知事要望
12月19日、わたしの所属する県議会会派ふじのくに県議団は平成27年度当初予算に対する政策提言を川勝知事へ提出しました。いわゆる知事への要望ですが、今年から「要望」ではなく議会としての役割をしっかり果たすという意味を込めて「提言」といたしました。
命 安全・安心な社会づくり
第4次地震被害想定に基づいた「地震・津波対策アクションプログラム2013」の着実な実行と、近年多発している局地的集中豪雨による風水害対策の充実や、中部電力浜岡原子力発電所に関する広域避難計画の策定、さらに富士山の噴火対策などに早急に取り組むこと。
人口減少・超高齢社会に相応しい社会保障体制の確立
「産んでよし、育ててよし」のふじのくにづくり推進のために、子育て支援の拡充等を更に推進すると共に、必要な医療を全県下で提供できる体制の確立を目指し、医師・看護師不足の解消のための対策等を強化すること。また、在宅医療、介護の促進等、持続可能な地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを進めること。
豊 地域経済対策と雇用の創造
農林水産業や成長分野への積極支援など、効果的な経済対策を行うこと。内陸フロンティアを拓く取組を進めるとともに、産業成長戦略を踏まえた新産業の創出、次世代自動車への対応等、10年先を見据えた経済産業政策を実施すること。
地球温暖化対策を進めるとともに地域分散型エネルギー体系を推進すること。
若者、女性、高齢者、障がい者の雇用を創出し、生活者・働く者の視点に立った労働政策を展開すること。
観光立県として憧れを集める魅力の創出
富士山をはじめとする本県の貴重な資源の保全と活用を進めるとともに、県の玄関口である富士山静岡空港の路線の充実を図ることで、来る東京オリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップ、国内でのサミットの波及効果を享受できる観光施策を展開すること。
人 教育環境の充実
2012年からの新学習指導要領完全実施にともなう学習内容や授業時数の増加により、学校の果たす役割が高まっている一方で、教育格差の広がりや家庭環境の多様化によって、支援を必要とする子どもが増えている。世のため人のために働く「有徳の人」づくりのため、35人学級編成の維持等に必要な教職員の確保と適正配置、そして地域の人材が有効に関わるシステムを構築すること。
次世代人材育成の推進
社会情勢や経済構造の大きな変化に対応するため、将来を担う若者に「生きる力」が求められている中、一般教養はもとより、コミュニケーション能力やチャレンジ精神などを身につけるために、自然・芸術・多文化体験の充実や様々な大人との交流、海外での生活体験や留学などができるよう支援し、人材育成を推進すること。
礎 将来を見すえた行財政改革の推進
行政システムの最適化にあたっては、ふじのくに権限移譲推進計画を進めるともに、行政経営研究会を活用し、県全体で最適なサービス提供体制を構築できるよう取り組むこと。また行財政改革大綱に基づき一層の外郭団体の整理を進めること。
財政運営にあたってはコスト計算による事業評価等を推進し、徹底的にムダを省くこと。特にファシリティマネジメントの推進を急ぐとともに、インフラ資産も含めた資産の最適化を進めること。税等の徴収対策を進めるとともに一層の歳入確保策を検討し、自主財源の確保に努めること。これらを実行することにより、財政収支の黒字化にむけて努力すること。
本県における市町への権限移譲のあり方に関する
実態調査報告と今後の取り組みについての提言書
市民に近い権限はなるべく県よりも市にあった方が良いと考え静岡県は権限移譲の取り組みを進めてまいりました。平成26年4月1日現在で、213法令、2604本の事務を移譲しており、10年連続で日本一の実績となっています。しかし、市が望んでいる権限がまだ移譲されていないことや、移譲されたために市の負担が増えていることなどまだまだ課題があります。そこでふじのくに県議団では(公財)日本生産性本部の協力をいただき、県内35市町を対象に実態調査を行いました。調査結果は川勝知事へ提出し県民サービスの向上に役立てていただきます。
1.権限移譲された事務事業の検証
(1)評価の高い事務事業のヨコ展開(カッコ内は市町の数)
市町からの評価が高かった事務事業として、「旅券発給(20)」がありました。住民に近い窓口で手続きができるようになったことの他、発給期間の短縮や休日、時間外の発給など独自性を発揮した市町がありました。
また「未熟児養育の訪問指導や医療給付(10)」は、医療機関と市町が直接連絡できるようになり迅速化するなど、権限移譲の効果が発現しています。このほか、「農地転用許可(8)」、「有害鳥獣捕獲許可(6)」、「土地区画整理(6)」、「国有財産の境界確定(5)」など、市町によって迅速化が図られたと評価されています。
これら権限移譲の効果が発揮されている事業については、好事例をヨコ展開するなど、住民サービスの向上を図るべきです。
(2)「専門職員の確保が難しい事務」、「頻度が少なくノウハウが蓄積されない事務」等、課題が共通している事務事業の洗い出し
一方、課題としては、29市町が「専門職員の確保が難しい」ことを挙げています。また27市町からは、「事務の頻度が少ない事務についてノウハウが蓄積されない」との意見が出されました。特に法令に基づく届出・受付や立入検査は、多くの市町から改善の意見をいただきました。
