質問
浜岡原子力発電所の事故時における避難計画の策定については、主に3つの論点があると考えている。
1点目は、スピーディの取扱いを含めた事故の想定をどのように行うのか。
2点目は、被害が想定されている地域の外に、どのように住民を出すのか。
3点目は、外に出た住民の方をどの地域が受入れしてくれるのか。
以上の論点についての所見と、避難計画の発表予定時期、避難計画策定の進捗状況を伺う。
答弁
1点目について、昨年度、国が、福島と同様の事故が発生した場合、浜岡原子力発電所においては放射性物質がどのように拡散するか、拡散シミュレーションを実施した結果を参考として、浜岡原子力発電所から概ね31kmの範囲を原子力災害対策の重点区域に設定した。この区域の11市町の約96万人を対象として、避難計画を策定しているところである。
国の指針では、災害が発生した場合に放射性物質が放出されたならば、まずモニタリング調査を実施し、1時間当たり500マイクロシーベルトを超えた地域について避難を開始することとし、スピーディを参考にするという方針である。従って、スピーディの結果については、事故後、放射性物質が拡散した場合、どの方向に避難すればよいかなどの参考として活用してまいりたい。
2点目について、避難手段は原則、自家用車を活用し、自家用車を持たない方々や災害時要援護者等に対応するため、バス等を使用することを考えている。
防護措置が必要な31km圏内の住民を、いかに円滑に31km圏外に避難させるか、避難時間をできる限り短縮し、被ばくや移動の負担を軽減できるよう、委託により避難シミュレーションを実施しているところである。その結果が、今月までに出る予定である。結果については、公表してまいりたい。
3点目について、96万人の避難対象者全員について、あらかじめ避難先を定めておくことを目指し、県内市町、周辺県等と協議を行っている。
具体的には、原子力災害が単独で発生した場合と複合で発生した場合とに分け、単独で発生した場合は、31km圏外の県内市町や隣接県等が避難先となると想定している。
複合災害では、想定東海地震や想定東南海・南海地震の被災地域には避難できないので、その外側の関東地方や北陸まで含めて、避難先としての協議を行っている。
避難の対象が約96万人と非常に多いこと、複合災害を想定した場合は、避難先が遠方にまで及ぶことなど、条件が非常に厳しいため、調整に時間を要している。
県外については、隣接県を含め12の県等と協議しており、ある程度よい感触を持っているが、受入側は、平常時での受入れとなるため、例えば学校施設では授業があり校舎は使えず体育館のみとなるなど、受入条件を設定しているところである。
計画策定・公表の時期は受入県の意向にもよるが、昨年9月にできた国の支援ワーキングチームと協力・連携しながら、1日も早く受入先を決定してまいりたい。
質問
31kmの外へ出す関係で、自家用車でどのような避難を考えているのか。また、96万人を全て外に出すのにどれくらいの時間がかかるのかという想定も行っているのか。
受入先については、徐々に情報を出すのか、受入県がある程度まとまった段階で情報を出すのか。
答弁
避難の手段については、他県の事例も参考に計画を策定している。福島と同様の事故進展を想定すると、できるだけ短時間のうちにPAZの5km圏内の住民を31km圏外に出さなければならない。できるだけ被ばくをさせないのが大事であることを考えると、自家用車を使っていただきたい。隣近所にもできるだけ声をかけていただき、迅速に31km圏外に逃げていただくことが大前提である。
これだけの人数をバスで全員逃がすとすると、相当数のバスが必要で、何往復もすることとなり、かえって時間がかかってしまうので、原則、自家用車避難とし、自家用車を持たない方々や災害時要援護者等についてはバス、ということで取り組んでいる。
シミュレーションについて、いくつかのパターンで31km圏外へどれくらいの時間で出ることができるか、具体的な時間が算出できるよう実施している。できるだけ被ばくさせないよう、段階的な避難という、ある程度区域を分け、順に避難し、車での移動時間ができるだけ短くなるように避難できないか、算出をしている。
避難の受入先については、12の県等と調整している。受入先の県等からは、ある程度のことが決まってから公表するよう要望されている。最終的には受入県内の市町村の避難所が受入先となるので、市町村の同意が得られるまでは県名は伏せてほしいと要望されているので、協議がある程度まとまった段階で公表してまいりたい。
質問
・県債発行の利率について、10%以内とする根拠を伺う。
答弁
・総務省における起債の同意年限が30年となっているため、借換も考慮し、10年後・20年後の金利動向を見据えて利率の上限を定める必要がある。
・また、現在は低金利だが、過去、平成2年には7.2%、昭和57年には8.1%、49年には9%という時代があったことから、これらも踏まえて上限利率を10%と設定している。
・他県では、4割程度の団体において、9~10%の上限利率を設定している。
質問
・利子負担軽減の取組を伺う。
答弁
・利子負担を軽減するためには、県債発行額を減らすこと、手数料を減らすこと、より低い金利で発行することなどが必要となる。
・発行額の抑制については、投資水準の適正化が重要であり、県の投資的経費は、平成11年度に最大4,350億円であったものが、平成26年度は1,825億円と半分以下にまで圧縮している。
・有利な発行条件の確保策としては、IR活動に力を入れており、県の財政状況が安定していること、発展可能性があることなどについて、金融機関や証券会社等に積極的にPRを行っている。
・県債には格付けがあり、国債が最も高く、東京都はその次、静岡県はさらにその次である。格付けが高いと低い利率での発行が可能となることから、IR活動などにより、高い格付けの取得を目指している。
・また、より市場に受け入れられるよう、発行形態の多様化も行っており、平成25年度においては、満期一括償還方式に加え、元金均等で償還する定時償還債を発行するなど、利子負担の縮減に取り組んでいる。
質問
・市場公募債の個別発行分について、利率の低い5年債など短期のものを多く発行した方が県にとって有利であると考えるが、10年債の占める比率が大きい理由を伺う。
答弁
・現在、他県でも同様であるが、証券会社や金融機関の集団であるシンジケート団の意見を参考にして、発行形態等を決定している。
・10年債に比べて5年債の利率は低いが、これは、将来の金利動向などが考慮されるためであり、20年債、30年債と利率は高くなっていく。こうした利率と年限の判断は難しい問題であるが、シンジケート団の意見などを踏まえ、10年債が最も有利であると判断しているところである。
・また、国債や他県の状況を見ても、10年債がポピュラーな発行形態となっている。
質問
・県債発行について、民間のプロ・専門家とアドバイザー契約を締結するなどすべきではないか。
答弁
・金融機関を退職された方など特定のアドバイザーだけに頼るのはリスクが大きく、シンジケート団など現役で市場の最前線に立っている方々の意見を参考にすることが適当であると考えている。
・債権の利率は、安全性や発行規模など、市場のニーズによって決定される。このため、県債の発行に当たっては、特定のアドバイザーだけでなく、県債の受入れ側であるシンジケート団など、市場にいる様々な方の意見を踏まえることが重要であると考える。