立の大学だけではなく、県内の大学に通う全ての学生の生活実態を把握するなど、学生が安心して学びを継続できるよう、県として大学への支援を行うことが必要であると考えるが、県の見解を伺う。 |
<答弁内容>
次に、大学生の学びへの支援についてであります。
県では、令和4年度に、国の交付金を活用して、経済的に困窮する大学生約1万人を対象に現金給付等を行いました。県内の大学からは、「学生との相談の機会が得られた」「困窮学生の掘り起こしにつながった」などの御意見を頂き、学生支援の取組強化にも寄与したと考えております。
コロナ禍以降、県が毎年行っている調査では、経済的困窮による中途退学者数は、令和元年度の107人から令和4年度には59人に減少しています。この数字は、大学が独自に行う授業料減免や奨学金等による支援に加え、令和2年度に導入された国の修学支援新制度がセーフティネットとして機能している結果であると考えております。
一方で、全国大学生活協同組合連合会が昨年度に実施した生活実態調査では、アルバイト収入はコロナ禍前の水準にほぼ回復したものの、生活費を悩みとして挙げた学生は約半数にのぼっており、物価高騰が続く中、経済的な不安を抱える学生は少なくありません。
このため、県内の大学では、定期的に学生の経済状況や心身の健康などの生活実態を調査し、課題の把握に努めているところであります。学生の相談内容は多岐にわたることから、臨床心理士や社会福祉士などの専門職員の配置の拡充や、学外の機関との連携を図りながら、学生を経済面、精神面からサポートする体制を整えております。
引き続き、大学等と連携して、県内で学ぶ大学生が安心して学生生活を送ることができるよう、支援してまいります。
以上であります。
項 目 | 7 大学生の学びへの支援について【再質問】 |
答弁者 | スポーツ・文化観光部長 |
質問要旨 | 大学生の学びの保障について、精神保健福祉士や臨床心理士の配置を言っているのではなく、経済的に困っている人を助けてほしいと言っている訳で、職種が違う。相談体制をしっかりしてほしいという学生からの報告を県の担当者にも聞いてもらっている。県内の調査を、県立大学だけではなく、県内の学生を対象にやるのか。 |
<答弁内容>
再質問にお答えいたします。大学生の学びへの支援でございます。
まず、県内の大学の実態調査についてでございますけれども、県では、コロナ禍を契機に、県内の大学の大学生の状況につきまして、アンケート調査を行っているところでございます。引き続き、この点については、毎年、県内の大学に対しまして調査を行ってまいります。
それから、相談体制のことでございますが、こちらについてもアンケートの中でさまざまに聞いているところでございます。そういった中では、学生に親身に対応できる、いわゆるキャンパスソーシャルワーカーのような支援機能を配置している学校もあると聞いております。
こうした事例を県内全ての大学に浸透させていくことは重要なことでございます。このため、全ての大学が参加しているふじのくに地域・大学コンソーシアムの中で、そういった各大学の先進的な事例を全ての大学と情報共有して、しっかりと学生を支えていきたいと考えております。
以上でございます。
項 目 | 8 保育環境の体制整備について |
答弁者 | 健康福祉部長 |
質問要旨 | 保育の現場では、健康・安全のきめ細かい対応や、保育所に期待される役割の拡大、また、保育業務の多忙化や、低位な給与水準による雇用環境の悪化など、様々な課題を抱えている。
特に、4、5歳児の保育士配置基準は子供30人に対し保育士1人となっており、74年間、変わっていない。 本県の直近の4、5歳児の配置状況は、およそ子供18人に対し保育士1人と聞いている。 会派で試算したところ、この実態である18対1の配置基準を実現するためには、約25億円の財源が必要という結果になった。規定の給付費の範囲で保育士を確保するということは、この約25億円分を施設が負担しているということになる。市町と協力して早急に改善する必要があると考える。 そこで、保育の質の確保に向けて、保育士の負担の軽減や処遇改善にどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺う。 |
