12月8日、静岡県議会本会議にて一般質問を行いました。
下記に質問と答弁を記載いたします。
インターネット中継もありますので是非ご覧ください。
http://www.gikai-chuukei1.pref.shizuoka.jp/
質 問:1 浜名湖におけるアサリの漁業振興について
答 弁 者:農林水産戦略監
質問要旨:
アサリは浜名湖が誇る水産物であり、このおいしいアサリを是非全国の皆様にも召し上がっていただきたいと常日頃考えている。
県も浜名湖アサリの漁業振興に関して素晴らしい取り組みをしており、例えば、垂下式養殖の研究はアサリの取引価格の向上に関しての、具体的な取組である。アサリの価格決定には、サイズと身入りが重要であり、高価格での取引が見込める“身痩せの時季に、身入りの良いアサリ”の確保ができることは、漁業関係者、そして私の期待は大変大きいものとなっている。
しかし、漁船の航路への土砂の堆積や、浜名湖あさりのPR方法の未確立と流通ルートの確保不足、アカエイの増加等、アサリの漁業振興を進める上での様々な課題が存在する。特に、漁船の航路への土砂の堆積は喫緊の課題であり、早急な解決が求められている。また、集計を始めてからの過去最低を平成 25 年に記録するなど、漁獲高がなかなか安定しないことは漁業者にとり生活に直結する深刻な課題であり、燃料価格の高騰も追い打ちをかけている。そこで、県はアサリの漁業振興にどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。
答 弁:
浜名湖におけるアサリの漁業振興についてお答えいたします。
浜名湖のアサリは、生産量の多い重要な水産資源であると同時に、潮干狩りなどを通じて、地域の貴重な観光資源となっておりますが、年によって生産金額が大きく変動することは、漁業者にとって重要な課題であると認識しております。
このため、これまでも適切な資源管理に努めてきたところであり、漁業者に自ら漁獲量及び操業時間等の自主規制や天敵の駆除による資源管理の取組を進めていただきました。県においても、網袋による幼いアサリの保護や、人工的にアサリ種苗を生産する増殖事業を行うアサリ漁業者に対し支援を行うとともに、違法な採捕の監視・指導を強化してまいりました。さらには今後、アサリのいる干潟を網で覆うことで、アカエイやクロダイといった天敵からアサリを守る新たな試みも支援してまいります。
こうした資源管理に加えまして、漁業振興として付加価値を高めていきたいと考えているところでありますが、漁獲したアサリを短期間蓄養し、天然ものの身が細る初冬の身入りを向上させる垂下式養殖により、差別化を図った浜名湖アサリを生産する方法を確立・普及するとともに、地産地消に熱心な地元料理人等の協力を得て、地元ブランドとして提供できるような取組を進めてまいりたいと考えております。
県といたしましては、漁船の航路への土砂堆積の課題も含め、関係部局とも連携しつつ、引き続き漁業者の声を丁寧に聞きながら、一丸となってアサリの資源回復を進めるとともに、浜名湖の特産品としてのアサリの付加価値向上に努めてまいります。
以上であります。
質 問:2 浜名湖地域の観光振興について
(1)大河ドラマ「おんな城主 直虎」を生かす観光振興
答 弁 者:知事
質問要旨:
NHKの大河ドラマ「おんな城主 直虎」の放映については、大きな経済効果も期待されており、この好機を最大限観光振興に生かしていかなければならない。大河ドラマ終了後において、どれだけの遺産を残すことができて、県内各地を周遊させられるかが課題となっている。大河ドラマの効果を生かした観光振興について、県の役割と県内周遊に向けた課題解決への県の所見を伺う。
答 弁:
田内議員にお答えいたします。浜名湖地域の観光振興についてのうち、大河ドラマ「おんな城主直虎」を生かす観光振興についてであります。
議員は、真田丸の経済効果について長野県の日銀松本支店の数値を御紹介なさいましたけれど、日銀静岡支店によりますと、大河ドラマ「おんな城主直虎」放映による県内観光客増が約194万人、経済効果が179億円前後と試算さております。県としても舞台となる地域の観光振興と経済活性化への大きなチャンスと期待しております。
