2月26日、地元湖西市応援団の皆様が見守る中、所属する会派「ふじのくに県民クラブ」の代表として静岡県議会本会議の代表質問に立ち、県政の課題について議論をかわしました。来年度予算に関わる重要な場でしたが、田口章政調会長や職員の支えで何とか終えることができました。専門医制度の質問時、こちらが聞いたことに対して部長が全く答えていないなど納得いかない答弁もありましたが、その他の質問では県の前向きな取り組みが表れた答弁でした。以下にすべての質問と答弁を掲載します。
1 知事の政治姿勢について(1)今後の県政運営
答弁者 : 知事
質問要旨: 2期目の知事の任期は、残すところ1年4ヶ月余、総合計画「後期アクションプラン」の計画期間は平成29年度までとなっており、2期目の任期中で言えば、来年度の取組が“ふじのくに”づくりの総仕上げに向けた重要な年になる。知事が学問の道へ進むきっかけとなった、三木清翁の「真実の秋の日照れば専念に心をこめて歩まざらめや」の歌のごとく、県政に打ち込む姿を見ているので、「ポスト東京時代の理想郷」の実現に大きな期待をしている。また、戦後初めて総県債残高が減少するなど財政健全化の取組を着実に進めていることに対し高い評価をするとともに、更なる取組を期待している。そこで、知事の考える本県の目指す姿について、また、目指す姿を実現するためにどう取り組んでいくのか、今後の県政運営について伺う。
答弁内容: 田内議員にお答えいたします。私の政治姿勢についてであります。この件についての田内議員の御質問の中に、私の敬愛する哲学者「三木清」の和歌を御披露くださいまして、驚きますと同時に、私の心の襞に触れまして、大変感謝しております。「三木清」がまだ学生だった頃に、鴨川を歩いていて作った歌だということでございます。彼は、共産党の高倉輝が仮釈放中に謀略をいたしまして、恩を仇で返されて投獄され、8月15日の敗戦の時にも釈放されず、9月26日病気で、監獄で亡くなった方です。享年は47歳でありました。彼の先生は、日本に哲学がないと中江兆民が言いましたが、日本が生んだ、内外で認められている「西田幾多郎」という方が、最も愛した弟子です。言わば、孔子に顔回という素晴らしい愛弟子がいたんですが、「西田幾多郎」にとっては顔回のような存在でありました。彼の遺徳を偲んで、兵庫県の龍野という所に石碑が建てられまして、そこに「真実の秋の日照れば専念に心をこめて歩まざらめや」という歌が刻まれて、私はその場に立ちまして、その志を、志半ばだった三木さんの思いを継ごうと決意をいたしまして、知事を預かることになりまして、本歌取りではありますけれども、「真実の光降り敷く道なれば富士に向かいて歩まざらめや」という思いで、今、仕事をしております。
この富士の「富」という字は訓読みすれば「とみ」です。富士の「士」という字は「有徳の人」ということであります。よく不祥事がありますと「私の不徳の致すところ」ということを、誰に教わることなく皆言いますけれども、あらゆる全ての不祥事に対して「不徳」という言葉がございますように、その反対が「徳」ということで、「有徳である人」に支えられている「富」というのが「富士」という字の形であります。何よりも、“ふじのくに”の未来を担う「有徳の人づくり」に向けまして、スポーツや新しい実学の奨励による「文・武・芸」三道鼎立の実現、また、多彩な人材を育む教育環境の実現、地域ぐるみ・社会総がかりの教育の実現、人材の育成に取り組んでいるところであります。
私は、知事に就任いたしまして以来、日本の国土の中央にあって富士山を擁する静岡県は、人類の作り上げました東洋の文明も、そしてまた、西洋の文明も取り込み終わりまして、そして、そこに富士山があり、その富士山に象徴される日本の国土、あるいは自然・文化とが調和する、文明と自然とが調和する理想郷たり得る「場の力」を有していると確信しているところでございます。この地に、そのような日本の理想郷を築くべく、県政運営の基本理念に「富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくり」として、西洋を受容するという時代、これを東京時代というふうに呼びまして、その時代の次を拓く、言い換えると「ポスト東京時代の日本の理想郷をここに創る」ということで、その実現に向けて全力で取り組んでいるところであります。
最近は、戦後の総決算ないし、戦後から脱却ということで、今年の参議院議員選挙の争点の一つは憲法改正ということでございます。目下のところは、九条が争点になるかならないかということのようでございます。日本国憲法というのは、主権在民、基本的人権、平和主義の三つを柱にしているわけですが、やはり明治憲法もそうですけれども、ヨーロッパの思想をベースにしているものですから、人間しか入っていないということです。日本は国民と国土と両方から成るということで、第一章は国民の統合としての天皇について一条から八条までいろいろな規定が書かれているわけです。第一条は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する国民の総意に基く」と、こういうふうにあるわけですが、そして章を改め、第二章に戦争放棄、第九条となるわけですが、私は、その前に抜けているものがあると思います。それは国土です。ですから、国民の統合としての天皇を規定するのであれば、第二章はそれを受けて、国土ないし、国土の統合のシンボルとして、「富士山」と書くべきだと思います。したがって、第九条は、富士山は日本の象徴であり、日本国土統合の象徴である、この地位は、あるいは、この認識は、日本国民の総意に基く、あるいは、日本国民のみならず、いまや世界の宝物、人類社会の宝物となりましたから、人類の総意に基くとすら書き得る、そういうものでございます。改めて日本の国の最も基本的なものについて与えられる機会が間もなくやってくるということでございますので、私は、「“ふじのくに”づくり」というものを、そうした憲法改正も視野に入れて、考えて、政治に取り組んでおります。
この理想郷の実現に向けましては、最も大切な基礎となる県民の命、財産を守る万全の体制を構築し、「徳のある、豊かで、自立した」地域づくりを進めていく必要がございます。そこで、「命を守る危機管理」を最優先課題とし、「地震・津波対策アクションプログラム2013」に基づくハード・ソフト両面からの対策を着実に推進するとともに、防災・減災と地域成長の両立を目指す「内陸のフロンティア」を拓く取組などを通じ、美しく、強く、しなやかな災害に強い地域づくりを強力に推進してまいります。