<答弁内容>
保育環境の体制整備についてお答えいたします。
保育士の配置につきましては、本年度より、国の施策と連動し、定員が121人以上の大規模な保育所において、4、5歳児クラスにおける児童と保育士の30対1の配置基準が、25対1の配置となるよう人件費の加算を拡充いたしました。
また、今後は、この6月に公表された、国の「こども未来戦略方針」等に基づき、施設の規模に関わらず、25対1の配置基準の改善が図られることになります。本県といたしましても、市町と連携して、必要な予算を確保し、保育施設の運営費を支援することで、適正な人員配置による保育士の負担軽減に取り組んでまいります。あわせて、引き続き、国に対して、配置基準の改善を提案してまいります。
さらに、保育士の処遇改善につきましては、非常勤職員を含む全職員に対し、職員の経験年数に応じた人件費の引き上げを行うとともに、保育の専門リーダーなどキャリアアップに応じた賃金を加算することで、職場への定着を支援しております。また、昨年2月からは、収入の3%程度のベースアップ加算にも取り組んでいるところであります。今後も、こうした賃金体系の改善等を通じた処遇改善に、取り組んでまいります。
県といたしましては、国や市町と連携して、保育士の配置の適正化並びに処遇改善を支援することで、安心して子供を預けることのできる保育体制の整備に取り組んでまいります。
以上であります。
項 目 | 8 保育環境の体制整備について【再質問】 |
答弁者 | 健康福祉部長 |
質問要旨 | 親が大変だったり、子供が大変だったり、いろいろなお子さんを、公立園で預かるべきだというのが、民間園の判断である。
なるべく、公立園でやってほしい方がいることから、公立、民間園関係なく、すべての子供に区別なく対応すべきだと考える。公立園に対して対応を伺う。 |
<答弁内容>
公立園への対応について、再質問にお答えいたします。
公立の保育所等につきましては、その運営費につきまして、それぞれの市町に対しまして、地方交付税措置されております。運営に関する保育士の人件費については、事業主体である各市町の判断に委ねられておりますので、それぞれの団体において適切に対応しているものと考えております。
一方で、現場の保育士の負担軽減など、体制強化につながるような取組は、全県を挙げて取り組む必要があるというふうに考えておりますので、ICTの活用ですとか、業務の効率化、こういったことに対する支援の取組は、公立、私立を問わず、進めてまいります。
項 目 | 9 難病患者への支援について |
答弁者 | 知事 |
質問要旨 | 難病患者は、難病診断と治療の困難さや、医療サポートへのアクセスや経済的な負担、日常生活の制約、社会的な孤立など多くの困難を抱えながらも自らと同じ境遇の方を救うべく様々な活動に取り組んでいる。
2014年5月、「難病の患者に対する医療等に関する法律」が成立し、2015年1月から施行された。本年9月現在、338の疾病が国から難病に指定され、医療費助成制度等による支援が行われているが、先に述べた困難が解消されたとは言えない。 先週、9月20日には、軽症者の登録制度の設置や、災害発生時における難病患者への対応、具体的には、災害時の事前避難入院の実施等の課題について、難病患者の皆様が、NPO法人静岡県難病団体連絡協議会として県知事に直接要望活動を行った。要望の内容は、いずれも難病患者にとって重要かつ必要な支援であると考える。全てを一度にかなえることは難しいかもしれないが、県に対して可能な限り前向きな対応を望んでいる。 そこで、県として、今後、難病患者への支援にどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。 |