大河ドラマの効果を持続させるためには、次の二つの取組が重要であると考えます。まず、直虎をはじめとする地域の歴史資源を活用した歴史好きの方々をターゲットに絞って、彼らが度々訪れたくなるような魅力をつくっていくことであります。もう一つは、歴史好きのみならず、様々な方をターゲットといたしまして、ドラマ放映を契機に増大した観光客が、「直虎」関係以外の県内の多様な魅力に気付き、リピーターとして再訪いただけるようにすることであります。
このため、県内の歴史資源を掘り起こし、井伊家ゆかりの地や周辺の見どころをまとめたガイドブックを制作し、旅行会社やメディアに対し、効果的に情報を発信するとともに、ファムトリップ等により素材の評価と磨き上げを行い、県内外からの誘客を図っているところであります。
あわせて、JR東海やNEXCO中日本等の交通事業者と連携して、
大河ドラマに加え、家康公などの戦国武将をテーマとした周遊きっぷ付き旅行商品や、県内一定エリアが定額で乗り放題となるドライブプランの造成を行い、県内全域の観光振興につながるように取り組んでおります。
また、井伊家の関わりが深い三遠南信地域や長野県、滋賀県などとも連携して情報発信や誘客を行うなど、広域的な展開による新たな観光需要の創出を図ってまいります。
一方で、これを契機にいたしまして、地元の少年少女、地元の一般の方々が、地元の歴史をベースにしながら16世紀末から17世紀始め、さらに江戸時代における井伊家の発展を通じて、徳川時代全体について理解してもらうといった形で、地元に立脚した形での歴史知識の増加が期待されます。そうした動きを既になさっておられまして、このたび、「レディー侍女城主 井伊直虎」という漫画本ができました。この漫画本の中身は、立派な方がお書きになっておられますが、絵は、江川さんという方がお書きになっており、英語版もできております。こうしたことは、小学校高学年ぐらいから、直虎を通じて自然に地域についての知識が深まるということになる。地元の方々の知識や理解が高まり、地域資源の掘り起こしに繋がることが望ましいと考えております。
観光的には、リピーターの獲得につなげていくため、各地域のDMOとも連携し、来訪者が食や自然環境、温泉などを本県の魅力として認識していただけるようなプログラムや情報発信により、なんども訪れたいと感じるような、魅力ある旅の提案を促進してまいります。
質 問:2 浜名湖地域の観光振興について
(2)(仮称)浜松・浜名湖地域DMO設立に向けた取り組みへの支援
答 弁 者:文化・観光部長
質問要旨:
浜名湖観光圏は、観光地域づくりプラットフォームである浜松観光コンベンションビューローが事業を推進する形をとっているが、一部事業者からは、提案を聞き入れてもらえない、事業主体が明確にならないまま検討が進められているなどの声が聞こえてくる。
浜松・浜名湖地域では、「(仮称)浜松・浜名湖地域DMO」が日本版DMO候補法人として観光庁から登録を受けており、平成31年4月から活動を開始する予定であるが、日本版DMO候補法人は、更に多種多様な関係者と連携しながらエリア一体となった観光地域づくりを進めていかなければならないため、現在の観光圏の推進体制のまま日本版DMO候補法人に移行した場合には、充分に機能しないのではないかと危惧している。
そこで、DMOを核とした観光地域づくりを推進している県として、今後、浜松・浜名湖地域での日本版DMO候補法人設立に向けた課題をどのように把握し、課題解決をどのようにおこなっていくのか所見を伺う。
答 弁:
浜名湖地域の観光振興についてのうち、(仮称)浜松・浜名湖地域DMO設立に向けた取り組みへの支援についてお答えいたします。
日本版DMOの設立に当たっては、従来からの観光事業者に加え、農林漁業者や商工業者、まちづくり団体など幅広い分野の関係者が参画し、地域が一体となって観光地域づくりを推進する体制の構築が必要となります。