また、日本全体が人口減少に直面しております。これを克服し、いわゆる地方創生を実現するために、生活と自然が調和する豊かな暮らし空間の創出、所得倍増よりも、暮らしの豊かさは生活空間の広さに深く関わっていると思っておりまして、暮らし空間n倍増と言います、2倍とは言いません、10倍増くらいを考えておりますが、それができるのは静岡県だと思いますが、そうした空間の創出や、官民一体で取り組む「産業成長戦略」の推進、“ふじのくに型人生区分”に基づく元気ないわゆる壮年熟期、66歳から76歳まで、この方たちの社会参加の促進、「子育ては尊い仕事」という理念の普及による静岡型子育て支援などを推進しまして、物の豊かさと心の豊かさとがバランスして両立できる社会の形成を進めてまいります。
日本の真ん中で存在感を発揮する、まさに“ふじのくに”という日本の国府としての静岡県という自覚を持ちまして、「ポスト東京時代の日本の理想郷づくり」の総仕上げに向け、各地域の多彩な「場の力」を活かした「特色ある5つの地域」、伊豆、東部、この中部、そして志太榛原・中東遠、それから先生のいらっしゃる湖西を含めた遠州でございますが、この「5つの地域圏づくり」や、「食の都づくり」「茶の都づくり」「花の都づくり」など、本県の魅力を一段と高める取組を進めるとともに、静岡県の世界水準の魅力を活かして「世界にはばたく“ふじのくに”静岡県」に向けまして、全力で邁進してまいりますので、御理解、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
1 知事の政治姿勢にいて(2)平成28年度当初予算編成
答弁者 : 知事
質問要旨: 平成28年度は「ふじのくに」づくりの総仕上げに向けた実質的な最終年度であり、我が会派を始め、県民が大きな期待をする中での予算編成であったと思う。
昨年12月に県が公表した部局調整案の提出時点の収支見通しでは、財源不足額は400億円を超えていた。県内経済は緩やかな回復傾向にあるが、海外の情勢など景気を下押しするリスクもあり、先行きが不透明な中で、税収を始めとした歳入の見積もりも、難しかったのではないか。
また、歳出をみると、その規模は1兆2,410億円で、前年度当初予算を若干上回る規模となっている。しかし、近年の傾向であるが、医療や介護などの社会保障関係費や借金を返済するための公債費等の義務的経費が年々増加して財政を圧迫しており、28年度当初予算も同じ傾向が見て取れる。限られた財源の中で、知事が推し進める施策を盛り込み、「ふじのくに」づくりの総仕上げに向けた予算を作り上げたことは、知事を始め、当局の職員のみなさんも、大変なご苦労があったのではないかと思う。
さて、昨年12月、我が会派は、重点政策提言2016として、「命」「豊」「人」「礎」の4つのテーマ、「安全・安心な社会づくり」、「地域経済対策と雇用の創造」、「教育環境の充実」、「将来を見すえた行財政改革の推進」など7項目を知事に提言した。その際、知事からは「提言の内容をできる限り取り入れる姿勢で臨む」との力強いコメントもいただいた。
そこで、平成28年度当初予算に、我が会派の要望をどのように反映したのか伺う。
答弁内容: 次に、平成28年度当初予算編成についてであります。
平成28年度当初予算は、富国有徳の理想郷 世界にはばたく“ふじのくに”を理念といたしまして、第一に「スポーツを通じた交流の拡大とスポーツ王国しずおかの復活」、第二に地域外交、第三に第一次産業の振興でございますが、ただ、後期アクションプラン八つの重点取組を着実に推進するための予算として編成をしたところであります。
予算編成に当たりましては、ふじのくに県民クラブの皆様からいただきました「命」「豊さ」「人」「礎」の四つの政策理念からなる御要望に基づき、十分にそれにお応えする形で対応したというところでございます。
一つ目の御要望項目「命」につきましては、「地震・津波対策アクションプログラム2013(にせんじゅうさん)」に基づき、住民の皆様の御意見を取り入れながら、市町と協働して津波対策に取り組むいわゆる「静岡方式」を更に進めるとともに、防潮堤や河川堤防の嵩上げ・耐震化、緊急輸送路の整備などを着実に推進いたします。
また、富士山の噴火も想定内になっております。その噴火に備えた避難ルートマップの作成や有識者による避難施設のあり方の検討を含めて進めまして、周辺住民及び登山者の安全確保を図り、日本で一番安全で安心な県土を築いてまいります。
さらに、ふじのくに型「人生区分」を活用した壮年熟期、66歳から76歳の人々の社会参加を促進するほか、生活困窮世帯の子どもに対する生活指導や学習支援を拡充いたします。
二つ目の御要望項目「豊さ」についてでありますが、本県の農産物は品質が高いので、農芸品と言ってはばかることはありませんが、この農芸品の付加価値をさらに向上させる。また、木材生産量の拡大を図る、そしてまた木材については安定供給体制を構築する。水産物につきましては、海外への販路を拡大する等々、幅広く取り組みまして、一次産業の競争力の強化を図ってまいります。
また、「“ふじのくにに住みかえる”センター」の情報発信体制を強化いたしまして、移住・定住対策に力を入れるほか、大都市圏に在住するプロフェッショナル人材の県内企業への就職支援を拡充してまいります。
さらに、スポーツや観光など幅広い分野で交流人口の拡大を目指し、東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプの誘致、ラグビーワールドカップ開催に向けた機運の醸成、訪日外国人の受入体制の強化、富士山静岡空港の機能強化と利便性の向上に取り組んでまいります。
三つ目の御要望項目の柱、「人」につきましては、民間企業、関係団体などからの御協力を賜りまして創設する基金ができます。これを活用しまして、高校生の海外留学や海外インターンシップなどを支援し、将来、子どもたちが国際社会で活躍できるように、積極的に取り組んでまいります。
また、静岡式35人学級編制の全学年での実施、これは全国に先駆けて実施したものでございますが、これを継続するとともに、小中学校に専門性を持った外部人材を配置し、学校の組織力、教育力の向上を図ってまいります。