<答弁内容>
次に、難病患者への支援についてであります。
難病は、未だ治療方法が確立していない希少な疾病であり、難病患者の皆様におかれましては、先の見えない中で、様々な症状に伴う苦痛に耐えながら、懸命に治療と生活の両立を続けておられることに改めて敬意を表したいと存じます。
これまでの支援につきましては、長期の治療により多額の費用が必要となることから、医療費を公費負担の対象とするほか、日常生活における相談や就労支援等のため、難病相談支援センターを設置してまいりました。
このたび、NPO法人静岡県難病団体連絡協議会からは、様々な課題を踏まえた要望を頂いたところであります。今後、県として、対応を着実に進めてまいります。
特に、医療費助成の対象とならない軽症者に関する支援要望に対しては、障害福祉や就労支援サービス利用時の利便性向上を図るため、国が令和6年4月から予定している登録者証の発行に向け、本議会に指定難病医療受給者管理システム改修経費の補正予算をお諮りしております。
今後は、システム改修を速やかに実施するほか、登録者証発行後のサービスの利用が円滑に進むよう周知に取り組んでまいります。
また、災害時における対応の充実に関しましては、令和4年度に、在宅で人工呼吸器を装着する難病患者さんが、台風等の風水害が予想される場合に、事前避難入院を実施する制度を創設いたしました。
引き続き、制度の利用を働き掛けるとともに、今後は、対応できる病院の増加など、利用者の御意見を伺いながら使いやすい制度に向けて、改善を進めてまいります。
県といたしましては、今後も、難病医療体制の更なる構築や相談支援体制の充実を図り、難病患者とその御家族を対象とした総合的な難病対策を着実に推進し、皆様が生涯にわたって安心して暮らせるよう取り組んでまいります。
項 目 | 10 太陽光発電設備の設置推進について |
答弁者 | 経済産業部長 |
質問要旨 | 世界は、脱炭素の目標に向けて大きな動きを見せ始め、国内においても各自治体は脱炭素、再生エネルギーの推進で独自の政策を発表している。
国において2030年における新築戸建住宅への太陽光発電設備設置率60%を目標とする中、東京都が令和7年4月から、カーボンハーフの実現に向けて、大手ハウスメーカーが建築する新築住宅への太陽光発電設備の設置、断熱・省エネ性能の確保の義務付けを始めることを決定した。神奈川県川崎市でも、同様な制度を始めることとしている。 東京都、川崎市ともに、設置経費への支援制度を持っており、一部の金融機関においては、太陽光発電設備の設置、断熱・省エネの新築住宅に対して低金利のローンを創設するなど、後押しする動きが見られる。 太陽光発電設備の設置が任意の場合、ハウスメーカーは面倒な太陽光発電設備の営業よりも台所や風呂などの充実に力を入れる可能性もあるため、義務化は一定の効果が見込まれる。 新築時の義務化の着実な遂行及び地域経済への波及のためには、作り手や建築業者を巻き込んで行う必要があるが、建物は建てれば平均30年以上は使うため、より経費がかかる建築後の設置よりも、新築時の義務化はより効果が見込まれる。 そこで、東京都等に追随して、新築住宅への太陽光発電設備の設置の義務化を行うことについて、県としての見解を伺う。 |
<答弁内容>
太陽光発電設備の設置推進についてお答えいたします。
太陽光発電は、カーボンニュートラル社会の実現に向け、再生可能エネルギー導入拡大の柱であり、国のエネルギー基本計画を踏まえた本県の「ふじのくにエネルギー総合戦略」においても、自然環境への負荷が少ない、住宅や工場の屋根への設置を促進することとしております。
住宅につきましては、共同購入によるスケールメリットを活かして設備の導入費用を抑制する取組を進めており、多くの県民の皆様の参加登録をいただいております。加えて、いわゆる「ゼロ円ソーラー」を県内で展開する事業者を紹介する専用のホームページなども開設し、普及・拡大に取り組んでいるところであります。