このため浜松市では、本年7月に、市、地元経済界、観光事業者等から構成される「浜松市観光地域づくりのあり方検討会議」を設置し、観光地域づくりの目指す方向性と推進体制について検討を進めております。
県は、アドバイザーとしてこの検討会議に参加しておりますが、オール浜松で好循環を生むための推進体制の構築をはじめ、各種の方針策定にあたり、多様な地元関係者の合意形成をどのように図っていくかが、「(仮称)浜松・浜名湖地域DMO」設立に向けた重要な課題と考えております。
現在、検討会議では、これまでの浜名湖観光圏での取組をどのように生かし、何を改革していくかなどについての議論が行われており、今後これらを踏まえ、関係者の合意形成を図りながら新たな推進体制について検討され、決定されるものと考えております。
県といたしましては、「(仮称)浜松・浜名湖地域DMO」の設立に向け、来月に発足する県域DMOや県立大学等とも連携し、地域の観光の中核となる人材の育成に努めるとともに、関係者の懸念が払拭されるよう、適切な助言や情報提供を行ってまいります。
質 問: 2 浜名湖地域の観光振興について
(3)豊かな自然環境を生かした誘客
答 弁 者:文化・観光部長
質問要旨:
浜名湖地域は、「住んでよし、訪れてよし」の地域づくりの実践する場として「浜名湖観光圏」の整備計画のもと、浜松市、湖西市を対象とした地域が一体となった観光客の誘致策や滞在促進をおこなっているところであるが、さらなる交流人口の増加のためには浜名湖地域の湖畔や周辺の山々などの豊かな自然環境を活かした交流人口施策を展開すべきと考えるが、県の所見を伺う。
答 弁:
次に、豊かな自然環境を生かした誘客についてであります。
浜名湖地域は、風光明媚な自然景観に加え、潮干狩りやマリンスポーツの適地として人気が高く、多くの観光客が訪れております。最近では、浜名湖一周サイクリングの開催や歴史ある湖北五山などを活用したハイキングコースの設定などにより新たな魅力も生まれております。
こうした中、県が支援する浜松観光コンベンションビューローでは、浜名湖地域の観光資源を活用した体験やアクティビティーを盛り込んだ83プログラムを商品として造成するとともに、ツアー受付から料金決済まで一貫したマネージメントを行い、来訪者の利便性を大幅に向上させることで、同地域へのリピーター客の創出や拡大を図ってきました。
今後は、多彩な自然環境を活用した更なる誘客策として、サイクリングのほか、カヤック、トレッキングなどのアウトドアスポーツを複合的に楽しめるような施策を、観光事業者やアクティビティー事業者などを巻き込みながら展開することとし、民間事業者のノウハウを積極的に活用しながら、アウトドアツーリズムによる観光地域づくりを促進してまいります。
さらに、関係市町や民間企業と協働し、大都市圏等での観光商談会、国内外の旅行会社へのセールス活動、ファムトリップ等において積極的なPRを行うとともに、新たにインターネット販売を行うオンライン旅行取引事業者と連携して海外からの個人旅行客の獲得に努めるなど、浜名湖地域における交流人口がより一層拡大するよう取組を進めてまいります。
以上であります。
質 問:3 大規模災害時における湖西市、浜松市の緊急物資の確保について
答 弁 者:危機管理監
質問要旨:
湖西市と浜松市は浜名湖を抱えているため、大規模災害時、今切口付近や浜名湖周辺部の緊急輸送路が分断され、陸路での物資輸送が滞る可能性があり、課題を抱えている。
東日本大震災においても、輸送の軸である国道45号が橋の崩落や法面崩壊等で分断された。
物資輸送の課題解決には、物資の空輸の他、愛知県側との連携強化を進めることが対策の一つになりうると考える。
例えば、豊橋市や、豊川市の広域物資輸送拠点である豊橋市総合体育館まで物資をもらいに行くなどの連携ができるのではないか。
そこで、県は、湖西市、浜松市の緊急物資の確保について最悪どのような状況を想定し、対策としての物資の空輸や愛知県側との連携強化についてどのように考えているのか、県の所見を伺う。
答 弁:
大規模災害時における湖西市、浜松市の緊急物資の確保についてお答えいたします。