四つ目の御要望項目の柱、「礎」についてであります。予算編成の過程で、選択と集中による事業の優先化・重点化、補助金の見直し、ファシリティマネジメントに基づく県有施設の維持管理経費の最適化等々を通じて歳出のスリム化を徹底し、加えて県税の徴収体制の強化、未利用財産の売却などでの歳入確保に努めました結果、翌年度以降活用可能な基金について、前年度を上回る360億円を確保したところでございます。
来年度は、これらの取組を加速いたしまして、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げに向け、県内の各界・各層が一致団結し、オールしずおかで邁進してまいります。
2 浜松市における野球場整備について
答弁者 : 知事
質問要旨: 遠州灘海浜公園篠原地区の整備に関しては、昭和63年中田島北公園が県営公園として開設以来、現在に至るまで、その整備について浜松市が要望を続けてきた。平成23年8月には野球場の整備要望と四ッ池公園の再整備に対しての意向が浜松市から示され、平成25年5月21日、浜松市、浜松商工会議所、浜松市自治会連合会から改めて要望を受け、平成26年には、県と浜松市の関係部局による勉強会を立ち上げ、今年度基本構想を策定する中で、地形、気象状況との適合性、関係競技団体との調整、県市の費用分担などの課題解決に取り組んでいると伺っている。
そこで、今年度実施してきた検討結果と、その結果を受け来年度予算で計上している公園基本計画の策定をどのように進めていくのか伺う。
答弁内容: 次に、浜松市における野球場整備についてであります。
遠州灘海浜公園におきましては、浜松市沿岸域の雄大な、雄壮な景観や豊かな自然環境がございます。そこに配慮し、公園整備を進めてきたところであります。いまだ篠原地区には未利用地が多くございます。整備に対する要望も強うございます。そうしたことから、今年度、浜松市とともに公園全体の基本構想の策定を進めているところでございます。
野球場の導入にあたりましては、当地における風等の気象条件を整理いたしましたが、さらに浜松市が聴取されました野球関係者のご意見も参考にして、野球場の立地は可能であると判断したところであります。また、県と浜松市の費用分担につきましては、用地取得に必要な経費は浜松市負担としまして、防災機能に係る経費のうちレベル1を超える機能については、市町の負担という原則がございます。この原則に基づき基本計画の策定作業と平行して浜松市と協議を進めてまいります。
基本構想におきましては、遠州灘海浜公園のうち、篠原地区を浜松市総合水泳場とともに様々なスポーツに対応できる「防災・スポーツエリア」と位置付けて、野球場や駐車場、多目的広場等、関連施設の整備を計画しております。これらの施設は遠州灘の防潮堤と隣接して整備することによって、有事の際、発災直後では津波避難施設として、いわば避難ビルのような形で活用できる、復旧段階では支援活動拠点にもなりうるということです。
本議会にお諮りしております公園基本計画では、地質や風の影響の詳細な調査を行った上で、野球場等の導入施設の規模、配置等を具体的にお示すとともに、景観や環境保全を考慮した空間構成、車や歩行者の動線を定めるなど、整備の具体化に向けて公園の基本的な内容を明らかにしてまいります。
県といたしましては、基本計画の策定を着実に進めまして、県民スポーツ、また憩いの場として、賑わいと活力に溢れたスポーツ拠点づくりに取り組んでまいります。
オリンピックは内外の目が日本に集まるときです。たとえ、参加国が野球においては少ないにせよ、日本においては野球はメインのスポーツのひとつであり、さらにまた静岡県においては、とりわけそうであります。そこで、注目されたときに、安全なところであると、素晴らしいところであると、沿岸のリノベーションというものの理想であると、いわゆる内陸のフロンティアを拓く取り組みの柱のひとつでございます。そういうものとしてPRする絶好の機会というものが、4年後には巡ってくるということも、やはり想定の中に入れたほうが良いと、私は考えております。安全を売り込む機会だということでございます。
3 地域医療について (1)専門医制度への対応
答弁者 : 健康福祉部長
質問要旨: 新専門医制度を静岡県で効果的に運用するには、全ての専門分野で中核となる専門研修基幹施設に名を連ねている浜松医科大学附属病院が、県医学修学研修資金の返還免除の条件に指定する医療機関として認定をされていないことで、県内の専門医の育成がスムーズに行えるのか疑問である。
そこで、県は新しい専門医制度への対応についての課題をどのように認識されているのか、そして、前述の附属病院を返還債務免除の条件に指定する医療機関として他の認定済み病院と同じ条件で認定すべきと考えるが、県の所見を伺う。
答弁内容: 地域医療についてのうち、専門医制度への対応についてお答えいたします。
平成29年度からの新専門医制度の導入に向け、新制度に対応した研修プログラムの作成への支援や実施に協力する基幹施設と連携施設との調整を行うなど、県内において専門医資格を取得できる環境の整備にしっかりと取り組むこととしております。
新専門医制度では、専門医資格取得のための研修プログラムの多くが、大学附属病院を基幹施設としておりますが、本県の医学修学研修資金制度では、県内の公立病院等の医師不足の解消を目的に設立したものであることから、返還免除のための勤務先につきましては、附属病院よりも公立病院等を優先しているのが現状でございます。
このため、県では、今回の新専門医制度に対応していくため、浜松医科大学に対し、医学修学研修資金の利用者が、医師不足地域の公立病院等にも勤務しながら、専門医資格を取得できる研修プログラムの作成を要請しております。また、医学修学研修資金制度における返還免除施設の対象につきましては、研修プログラムを実施する基幹施設である大学附属病院を加えることについて検討しているところでございます。
県といたしましては、新専門医制度に的確に対応するため、浜松医科大学附属病院や他の専門研修基幹施設とも、密接な連携を図り、県内に勤務する医師に、専門医資格を取得しやすい魅力的な研修環境の整備に努め、高い能力を有する医師を増やし、県民の皆様に質の高い医療が提供できる体制を構築してまいります。
3 地域医療について (1)専門医制度への対応【再質問】
答弁者 : 健康福祉部長