市町からの指摘が多い事務事業は次のとおりです。
・環境関係法令に係る届出の受付、立入検査
・液化石油ガス器具等の販売事業者への立入検査
・専用水道等の届出の受付、立入検査
・家庭用品品質表示法等に係る立入検査
・計量法に係る立入検査
・社会福祉法人の認可、指導、監査等
・開発行為の許可
・土地改良事業の認可
・自動販売機据付方法の改善等に係る指導、助言、立入調査
・土採取等規制条例に係る事務
市町の評価が高かった「旅券発給」についても、「専門職員の確保が難しい」、「財政支援不足」などの意見が出されています。また市町で窓口受付時間を延長しても、県の事務窓口の時間が変わっていないため、履歴確認ができないケースが指摘されています。
2.事務処理体制の見直し
(1)県による補完
権限移譲された事務は、元々県の事務であったことから、県にはノウハウを持った職員がいるはずです。「専門職員の確保が難しい事務」、「頻度が少なくノウハウが蓄積されない事務」の事務処理体制の整備については、まず県による垂直補完が考えられます。また場合によっては事務の返上も含めて検討すべきと考えます。
平成26年5月の地方自治法の改正で、新たな広域連携の仕組みとして「連携協約」、「事務の代替執行」制度が創設されました。これらの制度には県と各市町との連携も選択肢に含まれていますので、連携協約が締結できれば、市町ごとに柔軟な連携が可能となります。
(2)機関等の共同設置の検討
今回の調査では、「専用水道設置者への改善の指導等の措置(7)」について、「機関等の共同設置」による処理体制の意見が出されています。また現在、岡山県内の3市で検討が進められている「監査委員事務局(2)」の共同設置についても、専門性の向上が期待されており、こうした事務事業について検討すべきと考えます。
(3)規模の小さな市町への対応
人口規模が5万人未満の市町では、権限移譲の効果が発現しにくい状況となっています。また小さな市町は事務の共同処理についてあまり自主的に考えていない様子がうかがえます。小規模自治体への権限移譲については、県が好事例を参考に枠組みを提案すること等を検討すべきと考えます。
(4)その他
自治体間の連携に加え、民間活力の導入が可能なものも考えられます。公民連携の進展の中、事務事業の洗い出しを行うべきです。
3.現状の支援措置の検証
(1)財政支援の見直し
権限移譲事務交付金は取扱件数を基準としていますが、事務処理の受付体制は常にとっておく必要があるため、事務事業によっては市町の実態に合っていないとの意見が出されています。
権限移譲による市町の業務量増により、市町によっては職員増につながるケースがあります。その場合、定数管理が地方交付税等の算定上不利になってしまうため、国への制度改定の要望に努めるとともに、必要に応じて権限移譲事務交付金の見直しを検討すべきです。
(2)人的支援のあり方
現在も人事交流や職員派遣など人事交流を行っていますが、これらの実施の確実性を高めるため、新たに導入された連携協約による人的支援の明確化等を検討すべきです。
市町への権限移譲により、県にもノウハウがなくなる懸念があります。県による研修を定期的に開催するなど、人材の確保を図る必要があります。
平成26年12月定例会 企画くらし環境委員会の報告
私たち県議会議員は、本会議の他に7つの常任委員会に分かれて議論します。 その場で私たち議員は、県職員の方々に質問や要望というかたちで、議員が求められている行政に対する監視・提案をしていきます。私は、平成26年度は企画くらし環境委員会になりました。この委員会は人口減少対策や湖西市浜名湖西岸160ヘクタール工業団地開発にも関わってくる内陸フロンティアなど各部をまたがる問題を担当する企画広報部と、浜名湖の水質など環境関係や住居問題を担当します。私の質問と県の回答を後面にて掲載いたします。ご覧ください。
愛知県との県境におけるダイオキシン測定について
Q 愛知県との県境におけるダイオキシンの測定について、来年度以降も引き続き測定して欲しいとの要望が湖西市から出ている。県の対応を伺う。
A 今、湖西市役所で固定的にダイオキシンを測定しているが、ここは他と比較して全く高くない。ところが、もう少し愛知県側の場所だと、他のところに比べ少し高い状況にある。こちらの方を固定地点として調査を続けていけばどうかと市と調整しており、来年度の予算で要求していこうと考えている。
湖西市内の安定型最終処分場について
Q新居町にある有限会社マルセエンタープライズの安定型最終処分場に埋め立ててはいけないものが埋め立てられていると地域住民から県へ連絡したところ、県からは「検査を行い異常が出ていないので問題ない」と説明を受けたがどうなっているのか?
A現場を再度調査して、適切に対応していく。
水素ステーションについて
Q水素の利活用の中でも最も注目されているのは燃料電池車かと思う。水素ステーションは、現状、静岡県にはないが、建設に対する取組状況と助成制度の検討状況は。
A普及協議会に参加するエネルギー事業者と水素ステーション設置に関する意見交換などを重ねているが、現状、県内では具体的な設置計画は確認できていない。今後、FCVの市場導入の状況、普及の状況などを踏まえながら、協議会を通じて、整備の可能性の検討などを行い、民間事業者の取組を促進する。 建設に対する助成制度については、民間事業者の具体的な動きや規制見直しなどによる低コスト化の動向も踏まえ、市町とも連携しながら、県としての支援策を検討する。