一方、企業向けには、電気料金上昇の影響を受けにくい再生可能エネルギーの導入促進により、経済的負担の軽減を図るとともに、電力レジリエンスを高めるため、本年度、太陽光発電設備や蓄電池の導入に対して、緊急的な支援を実施しております。
東京都や川崎市における新築住宅への太陽光発電設備の設置義務化等の先進的な事例や、建築物の壁面に設置できるペロブスカイトなどの新たな技術にも注視しつつ、太陽光発電設備の設置を推進し、2050年カーボンニュートラル達成に向けて全力で取り組んでまいります。以上であります。
項 目 | 10 太陽光発電設備の設置推進について【再質問】 |
答弁者 | 経済産業部長 |
質問要旨 | 太陽光発電設備設置について、耕作放棄地や未利用の原野、東名高速ののり面など利用できるところは利用すべきという考え方のもと、東京や川崎にはそうしたところがないので新築住宅の屋根に設置義務化や標準化を打ち出している。作り手やハウスメーカーと一緒にやらなければならず、静岡県でも具体的に方針化すべきであり、県として積極的な姿勢を示すべきと考えるが、他県に遅れないような明確な答弁を求める。 |
<答弁内容>
太陽光発電設備の設置推進についての再質問についてお答えします。
東京都などと本県では、再生可能エネルギーの発電の状況が大きく異なるのが現状でございます。令和5年3月における東京都の太陽光発電実績は約75万kWhであるのに対し、本県では、東京都の約56倍にあたる約4,227万kWh発電しているような状況であります。
また、特に住宅用太陽光発電施設設置状況を比較したところ、住宅の数で言いますと静岡県の住宅数は東京都の2割程度しかありませんが、太陽光発電施設の設置件数は、ほぼ同程度の設置件数となっております。つまり、住宅への太陽光発電施設の導入率でも、東京都を相当程度上回っているというのが現状です。
このような現状を踏まえまして、現時点でただちに太陽光発電設備設置の義務化に踏み切ることは考えておりませんが、引き続き東京都等での導入状況などは注視してまいります。
以上であります。
項 目 | 11 新たな技術の導入による農業の課題解決について |
答弁者 | 農林水産担当部長 |
質問要旨 | 県内の農業経営体は25,942経営体であり、10年間で約35%減少し、基幹的農業従事者に占める65歳以上の割合も70.8%を占めるなど農業の担い手の減少や高齢化により労働力不足が進んできている。
一方これらの課題の解決に向け、スマート農業技術の導入が推進されているが、その中でもロボットなど最先端技術の活用が注目されており、遠隔監視による無人自動走行など農業の高度化に向けたシステムの研究開発が官民で進められている。そのための対応の一つとして、数cm単位の高精度な農作業を可能とする全地球測位システム、いわゆるGNSSの利用があるが、県内でもより精度の高い基地局の設置が進められていると聞いている。 農業におけるGNSSの利活用には様々な可能性があると認識している。 県では、効率的な農業経営の実現や労働力不足の緩和などを目標に、スマート農業技術の導入推進に取り組まれており、様々な支援を行っていることは承知しているが、GNSSの利活用を含め新しい技術開発が進められている中で、県内の農業における課題解決に向けて、今後、どのように取組を進めていくのか県の見解を伺う。 |
<答弁内容>
新たな技術の導入による農業の課題解決についてお答えいたします。
農業者の減少や高齢化が急激に進行する中、農作業の省力化や経営の効率化を図るスマート農業を普及拡大するためには、生産現場の営農環境や費用対効果を的確に分析し、農業経営体の経営戦略に沿った最適な技術導入を進める必要があります。
このため、県ではこれまで、国事業を活用して、ドローンによるバレイショの病害虫防除や自動定植機による野菜苗の植付けなど、県内16のモデル地区で導入効果を定量的に検証してまいりました。