湖西市、浜松市への緊急物資につきましては、本年3月に策定した「南海トラフ地震における静岡県広域受援計画」において、浜松市総合産業展示館を県広域物資輸送拠点とし、プッシュ型への対応では、県が広域物資輸送拠点から市の物資受入拠点まで輸送することとしております。
第4次地震被害想定において、緊急輸送路の一部区間で建物の損壊による道路閉塞や、液状化、津波浸水等により不通や交通規制が想定されております。県では、被害状況を把握の上、国や市町と連携の上で道路啓開方針を決定し、湖西市アメニティープラザなど市町物資受入拠点までの緊急輸送ルートを、発災後概ね3日目までに確保することとしております。
しかしながら、県内での陸上輸送が困難な場合も想定されますので、緊急性の高い物資の航空輸送が実施できるよう、静岡空港や航空自衛隊浜松基地などを航空輸送拠点と位置付けるとともに、全市町に中型以上のヘリコプターを運用できる市町拠点ヘリポートを指定しており、湖西市では湖西運動公園を指定しております。
さらに、西部危機管理局では、県域外を経由した輸送も可能となるよう、愛知県・長野県との連絡会議を毎年度開催し、道路情報の共有や通信訓練等を実施するなど連携強化を図っております。
県といたしましては、今後とも、関係機関と連携した訓練等を通じ、災害時に物資の輸送手段が確保され、物資が市町の避難所に迅速・確実に届けられるよう、実効性の更なる向上に努めてまいります。
質 問:3 大規模災害時における湖西市、浜松市の緊急物資の確保について【再質問】
答 弁 者:危機管理監
質問要旨:
愛知県との連携を進めていくとの答弁があったが、具体的にどのように連携を進めていくのか伺う。
もう一つ、豊橋市、浜松市、湖西市さらに豊川市、まわりの市が連携していかなければいけないと考えるが、県として当該市に働きかけを行う考えか伺う。
答 弁:
隣県、愛知県等との連携をどの様に進めているかにつきましては、会議等の場でお互いの情報交換をする連絡会議を毎年度開催し、道路情報の共有や通信訓練を行うなど顔の見える関係を築いています。
熊本地震でも、県外からの物資が、広域物資拠点がいくつか使えないところがあり、直接市の物資拠点や大きな避難所に運び込むなどのオペレーションが行われました。
被害情報を迅速に把握し、共有した上で、どの様なことが考えられるのか、被害状況に応じてあらゆる手段を講じていくことになると思います。
いろいろな機関との連携を強めていくよう努めてまいります。
質 問:4 静岡県のアンテナショップの設置について
答 弁 者:難波副知事
質問要旨:
多くの地方自治体は、東京や大阪などにアンテナショップを出店し、地元の特産品を販売したり、観光情報などを発信している。静岡県も、秋葉原に「ふじのくに おいしい処(どころ)静岡」、通称「おいしず」を、有楽町の東京交通会館内に Shizuoka Mt.Fuji Green-tea Plaza として静岡県東京観光案内所を設置している。
しかし、静岡県の2つの拠点は、いずれも目立たないため、他県に比べて利用者数も少なく、効果的な情報発信ができていないように感じる。このような現状を鑑みれば、現在のアンテナコーナーと観光案内所を一緒にして、有楽町・銀座エリアにアンテナショップとしてオープンをするのが妥当と考える。
そこで、県は情報発信拠点としてのアンテナショップの設置について、どのように考えているのか、所見を伺う。
答 弁:
静岡県のアンテナショップの設置についてお答えをいたします。
県は、多彩で高品質な本県農林水産物のブランド力を高め、国内外へ販路拡大を図るため、今年度、マーケティング戦略本部会議を設けております。
この会議では、マーケティングや、流通・販売、広報の各分野の専門家に御参加いただいて、来年2月の策定に向けてマーケティング戦略の検討を進めているところであります。
これまでの会議では、「海外」「国内」「県内」の三つの市場ごとに、品目を絞った販路拡大と、供給力強化のための生産拡大に加えまして、「県産品を販売する新たな仕組」、そして「首都圏のマーケティング拠点」について議論をしているところであります。