質問要旨: 眼科、耳鼻咽喉科、形成外科の専門医育成に対して、県内で専門研修基幹施設になろうと検討している病院は浜松医大のみである。
浜松医大を返還債務免除の条件に指定する医療機関としない現状のままでは、研修医が他県に流れることを促すものであり、先の3つの専門医を呼び込みにくくなると思うが、所見を伺う。
答弁内容: 専門医制度につきましては、それぞれの診療科目ごと、基幹施設というのがございます。
御指摘のとおり、眼科、耳鼻咽喉科、形成外科につきましては、浜松医科大学のみが基幹施設となる見込であります。
県としましては、新専門医制度の導入に当たりまして、医師確保の面からも非常に大きく関係すると考えておりまして、そうしたことから浜松医科大学に対しまして、医学修学研修資金利用者が希望する専門医資格を県内で取得できるようにするため、研修の受け入れ枠を十分に確保するようにお願いするとともに、それぞれの研修プログラムで、例えばでございますが、研修プログラムの作成をお願いするとともに、奨学金制度のもうひとつの目標としまして医師の偏在の解消というのもございますので、眼科、耳鼻咽喉科、形成外科につきましても、県内の公立病院を連携施設としていただくなどしまして、合わせまして、返還免除対象施設に浜松医科大学附属病院を該当させるというのを検討の項目としまして、浜松医科大学附属病院が基幹施設となっている3つの専門医の資格について取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
3 地域医療について (2)地域医療構想
答弁者 : 健康福祉部長
質問要旨: 平成27年4月より都道府県が「地域医療構想」の策定を開始している。
「地域医療構想」は平成37年に向け、病床の機能分化・連携を進めるために、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の医療機能ごとに平成37年の医療需要と病床の必要量を推計し定め、目指すべき医療提供体制を実現するための施策を明記することとなっている。
しかし、構想の策定や実現に向けては、様々な課題があると考えている。
地域医療構想の策定や実現に向けた課題を県はどのように認識し、課題解決にどのように取り組むのか県の所見を伺う。
答弁内容: 次に、地域医療構想についてであります。
地域医療構想の策定に当たりましては、高齢化の進行をはじめ人口構成や医療資源の分布など、地域の実情を的確に把握し、様々な地域の状況にしっかりと対応できる構想とすることが重要であります。
このため、各圏域に「地域医療構想策定作業部会」を設け、構想区域の設定をはじめ、構想実現に向けた方向性や地域の現状と課題等について検討を行っております。また、研修会やタウンミーティングを開催いたしまして、医療関係者に加え、市町や介護福祉関係者、県民からの御意見をいただき、地域の状況に応じた構想の策定に努めているところです。
構想の実現に向けましては、各地域にふさわしい医療提供体制を構築することが課題であることから、構想区域ごとに、医療関係者や市町と保険者などによる「地域医療構想調整会議」を設けまして、病床機能の分化連携をはじめ在宅医療の充実や医療と介護の連携体制の構築などについて協議していただき、その地域に必要な医療機能の整備や身近な地域で必要なサービスが受けられる地域包括ケアシステムの構築を支援していきます。
県といたしましては、地域医療構想が目標とする2025年に向け、県と市町、関係団体等が連携いたしまして、質の高い医療提供体制の確保と、地域包括ケアシステムの構築を進め、県民の誰もが、安心して暮らしていける“ふじのくに”を実現してまいります。
4 子育て支援策について
答弁者 : 健康福祉部長
質問要旨: 我が国は、急速に進む少子高齢化を背景に本格的な「人口減少時代」に突入している。人口減少を克服し、本県が今後も活力溢れる「ふじのくに」であるためには、「2人から3人の子どもを持ちたい」という県民の希望がかなえられなくてはならない。
希望の数の子どもを持つことができない理由として、「人口減少社会を考える」と題した本年度の「厚生労働白書」では、「経済的負担感や仕事と子育ての両立困難、高齢や不妊」としており、さらに、「3人目の壁」として挙げられているのが、「経済的負担感」と「子育ての心理的・肉体的負担」である。
そこで、誰もが安心して子どもを産み育てることができる環境を構築するためには、子育て世帯の経済的負担の軽減や子育ての孤立化を防ぐ専門家による支援の充実などが必要と考えるが、どのような取組を実施していくのか、県の所見を伺う。
答弁内容: 次に、子育て支援策についてであります。
県では、2人から3人の子供を持ちたいという若い世代の希望をかなえることを目指し、「子育ては尊い仕事」の理念の下、市町と連携した様々な子育て支援の充実に取り組んでおります。
子育て世帯の経済的負担の軽減につきましては、こども医療費助成の拡充に努め、本県の制度は全国的にも高い水準となっております。また、保育料につきましても、第3子以降の無料化を国へ提言し、所得制限はあるものの、来年度からの実現に結びつけるなど、その成果が現れてきているところでございます。今後も国に対して所得制限の撤廃などを提言し、保育料の負担軽減に努め、子育てしやすい環境づくりを進めてまいります。
子育ての孤立化を防ぐ支援につきましては、概ね生後4か月までの乳児のいる家庭への全戸訪問のほか、今年度は、子育て中の親子を支援する子育てコンシェルジュを養成いたしまして、身近な地域での相談体制を整備したところでございます。来年度は新たに、妊娠出産期から子育て期にわたる悩みに丁寧に応え、必要に応じて、医療機関や地域子育て支援拠点などにつなぐ、「妊娠・出産包括支援員」を養成いたしまして、子育ての心理的・身体的負担を和らげる、きめ細かな支援を充実させることとしております。
県では、2人目、3人目の出生に影響を及ぼす様々な要因などについて、市町ごとの分析を行い、その結果をデータ化した「ふじのくに少子化突破戦略の羅針盤」を作成いたしました。今後は、この冊子を積極的に活用いたしまして、地域特性を踏まえた効果的な施策の実施を市町に働きかけ、安心して出産や子育てが出来る「生んでよし 育ててよし」の理想郷の実現を目指してまいります。
5 生活困窮者対策について
答弁者 : 健康福祉部長