この成果を活用し、農業経営体の導入ニーズに的確に対応するため、普及指導員による伴走支援に取り組んだ結果、浜松市など2地区で衛星測位システムいわゆるを活用したスマート農業技術が実装化されております。
こうした技術は、官民での研究開発が不可欠であることから、民間企業や研究機関、関連団体等が参画したAOIフォーラムの共同研究を強化するとともに、GNSS等を活用した最新技術を幅広く実証し、生産現場への導入を加速してまいります。
また、新技術の導入拡大に向けましては、農業経営体への正確な情報提供や生産現場での有効性等の検討が必要であることから、農林事務所にワンストップ窓口を設置し、地域農業の課題解決に向けたサポート体制を強化することで、新技術の実装化を後押ししてまいります。
県といたしましては、農業の生産性向上に向け、農業経営体の経営戦略を実現する効果的なスマート農業技術の導入を支援し、本県農業の持続的発展を実現してまいります。
以上であります。
項 目 | 12 漁港施設の有効活用について |
答弁者 | 知事 |
質問要旨 | 漁港の施設を地域のにぎわいづくりの場として活用するなど、漁港の有効活用を促すため、国は、平成31年に、漁港施設の占用や貸付けに関する規制緩和を行った。
また、令和4年3月に新たな「漁港漁場整備長期計画」が策定されるとともに、本年5月には、水産物の販売・物流等に関する施設の漁港への設置規制を緩和すること等を含む法律の改正がなされ、漁港施設や地域の魅力ある資源を活かした「海業」を振興し、漁村の活性化や水産業関係者の所得向上、雇用創出につながる取組を推進する機運が高まっている。 一方、県内の小規模な漁港では、市場の統合などに伴い施設やスペースに余裕が生じているが、漁港には、風光明媚な景観や新鮮な水産物、伝統的な行事など、訪れる方が魅力的だと感じる資源が多く眠っているのではないか。 漁港の遊休施設とこれらの地域資源を活用し、飲食や観光など他産業との連携による新たな事業に挑戦することは、漁獲量が不安定な状態が続くなど、厳しい状況に直面する水産業関係者の新たな収入源を生み出すことにつながると考える。 「海業」など、漁港を核とした漁村の活性化に向けた国の動きを的確に捉え、県内のポテンシャルのある漁港の掘り起こしや今般の規制緩和を活かした施設の有効活用を促進し、新たな事業に意欲的に取り組む水産業関係者を支援していくことは、本県水産業にとって意義深いものと考えるが、こうした取組に関する今後の展望と支援の体制について、県の見解を伺う。 |
<答弁内容>
次に、漁港施設の有効活用についてであります。
長引く不漁による水揚量の低迷に加え、漁村の人口減少や後継者不足が続く中、水産業関係者の所得向上を図り、漁村の活力を高めるためには、本県の豊かな海が生み出す特色ある水産物や美しい景観など多様な地域資源を活かし、新たな価値を創造するいわゆる「海業」の振興が重要と考えております。
県ではこれまで、漁協等が開設する直売所や食堂の整備のほか、漁業者自らによる観光定置網や遊覧船クルーズの商品化など、水産業の枠組みを超えた意欲的な取組に対して、水産イノベーション推進事業により助成を行い、漁村地域の活性化を促進してまいりました。
こうした中、昨年度末に、漁港の遊休施設等を用いた地域活性化に意欲的な牧之原市の地頭方漁港と沼津市の戸田漁港が、国の海業振興モデル地区に選定されました。
このため、この両モデル地区におきましては、令和6年4月に予定されている、規制緩和による漁港施設の利用を促進する目的を持つ法律の施行を見据え、国の海業コンシェルジュの支援を受け、漁協、市町等が連携して、民間活力を取り入れた新たな漁港利用のビジョンづくりを進めております。
今後は、漁協等がマリンレジャー事業の誘致や、地元の水産物を提供する新感覚の飲食施設の開設など、漁港を舞台とした、水産業と異業種の協業による新たなアイデアを実現できるよう、県として幅広い分野の専門家の派遣やマッチング機会の提供等の支援に取り組んでまいります。