この中で、首都圏における情報発信の拠点につきましては、委員の方から、単なる県産品の販売や飲食の場にとどまらず、「静岡の歴史や文化的な遺産・物語とともに、ライフスタイルを提示していくことが大事」、あるいは「情報発信だけでなく、マーケティング情報を収集をして生産者にフィードバックするマーケティングの拠点が必要」、こういった御意見を頂いております。
さらに具体的に申しますと、その営業や商談ができる機能を備えるほか、お茶の文化や、富士山や駿河湾をはじめとする、あるいは浜名湖をはじめとする自然や景観、温泉など、本県が誇る様々な魅力を発信して、静岡に行ってみたい・住んでみたいと思っていただけるようにする必要がある、そういった御意見をいただいております。正に“ふじのくに”そのものを情報発信する「ショールーム」というようなものが必要だという御意見であります。こうした御意見を踏まえますと、これまでの考え方に捉われない「新たなコンセプトのアンテナショップ」についての検討が必要であるというふうに考えております。
また、この際には、秋葉原にあるアンテナコーナー「おいしず」、そして有楽町にある東京観光案内所「Shizuoka Mt.Fuji Green-tea Plaza」の在り方についても検討が必要だというふうに思っております。
今後、これらを踏まえまして、部局横断的な体制を整えて、どこに設置するか、そして施設規模・機能などについて具体的な詰めの作業に入って、本県独自の「新たなアンテナショップ」の設置に向けて取り組んでまいります。
以上であります。
質 問:5 発達障害児への早期支援について
答 弁 者:健康福祉部長
質問要旨:
発達障害児の支援で最も大切なことは「早く発見し、早く適切な支援を行う」ことであるが、現実はそう簡単ではない。現状の発達障害児や家族が直面している問題をいくつかあげる。
1点目は、発達障害児の発見である。発達障害の疑いを見つける機会は、1歳6ヶ月健診や3歳児健診である。見過ごされれば、幼稚園等での気付きに頼らざるを得ないが、園の先生も断定することは難しい。
2点目は、適切な診療機関を見つけることである。現状では医師も不足し、支援体制が整っていない市町では、子どもに発達障害が疑われたとき、どこで診断を受けたらよいのか、親はわからない。
3点目は、専門的な療育を受ける場所の確保である。発達障害がある子どもは、児童発達支援センター等での早期療育が必要であるが、センターのない市町が多数あるのが現状である。支援を必要としている全ての子どもや家族が安心して支援を受けられる場の確保が必要である。
私は、発達障害の子どもは、しっかり手を差し伸べてあげれば、着実に一歩一歩成長していくことができると考えている。
そこで、発達障害児の早期支援を実現するため、これらの課題をどのように認識し、対応していくのか、県の所見を伺う。
答 弁:
発達障害児への早期支援についてお答えします。
発達障害児の支援につきましては、できる限り早い段階で発見し、適切な支援につなげることが最も有効であり、県では、市町や関係機関と連携して、早期の支援を実現するため、様々な取組を行っております。
早期発見につきましては、乳幼児健診や保育所等の気付きが重要であることから、幼稚園教諭や保育士等への研修を行い、発達障害への理解を深め、観察能力の向上に取り組んでおります。今後は、乳幼児健診マニュアルを作成し、発見の精度を高めるほか、市町による幼稚園や保育所への巡回相談の強化を促すなど、市町における早期発見体制の整備と充実を図ってまいります。
検診機関につきましては、浜松医科大学の寄附講座による専門医の養成や発達障害者支援センターによる専門研修の実施など、身近な地域で適切な診断を受けられる環境の整備を進めております。今後は、発達障害児とご家族が、容易に検診を受けられるようにするため、発達障害の検診可能な医療機関を調査し、県ホームページ等を通じて、県民に幅広く情報提供を行うなど、身近な地域での医療体制を確保してまいります。