質問要旨: 昨年4月に生活困窮者自立支援法が施行された。
自立に向け就労等を支援する自立相談支援事業や離職により住宅を失った者に対する住居確保給付金事業の2つが必須事業であり、日常生活の段階から訓練を行う就労準備支援事業や家計相談支援事業、生活困窮世帯の子どもに対する学習支援事業などが任意事業である。
任意事業は、各自治体が地域の特性に応じ取り組む事業だが、自治体間でばらつきがあることが課題である。きめ細かく事業を展開していく上では、事業ごとの課題を的確に認識し、取り組んでいく必要がある。
学習支援事業は全ての市町で実施すべきであり、就労準備支援事業や家計相談支援事業は各自治体における特性に応じた取組が望ましいと考える。また、これら事業は、類似事業により対応している場合はともかく、人材や予算の厳しさを背景に進んでいない状況も課題である。
各任意事業の取組をどのように拡大させていくのか県の所見を伺う。
答弁内容: 次に、生活困窮者対策についてであります。
生活困窮者自立支援法に基づく支援は、様々な理由で生活に困窮されている方々の自立を促す施策として、極めて重要であります。このため、県では、昨年8月より、市町で構成する推進会議の開催や各市に対する個別の働き掛けを行った結果、来年度からは約9割の自治体が、いずれかの任意事業に取り組むこととなりました。
任意事業のうち、学習支援事業につきましては、貧困の連鎖を断ち切るため、特に重要な事業と認識しておりまして、全市町が積極的に取り組めるよう、成功事例を紹介するなど、支援を行ったところ、来年度からは、21市町で事業が実施されることとなっております。また、就労準備支援事業や家計相談支援事業などにつきましても、事業成果や実施手法につきまして、各市町に積極的に情報を提供し、必要性について理解を深めることで、取組の拡大を図ることとしております。
県では、各自治体が地域の特性に応じた任意事業を効果的に取り組むことができるよう、各市町に設置されている相談窓口の職員を対象に援助技術向上を目的とした研修の実施や、生活困窮者に対する就労訓練の場を確保し、その活用を各市町に促していくなど、取組の拡大強化に努めております。
今後とも、任意事業の取組が全市町において行われ、困窮者が抱える様々な課題に適切に対応することで、生活困窮者の方々が将来に希望を持って、自立して暮らすことができる社会となるよう、全力で取り組んでまいります。
以上であります。
6 自動車産業に対する支援について
答弁者 : 知事
質問要旨: 自動車産業を中心とするものづくりは静岡県の基幹産業でもあり、ものづくり企業の発展こそが本県の発展につながり、県においても自動車産業に対し新しい観点で支援を考える必要がある。
これまでも、県は、ものづくり企業に対する支援に力を入れてきており、評価をしているが、研究に対する一層の支援など、まだまだ出来ることがある。
広島県における自動車関連施策は、自動車メーカーから発信したニーズを県の総合技術研究所や公益財団法人ひろしま産業振興機構で受け止め、産学官連携による研究開発や人材育成の支援につなげる仕組みとなっている。また、中国経産局、県、広島市、産業振興機構、広島大学、マツダの六団体で作成した「2030年自動車産学官連携ビジョン」の実現に向けて、自動車産学官連携推進会議を発足して取り組んでいる。
国も2030年までにハイブリッドや電気自動車、燃料電池自動車などの次世代自動車の新車販売に占める割合を五割から七割とする目標を掲げ、その普及に取り組んでいるところであり、県は今後どのように自動車産業への支援をしていくのか所見を伺う。
答弁内容: 次に、自動車産業に対する支援についてであります。
静岡県は、国内有数の自動車生産県であり、自動車メーカーの生産拠点や部品メーカーが多数立地しております。輸送用機械器具製造業は、平成26年の製造品出荷額等が4兆2,249億円と県全体の四分の一を占めております。事業所数は約1,100社、従業者数は約8万2,000人であります。その9割以上を占める自動車産業は、本県にとって最も重要な産業分野であります。
県は、これまで、静岡県企業とトヨタ自動車、マツダ、三菱自動車との商談会を開催し、すでに42件の成約に繋がる受注機会の創出に努めてまいりました。来年度は、デンソーなどの大手部品メーカーとの商談会を計画しております。
また、次世代自動車につきましては、環境対策が重要なテーマとなっております。電気自動車を分解して部品を展示して、地域企業が直接新しい部品構造を知ることができる取組、あるいは県内企業が開発なさった超小型の電気自動車の公道上での実証実験への支援、EV用充電器の県内への設置等を進めております。来年度から、水素ステーション整備のための新たな助成制度も創設いたします。これも今議会にお諮りしているところであります。
加えて、自動車産業に関わる在職者のスキルアップのために、技術専門校に次世代自動車の開発に関するコースを設置しております。また、日本自動車技術会が小笠山総合運動公園、通称エコパで開催している、学生が自ら設計・製作した車両により、ものづくりの総合力を競う全日本学生フォーミュラ大会を支援することで、エコパは学生モータースポーツのメッカとして定着しており、多くの学生が、この大会を契機に自動車メーカーに就職し、日本の自動車産業を支える一翼を担っております。
議員の地盤の湖西に、豊田佐吉翁が生まれました。大工のお父さんを持った孝行息子だったということですが、確かお生まれになったのは、1867年。したがって、来年が御生誕150年にあたるのではないでしょうか。世界の会社、トヨタの故郷が湖西であります。豊田佐吉翁は、「障子を開けてみなさい。外は広い。」というふうに名言を吐かれました。あの湖西の豊田翁の生家は、湖西の人々の見事な愛着によって、今日まで、すばらしく保存されているのには敬服をいたします。豊田翁、極めて起業家精神が横溢で、日本でも最も早くに特許というものの重要性をお知りになり、色々特許を取られて、最終的に世界のトップクラスをいっていたイギリスのプラッド・ブラザーズに、プラッド社という紡織とか紡績の機械メーカーでありますが、そこに特許を売って欲しいということで、その特許料で喜一郎さんというお坊ちゃんが、自動車産業に乗り出されたということです。今、自動車産業も織機と一緒でどんどんと発達し、今EVだとか、環境にやさしいものに発達しております。このような起業家精神が、静岡県には横溢しているというふうに思っているところでございまして、この基幹産業は、しっかりと支援をしていかねばならないと思っております。