具体的な運用に当たりましては、漁港管理者である県や市町が漁港施設の活用に向け、水産業者や地元関係者の声を丁寧に伺いながら、意欲的な取組は支援してまいります。
県といたしましては、モデル地区を参考に、県内各漁港の持つ潜在的な資源を再認識し、水産業関係者の新たな所得の獲得や漁村の活性化に向け、新たな価値を創造する取組を全力で後押ししてまいります。
項 目 | 13 県管理河川におけるしゅんせつの取組状況及び今後の方針について |
答弁者 | 知事 |
質問要旨 | 近年、短時間での局地的・集中的な降雨や、線状降水帯の発生による広域・長期化する降雨、台風の大型化などにより洪水が多発し、全国的に甚大な浸水被害が生じている。
堤防や護岸などの河川改修も必要ではあるが、用地の取得も含め抜本的な改修には工期が相当程度長くかかることが想定される。また、浚渫に伴う土砂の処分場の確保も必要である。 国においては、洪水防止の緊急対策として、河川等の浚渫が有効かつ、重要であるとの認識のもと、令和2年度から5箇年計画にて、地方財政計画に「緊急浚渫推進事業費」として計4,900億円を計上し、地方公共団体が緊急的に河川やダムなどの浚渫を実施できるよう財政措置で支援し、推進している。 本県においても、国からの財政支援を活用し、浚渫をはじめとした洪水対策に取り組んでいる。5か年計画である「緊急浚渫推進事業費」は、令和6年度を最終年度とされており、浚渫が有効な事前防災として、私の地元である静岡においても、巴川や丸子川での浚渫を望む声が多く聞かれている。 そこで、現在の県管理河川におけるしゅんせつの取組状況及び今後の方針について伺う。 |
<答弁内容>
次に、県管理河川におけるしゅんせつの取組状況及び今後の方針についてであります。
静岡県の河川は、標高の高い南アルプスや富士山が背後にあることから、南北に流れる河川は急流河川が多く、一方で平野部にある東西に流れる河川には排水が困難な緩やかな勾配の河川があります。こうした地形においては、昨今の頻発する豪雨により、土砂の堆積が顕著となっており、継続して土砂の浚渫(しゅんせつ)を行う必要性が高まっております。
このため、県では、「緊急浚渫(しゅんせつ)推進事業債」を活用して令和2年度から毎年20億円の予算を確保し、河川内や既存の砂防堰堤(えんてい)の堆積土砂の撤去工事を積極的に実施しております。これまで、静岡市を流れる巴川や丸子川(まりこがわ)を含む143河川166か所、また、56基の砂防堰堤の堆積土砂と雑木の除去を行ってきたところであります。しかし、県民の皆様から更なる浚渫(しゅんせつ)を望む声が大きく、現状では十分でないと認識しております。
更なる浚渫(しゅんせつ)を進めるためには、事業をより効率的に実施していく必要があります。そのために、ICT技術の活用による情報化施工の拡大を積極的に進め、また、3次元点群データ情報などにより、河川内の堆積状況を把握した上で実施箇所を決定するなど、浚渫(しゅんせつ)工事の高度化、効率化を図ってまいります。
加えて、県民の皆様の御期待を踏まえ、今後とも浚渫(しゅんせつ)事業を確実に実施していくために「緊急浚渫(しゅんせつ)推進事業債」の令和7年度以降の継続を国に要望するなど、確実な予算の確保に努めてまいります。
県といたしましては、適切な浚渫(しゅんせつ)を行い、絶えず良好な河川機能を確保することにより、水災害(みずさいがい)に強い安全・安心な地域づくりを進めてまいります。
項 目 | 14 教職員の人材確保に向けた取組について |
答弁者 | 教育長 |
質問要旨 | 県教育委員会は、これまで教員の働き方改革に取り組んできた。現在、教員業務支援員いわゆるスクール・サポート・スタッフが、全国の学校に配置されているのは、県が全国に先駆けて働き方改革に取り組んだ「未来の学校『夢』プロジェクト」の事業での取組の一つである「校務支援員」がもとになったものである。平成30年度に全国で最も早く教員業務支援員を全校配置し、その後、順次配置時間を増やしてきたことで、教員一人当たりの残業時間も年々削減されてきた。