療育機関の確保につきましては、地域の療育拠点となる児童発達支援センターの整備を積極的に進めており、現在13市で、17か所のセンターが設置されております。今後、更なる整備を促進するため、「圏域自立支援協議会」を通じまして、市町や関係機関に施設の設置を働きかけてまいります。また、施設職員の発達障害への対応能力を向上するため、実例を通して支援技法を学ぶ実践的な研修を継続的に行うなど、ハードとソフトの両面から地域の療育体制を整備してまいります。
今後とも、医療、保健、福祉等の関係機関が一体となって、発達障害の早期発見と早期療育に取り組み、発達障害児とそのご家族が、身近な地域で安心して暮らしていける社会を実現してまいります。
質 問:6 医学修学研修資金貸与事業について
答 弁 者:健康福祉部長
質問要旨:
医学修学研修資金貸与事業は、バーチャルメディカルカレッジの中核事業であり、平成28年度当初予算は10億8千9百6十万円を計上している。大きな予算であるため、事業の効果や課題を随時把握し、改善することが求められるが、きちんと改善されていない。
例として、所得の高い親の学生に修学資金を出すことの効果が不明、返済期間中や満了した医師が静岡県立総合病院に集中している。こうした現状は、地域偏在の解消を目的とした事業の成果が本来の目的に沿っているか検証できていないことを示し、PDCAを回す必要がある。
県は、この課題をどのように把握し、課題解決にどのように取り組むつもりか、所見を伺う。
答 弁:
次に、医学修学研修資金貸与事業についてであります。
本県の医学修学研修資金貸与事業は、県内医師の総数を確保することを目的としております。保護者等の所得の多寡に拘らず、全国の医学部進学者を対象として修学資金を貸与し、将来本県で働いていただける医師の養成を目指しております。これまでに861人が貸与を受け、現在、145人が医師として県内に勤め、今後も毎年約40人以上が新たに勤務する見込みであり、着実に成果が上がっております。
配置先につきましては、県内公的医療機関等49病院の中から、本人の意向を踏まえ決定しております。研修体制が充実した病院への希望が多いことから、県では、市町とも連携し、それぞれの病院に対して指導医の育成と確保の支援を行うとともに、専門医研修プログラムや研修機器の整備を行うなど、医師にとって魅力のある研修環境を持つ病院を県内全域に広め、各地への配置の実現に努めております。
地域偏在の解消につきましては、勤務者数や勤務地域に即した配置方針に基づき、修学資金利用者の理解も得て、地域偏在を解消できる効果的な配置に努めることとしております。また、県外大学と、県東部地域の医師確保の協力を目的とした協定の締結や本県医師の養成のための地域枠の設置を行うなど、医師不足が指摘される県東部地域への配置数を着実に増やすようにしております。
今後も、利用しやすく効果的な貸与制度となるように、医師確保対策を推進するために設置した、ふじのくに地域医療支援センターにおきまして、毎年成果を検証し、制度の改善や医師の地域偏在の解消などに取り組み、多くの医師が県内全域で広く働いていただくように努め、県民の皆様がいつでもどこでも安心して医療サービスが受けられるように、全力で取り組んでまいります。
以上であります。
質 問: 6 医学修学研修資金貸与事業について【再質問】
答 弁 者:健康福祉部長
質問要旨:
地域偏在を解消できる効果的な配置に努めると答弁にあったが、具体的に効果的な配置とは何を示すのか。地域偏在を示す数値はいろいろあると思うが、何を基に地域偏在が徐々に解消されていくと根拠にされるのか伺う。
答 弁:
地域偏在が解消できるよう適切に配置されているのか、どのように判断するのかについてお答えします。
現在、県は医師数の確保につきましては、10万人当たりの医師数の数値を目標とし、全国平均よりかなり下回っているため追いつくようにしております。県東部におきましては、中西部に比べますと県内で10万人当たりの医師数が少ない状況にあるため、この数値を確実に上げることを目指しております。
また、各公的病院におきまして、医師の不足によって、診療科目が行えないということもあるため、診療科目にそった医師を配置するということを地域偏在の解消の一つの基準としております。
以上であります。