今後とも、国や大学、自動車関連の機関と連携いたしまして、燃料電池車や自動走行システムなど最先端の技術開発や、高度なスキルを持った人材育成、県内企業のビジネスチャンスの創出など幅広い支援を実施いたしまして、本県経済を支える自動車産業の振興を図ってまいります。
7 外郭団体について
答弁者 : 経営管理部長
質問要旨: 本県では、これまで点検評価を実施するなど団体自ら目標を定めて経営の健全化を進めており、「静岡県行財政改革大綱」においても、経営的視点により団体の必要性、経営の健全性、事業の有効性等について継続的な検証と見直しに努めるなど、県の取組について評価している。
しかし、厳しい財政状況の中、更なる外郭団体の見直しが必要と考える。行財政改革推進委員からも「あえて県がやる必要があるサービスなのか、という観点から団体の必要性を議論しなければならない」といった意見が出ているが、今後どのように外郭団体の見直しを進めていくのか所見を伺う。
答弁内容: 外郭団体についてお答えいたします。
本県では、全ての外郭団体が経営の健全性等について自ら点検評価を
実施し、改善に取り組むとともに、評価の結果を公表した上で、外部有識者からなる行財政改革推進委員会に提出し、検証を行っております。
こうした取組の結果、平成17年度に32あった団体数が、本年度末の静岡県下水道公社の解散後には27に減少するほか、常勤の役職員数は、17年度の703人から本年度は482人に減少するなど、スリム化が着実に進んでおります。また、各団体では利用者意見を把握し事業への反映を図るなど、県民視点に立ったサービスの向上に努めております。
一方で、本格的な人口減少社会を迎え、県民ニーズや社会経済状況が変わり続けていく中で、外郭団体につきましても、県民の福祉の向上に貢献できますよう、団体の必要性や果たすべき役割をゼロベースで検証した上で、その存廃も含めて、状況の変化に対応した見直しを行う必要がございます。
県といたしましては、団体に対して更なる改善努力を促すとともに、来年度の行財政改革推進委員会において、個別の団体の課題や県との役割分担を明らかにした上で、それぞれの改革の方向性を検討し、県民にとって真に必要なサービスが効果的に提供されますよう、外郭団体の不断の見直しに努めてまいります。
以上であります。
8 地域外交の展開について
答弁者 : 知事
質問要旨: 県は、地域外交を進めるにあたり、中国、韓国、モンゴル、台湾、東南アジア、米国を重点国・地域とし、観光交流、経済交流、教育・文化交流を柱とした静岡県地域外交基本方針を策定し、交流を進めてきた。
このような中、昨年4月には、地域外交基本方針の見直しを行い、経済交流から通商へと一段レベルを上げた取組を進めるとして地域外交に取り組んでいる。
また、海外での活動拠点となる駐在員事務所についても体制の強化をはかり、各国・地域との交流深化に取り組むほか、関係部局と連携して、本県の優れた魅力の発信や観光誘客、県内企業の進出支援など、多くの分野でその役割を果たし、成果をあげている。
今後、地域外交をどのように展開していくのか県の考えを伺う。
答弁内容: 次に、地域外交の展開についてであります。
本県では、平成23年度、地域外交局を設置いたしまして、地域外交を展開してまいりました。展開先として6つの重点国・地域を定め、積極的に地域間交流を展開しております。
昨年4月には、基本方針を見直し、交流が深まっている中国では、県産食材のプロモーションや本県への投資説明会の開催、モンゴルでは、ビジネス商談会や物産会の開催、東南アジアでは、ビジネスサポートデスクの設置等、県内企業の海外展開支援や県産品の販路拡大など、通商の促進を目下、図っております。
また、昨年の夏のモンゴル及び中国浙江省への訪問におきましては、本県のこれまでの取組が高く評価されまして、更なる交流分野の拡大を求められるなど、地域外交が新たな、国レベルと言ってもいいと思いますけれども、少なくともモンゴルからはそのような認識を持たれておりますが、そういう新しいステージ、高いステージに来ているという実感を持っております。
こうした状況を踏まえまして、来年度からは、地域外交に関する施策を、県の組織全体が一体となって推進していくために、全庁的な総合調整を担う「地域外交監」を設置いたします。地域戦略監の、現在、吉林氏が務めておりますが、それに匹敵する言わば国務長官のようなものであります、アメリカで言えば。そうした地域外交監を設置いたします。また、トップマネジメント機能を最大限に発揮して、迅速な意思決定と柔軟かつ機動的な対応を行う体制を一層強化するため、これまで企画広報部に設置しておりました「地域外交局」を知事の直轄組織として新たに位置付けることといたしました。
今後、中国浙江省との友好提携35周年、モンゴル国ドルノゴビ県との友好協定5周年、更に韓国忠清南道との友好3周年ということもございまして、こうした記念行事を契機としまして、更なる交流の深化を図ってまいります。
さらに、東京オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップ、さらにイタリアとのサイクリング交流も昨年から始まりまして、今年、本格化するということでございますが、本県の魅力を世界に向けて発信する機会が数多く控えておりますので、観光、教育・文化交流や通商を一層活発化させ、県民の皆様や県内企業が多くの恩恵を享受していただき、世界に羽ばたく静岡県、名実ともに整えてまいりたい。我々は、いわゆる策略は一切労しません。常に誠心誠意、友好的互恵・互助のそのような精神を持って、実のある地域外交を展開してまいります。
9 県立美術館について
答弁者 : 文化観光部長
質問要旨: 県立美術館は、風景とロダンの美術館として、国内外の風景画等の名画やロダンの作品など約2,600点を収蔵しており、企画展や常設展の開催により、県民の皆様が芸術作品を鑑賞する機会を提供するとともに、県民の創作活動にも寄与している。
また、大規模な展示室を有する県民ギャラリーは、県民の皆様が自主的に展覧会等を開催する場として利用されており、県立美術館は県民の文化活動の拠点となっている。