このような中でも、教育現場からはたいへん厳しい声が聞こえてきている。それは、教員一人当たりの授業の持ち時間数が増えていることで、この背景には、「教職員数が配置基準に満たない」、「育児休業者や特休者の代替教員が確保できない」ということがあるようだ。この状況では、児童生徒一人一人に向き合う時間や教材研究を行う時間の確保はまったくできない。 今の教育現場に最も求められるのは人材の確保である。それが、教員1人当たりの授業数の削減になり、さらに教職員に余裕が生まれることで児童生徒のわずかな変化に気付くことにつながるはずである。「教員採用試験の時期を早める」、「静岡の教職員で採用されれば奨学金返済免除等を受けることができる」、「教職員OBによる県立学校警備会社のようなものを創設して児童生徒の安全を守りながら必要があれば授業を行うなどのサポートに常に入ることができる状況をつくる」「静岡県教職員人材バンクの整備を強化し、教育現場に要望に合った人材をすぐに配置できる体制を整える」など新たな取組を進めていくことが必要だと思う。 そこで、教職員の人材確保対策について県教育委員会の見解を伺う。 |
<答弁内容>
教職員の人材確保に向けた取組についてお答えいたします。
本来、教育においては、教員が子供たちと向き合い、子供たちの豊かな人間性や感性を育むことで、子供たち一人ひとりが「才」と「徳」を高めていくことが大切であると考えております。
しかしながら、議員御指摘のとおり、教員不足の状況は深刻であり、本県においても、育児休業や特別休暇の代替がいないことにより、教員の授業時数が増加し、子供たち一人ひとりと向き合う時間や教材研究を行う時間を確保できない状況が一部に生じており、大きな課題であると認識しております。
このため、一人でも多くの優秀な教員の採用につながるよう、来年度に行う令和7年度教員採用選考試験は試行的に2か月前倒しして実施するとともに、地域に根ざした優秀な人材を確保するための採用基準の新設についても検討しているところであります。
さらに、必要な教員を確保できない学校を減らすため、大学等と協力しながら卒業予定者の「静岡県教職員人材バンク」への新規登録を強化するとともに、経験豊かな教職員OBにも、短期間の授業や地域に関する学習等をスポット的に支援いただく新たな取組を進めてまいります。
また、働き方改革の観点では、教員が子供と向き合い、教育業務に集中できる働きやすい環境を整えることも重要であります。
今月、文部科学省から緊急提言が発出され、標準授業時数を大きく上回る教育課程を編成している学校に対して改善を行うよう指摘がありました。県教育委員会が先頭に立ち、年度途中であっても、積極的に教育課程を見直し、子供と向き合う時間がより一層確保できるよう、市町教育委員会へ指導助言等を行ってまいります。
県教育委員会といたしましては、これからも人材確保の取組と併せて、教員のよりよい職場環境づくりに向けた取組について、全力を尽くしてまいります。
以上であります。
項 目 | 15 浜名湖における水上オートバイの県条例遵守について |
答弁者 | 警察本部長 |
質問要旨 | ― |
<答弁内容>
浜名湖における水上オートバイの県条例遵守についてお答えします。
令和5年中の浜名湖における水上オートバイに関する警察への通報は、8月末時点13件で、そのうち5件について、警備艇「かつら」や地上の警察官により指導警告を実施しています。
また、警備艇やパトカーに加え、県警ヘリコプターにより上空からのパトロールを行っているほか、水上オートバイ利用者が出入りするマリーナに対して、安全利用に関する広報を依頼しております。
水上オートバイの通航ルールが静岡県河川管理条例の適用範囲となった令和3年4月以降、条例違反による検挙事例はありませんが、引き続きパトロールや広報啓発を通じて浜名湖の安全確保に努めるとともに、各種法令違反を認めた際には、適正に対応してまいります。
以上であります。