県立美術館の更なる飛躍を期待しているところであり、県民の利用促進だけでなく、県外向けの情報発信も強化すべきであり、静岡県の魅力的な資源とタイアップを一層進め、観光との相乗効果を目指して欲しいと思うが、今後の県立美術館の発展と入館者の増加のため、県全体で取り組んでいくべきであると考えるが、県の所見を伺う。
答弁内容: 県立美術館についてお答え致します。
県立美術館は、風景画と富士山をモチーフとした作品や、ロダンの彫刻等のコレクションに加え、国内外からの優れた作品による展覧会を開催し、昭和61年の開館以来、560万人の皆様に鑑賞していただいております。
県立美術館の発展と入館者の増加を一層図っていくためには、議員御提案の観光との相乗効果を目指していくとともに、ビジネスや全国大会等で本県を訪れた方々、さらには、中国を始めとする外国人来訪者にも来館していただけるような内容の展覧会の開催と、美術館の魅力の効果的な発信が重要であると考えております。
このため、開館30周年となる来年度は、所蔵する風景画の名品を一堂に披露する「東西の絶景」展や、初公開となる江戸期の作品などを紹介する「徳川の平和」展、平成29年度には、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」特別展など、本県の文化や観光資源を生かした県立美術館ならではの展覧会の開催準備を進めてまいります。
また、世界お茶まつりなどの世界規模のイベントや、首都圏・関西圏での観光商談会でのPRを始め、ふじのくに大使館等を通じ、在京大使館や海外メディア向けに情報発信を行うなど、県の各部局と連携した取組を一層強化し、入館者の増加に努めてまいります。
10 富士山静岡空港について (1)空港利用促進
答弁者 : 知事
質問要旨: 富士山静岡空港は、中国路線の新規就航や増便、福岡線の増便により国際線・国内線ともに航空ネットワークが充実してきている。
今後、本県では、世界的なスポーツイベントを控え、航空需要の増加が見込まれることから旅客ターミナルビルの増改築を行う予定であり、路線拡充の可能性が拡がることから、新規路線の積極的な誘致を図るとともに、アウトバウンド、つまり静岡空港からの送客を強化する一層の取組が必要である。
また、路線の充実に加えて、県民の利便性を高めるアクセスの向上を一層図る必要がある。
そこで、本県と国内外の交流を一層進めるため、どのように利用促進に取り組んでいくか伺う。
答弁内容: 次に、富士山静岡空港についてのうち、空港利用促進についてであります。
富士山静岡空港の今年度の利用者数は、昨年4月からこの1月末までに開港以来最高となる59万人余を記録いたしました。2月、3月の数字はまもなく出てまいりますが、60万の後半になることはほぼ間違いありません。実際、昨年、平成27年1月から12月まで、69万9,467人と、あと533人で70万の、我々が目標といたしております利用者数に届くところであったということで、この利用者数70万人の達成が視野に入っております。今後とも安定的な航空需要を確保するためには新たな路線の誘致や、インバウンド、アウトバウンドのバランスを考慮した利用促進の取組が重要です。
このため、来年度は、東アジアや東南アジアとの新規路線の実現に向け、各国の航空関係者が一堂に会する商談会「ルーツアジア2017」に初めて参加いたします。そして、富士山静岡空港の魅力をアピールいたします。それを路線誘致に積極的に繋げてまいりたいと考えております。
さらに、アウトバウンドの強化のため、旅行会社や経済団体と連携し、旅行商品の販売強化による県西部・県東部地域からの需要の取り込みや、企業訪問によるビジネス利用の促進を進めます。加えて、中部横断自動道が平成29年開通いたしますが、それを見据え、山梨の皆様方にも大いに利用していただきまして、需要開拓に取り組んでまいります。
また、空港と鉄道駅等を結ぶアクセスの向上は、空港の利便性を高める上で、重要な課題です。特に、中東遠地域の需要喚起と海外個人客の利便性の向上を図るため、本年7月を目途に新たに掛川駅と空港間を結ぶ乗合タクシーを導入する予定でございます。
県としましては、地方版総合戦略に掲げる平成31年度の目標利用者数100万人の達成に向けまして、県民の皆様にとって魅力あふれる空港となるよう、今後とも全力で取り組んでまいります。
10 富士山静岡空港について(2) 公共施設等運営権制度の導入
答弁者 : 文化観光部長
質問要旨: 富士山静岡空港は、空港施設の所有権を県が持ちつつ、運営権を民間に譲渡する公共施設等運営権の導入に向けた検討を進めており、早ければ、現在の指定管理期間終了後の平成31年度には新たな運営体制に移行したいとのことである。
来年度は、現在、取りまとめを行っている運営権者が行う業務内容等を具体化した基本スキーム案について、経営参画を考える民間事業者側と意見交換を行い、それらを踏まえて、実施方針案を取りまとめていくとのことであるが、県民目線に沿ったものに仕上げていただきたいと考えている。
制度導入が先行している仙台空港では、運営権者から設置管理者に対し、30年間で総額22億円の対価が支払われる予定とのことであるが、利用者数が300万人を超える仙台空港とは、空港の規模こそ違うが、富士山静岡空港も運営権制度を導入する以上は、県民の皆様がその恩恵を受けなければならないと考えている。
開港以来、空港の収支は毎年、5億円前後の県民の負担が生じており、これらを改善していくべきであると思うが、公共施設等運営権制度を活用することにより、県民負担の軽減に向け、どのように取り組んでいくのか伺う。
答弁内容: 次に、富士山静岡空港についてのうち、公共施設等運営権制度の導入についてであります。
富士山静岡空港では、平成21年の開港当初から、地方管理空港としては唯一、指定管理者制度を導入し、効率的な管理運営に努めてきたところであります。こうした中、平成25年には民活空港運営法が制定され、より経営的な視点を取り入れることが可能となったことから、これに基づく運営権制度導入に向けて検討を進めているところであります。
具体的には、着陸料や旅客ターミナルビルにおける使用料収入など、空港で発生する収入全体を運営権者に一元化し、空港運営に活用するとともに、民間のノウハウを生かした収益力の向上を目指しております。
また、現在、県と富士山静岡空港株式会社とで行っている空港運営業務を運営権者に一体的に委ねることにより、組織のスリム化と、民間の創意工夫による更なる業務の効率化が図られるものと考えております。
県といたしましては、運営権制度の導入により、民間事業者の経営力を最大限に生かし、収入の最大化と一層のコスト縮減による県民負担の最小化を図るとともに、県民の利便性と空港サービスの向上に努め、なお一層魅力あふれる空港となるよう取り組んでまいります。
11 浜岡広域原子力災害広域避難計画について
答弁者 : 危機管理監
質問要旨: 3年前の平成25年2月の本議会定例会において、現在、御前崎市にあるオフサイトセンターの富士山静岡空港西側県有地への移転と、浜岡原子力発電所の事故に備え、地震や津波との複合災害を見据えた広域避難計画を策定について、知事から説明があった。
オフサイトセンターの移設については、建物が本年度末に完成する予定と聞いている。また、広域避難計画については、先月に浜岡地域原子力災害広域避難計画案として公表され、市町や有識者の意見等を踏まえ今年度末までに策定することとしている。
このように県の原子力防災対策は着実に進んでいるが、浜岡地域原子力災害広域避難計画は、避難等の判断基準、避難先、避難経路、避難手段等について、基本的な方針を示すものであると理解している。このため、計画に規定した事項について、あらかじめ実施手順を定めておくことなどにより、具体化していく必要があると考えるが、今後の対応を伺う。
また、計画の実効性を確保していく上で、どのような課題があり、どのような対応を考えているのか伺う。
答弁内容: 浜岡地域原子力災害広域避難計画についてお答えいたします。
現在、原子力災害時に、住民の方々の避難、一時移転及び屋内退避を迅速かつ確実に実施するため、避難の判断基準、避難先、避難経路、避難手段等について基本的事項を定める、広域避難計画の策定を進めております。
今後、この計画をもとに、関係市町や要配慮者施設においても、それぞれの避難計画が策定されるよう支援するとともに、避難の実施手順や避難退域時検査場所の設営等についてマニュアルを整備してまいります。
計画の実効性を確保するためには、避難指示や避難経路の確実な伝達、避難退域時検査の迅速な実施、要配慮者施設の放射線防護措置等の課題がございますので、スマートフォンや携帯電話を利用した情報伝達システムの整備、短時間での検査が可能となる車両用ゲートモニタ等の配備、病院、社会福祉施設への放射性物質除去フィルターの設置等を進めてまいります。
さらに、市町と連携し、住民や関係の方々にパンフレット等を用いて計画内容を丁寧に説明し周知するとともに、国や関係機関と連携した原子力防災訓練による検証等を通じ、計画の改善や見直しを行い、実効性を高めてまいります。
以上であります。
12 定時制高校の生徒への支援について
答弁者 : 教育長
質問要旨: 定時制高校では、中学時代に不登校だった生徒や外国人の生徒など、精神面や学習面に課題を抱える生徒も少なくない。親の家計収入が低く、家庭生活にも問題を抱える生徒もいるようである。実際に私が定時制高校を訪れたときも、生活自体に課題を抱える生徒が見受けられた。
卒業後の進路については、卒業生のうち約3分の2の生徒が就職を希望しているが、平成27年12月現在における就職内定率は、全日制高校の96.0パーセントに対して、定時制高校は46.9パーセントと、大変厳しい。彼らが、正社員として就職できないと、貧困の連鎖が生じ、社会人としての自立が遠のいてしまう。
県教育委員会として、こうした多くの課題を抱える定時制高校の生徒に対する支援に、どのように取り組んでいくのか伺う。
答弁内容: 定時制高校の生徒への支援についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、定時制高校には、全日制高校よりも手厚い支援が必要な生徒が多いことから、県教育委員会では、生徒の抱える問題に応じた支援策を様々な観点から実施しているところです。
まず、生徒の基礎学力の定着や卒業までの就学の継続を図るため、本年度新たに退職教員や大学生などを外部支援員として派遣し、補習授業等、教育活動全般の支援を行っております。さらに、日本語が苦手な外国人の生徒に対しても、支援員による個別指導なども実施しております。
また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを重点的に配置し、精神的ケアや経済的な支援が必要な生徒のために、個別相談の充実に努めるとともに、卒業後の返済が免除される修学資金の貸与などにより就学を継続できるよう支援しております。
社会人としての自立に向けて、確かな勤労観・職業観を育むキャリア教育を推進するとともに、卒業年次を迎えた生徒に対しては、ハローワークや県のジョブステーションなどの就職支援機関との連携を密にして、個々の就業希望に応じた就職支援を行うなど、きめ細やかな生徒支援に今後も取り組んでまいります。
以上であります。
13 津波浸水域にある警察署の移転計画について
答弁者 : 警察本部長
質問要旨: 津波浸水域にある警察署の移転・建て替えについて
答弁内容: 津波浸水域にある警察署の移転計画についてお答え申し上げます。
警察署は地域の治安活動の拠点であるとともに災害発生時には、地域住民の避難誘導・救助活動等を行う防災拠点として非常に重要な役割を担うものであります。
県警察では、東日本大震災の発生以降、県の第4次地震被害想定を踏まえ、警察施設の耐震補強の状況、海岸からの距離、海抜などのデータをもとに多角的な検討を行ってまいりました。
その結果、警察署としては、下田警察署と湖西警察署、また、警察署に準ずる施設としては、下田警察署松崎分庁舎が津波浸水被害の危険性が高いと判断しているところであります。
中でも浸水被害の可能性が極めて高い下田警察署松崎分庁舎を優先的に移転させる必要があると考え、現在、平成29年末までに移転が出来るよう、建設にかかる作業を進めているところであります。
残る下田警察署、湖西警察署につきましても、津波浸水被害により、警察活動に重大な支障が出ることが懸念されておりますことから、早急な対応が必要であると認識しております。
現在、部内におきまして、これら浸水域にある警察署と老朽化や狭隘化が著しい他の警察署とのバランスを考慮しながら、それぞれの警察署の移転・建て替えなどにつきまして、具体的な検討を進めているところでございます。
以上であります。